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第499話
ピンポン♪…ピンポン♪…
「おっ、来たなぁ。思ったより早かったな」
ミキを迎えに玄関に向かう。
ガチャッ。
「早かったな?」
「はい。凄~く勉強になりました。あと、美味しかったですよ。伊織さん、食事は?」
「ああ、澄ました。早く入れ、リビングで話そう」
「はい」
今日、定時に終わったミキは池谷の料理教室に参加していた。
俺はちゃっかりLineを送っておいた。
♪*教室、終わったら俺の部屋に来てくれ。話も聞きたい*♪
別に話は、明日の朝礼で聞けば良いが……理由をつけて部屋に呼ぶのが目的だった。
ミキの事だ、額面通り素直に受け止めたはずだ。
本当に、可愛い奴だ。
「今日、泊まるだろ?先に、着替えて来いよ。話はその後で聞く」
「はい。じゃあ、着替えて来ます」
ミキの物が置いてある客間に行くのを見計らい、俺はキッチンでコ-ヒ-を入れる。
テ-ブルにコ-ヒ-を2人分置いた所で、ミキが戻って来た。
「わぁ~、コ-ヒ-ありがとうございます。いただきます」
リビングのソファーじゃ無くラグに座るミキの背後に陣取り、いつもの体勢で話を聞く。
「で、どうだった?教室は?生徒さんと一緒に作ったのか?」
背後から抱きしめた俺の腕を摩りながら
「生徒さんとは一緒に作りませんでした。池谷さんのアシスタントの方の側で見たり器具や調味料の場所を確認したり、時々、アシスタントさんの代わりに池谷さんに調味料渡したりしました。平日だからOLさんが多かったですよ」
「へえ~、見学だけかと思ったらアシスタント紛いな事もしたんだ~。……可愛いOLとか綺麗なお姉さん達に声を掛けられなかっただろうな?」
「大丈夫ですよ。皆さん、池谷さんが目的ですから、俺の事なんて誰も見てません」
仕事モ-ドの姿で行かせて良かった。
プライベートな姿なら絶対に声を掛けられていたはずだ、いや、逆に綺麗過ぎて声も掛けられないかもしれないか?
最近は、肉食系女子が多いからなぁ~。
ともかく、何も無くって良かった。
「それでね、池谷さんの撮影機材って凄いですよ。池谷さんの手元だけ撮影されて、それがモニターに映るって仕掛けで、何度も見られるし。その間、池谷さんが生徒さんの所を回って歩いて教えて合理的で画期的でした。後、調味料も事前に測って用意されてて、なんか料理教室って感じしました」
「確かに合理的だ。良く、スマホでも料理作ってる作業を載せてるがあんな感じか。それなら、当日は佐藤の撮影は要らないか?佐藤は電話番でもして貰うかな」
「可愛そうですよ。手元以外の撮影をすれば良いじゃ無いですか?」
「そうだな。ま、池谷さんの撮影機材で事足りそうだがな」
「それで、料理作った後に皆んなで食事会したんです皆んな自分の作った料理を美味しそうに話ししながら食べてました。料理作るだけじゃ無くワイワイ皆んなで食べるのも楽しみの一つかも知れませんね。池谷さん、月.水.金と料理教室してて午前中は奥様方が中心で、夜の時間はOLさんが多いみたいです。でも、金曜の夜は婚活も兼ねて、独身男性と女性限定で教室開いてるみたいです。後、土曜の昼には男性限定で。割と男性も料理出来た方が良いと思ってる人が多いみたいですね」
「へえ~、婚活とか社会貢献もしてるんだ~。確かに、一緒に作業すれば話易いし連帯感が生まれるもんな。上手い商売してるなぁ~」
「先見の明ですね。でも、池谷さんの料理してる姿、真剣でカッコ良かったな~」
「おい.おい、止めてくれよ。俺の前で他の奴の事を褒めるの」
「ごめ~ん、一般論です。あれなら奥様方やOLさんが殺到するの解るなぁ~って」
ミキの体を無理矢理変えさせ、向かい合わせになる。
「コラ~。俺以外の男を褒めてその上カッコいいって、どの口で言ってるんだ?この口か?悪い口だ」
後頭部に手を当て唇を奪った。
始めっから濃厚なキスを仕掛けた、本気じゃ無いが少しの嫉妬もあった。
クチュクチュ…ピチャピチャ…ジュルジュル…
「んぐぅ…ん」
クチュクチュ…レロレロ…ピチャピチャ…
思う存分堪能し唇を離した。
「この悪い口には、多少の罰を与えたぞ」
「はぁはぁ…もっと…下さい」
「足りなかったか?悪い口だ」
再び、唇を楯鱗し俺達の熱い夜が始まった。
次の日が仕事だと、多少の加減と1回で済ませた。
俺はミキ想いの出来た彼氏だ。
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