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第500話
金曜の午後から、池谷の教室に来ていた。
ミキは仕込み等々手伝うと俺達より早め出て、既に作業を開始して居た。
俺が買ったエプロンを着け、アシスタントと何やら話して居たが、俺達を見つけて微笑んだ。
可愛い~な。
それ程広いとは思えないが、2台の大きい作業台が並び、その前には1台の作業台が有った。
その作業台には撮影機材が置いてあり、背後には大きなモニタ-画面があった。
ミキが話していた通りだった。
「わざわざ、ありがとうございます」
池谷の挨拶に俺達も挨拶をした。
「すみません。場所提供と撮影まで、助かります」
俺が挨拶すると皆んなも頭を下げた。
「堅苦しいのはそこまで。早速、作業しますか?夜には教室がありますから」
「お願いします」
いつも通りなのか?自分のアシスタントを使いサクサクと作業をする池谷に感心する。
的確な指示と無駄の無い動作で進めいく。
佐藤は撮影をし田口は何種類かの器を作業台に用意しミキは作業手順.調味料の配分をメモし、偶に頼まれると作業を手伝っていた。
アシスタントが野菜を切ったり下準備をし、池谷はそれを仕上げていくと言う流れが良く出来ていた。
品数も多いが、そこはやはり流石にプロだ。
あっと言う間に、3時間も掛からず作り上げた。
膳には、ほうれん草の胡麻和え.厚揚げ生姜焼き.冷奴.ピリ辛胡瓜.大根のそぼろ煮.イカと胡瓜の中華炒めが綺麗に盛られていた。
3種盛り刺身、コンニャクを豚肉で巻いて焼き上げたコンカツ、大根と胡瓜.水菜の和風サラダ、きのこたっぷり豆腐ステーキ、豆腐ハンバーグ.胸肉の蒸しチャ-シュ-、炊き込みご飯、吸い物、デザートには豆腐抹茶ム-スだ。
「お膳は、基本的にはこんな感じです。あくまで基本ですから。それと今日はメインを何種類か作ってます」
池谷が出来た料理を田口が用意した器に入れどれが合うか確認していた。
どれも見た目にも楽しませる工夫をされ、綺麗に盛られていた。
出来た料理を写真に収め何枚か撮り、皆んなで囲んで見ていた。
「凄いっす」
「飾りも綺麗で、手際が流石です」
「やあ~、実際見ると圧巻ですね」
口々に池谷を賞賛する。
俺ももちろん凄いとは思ったが、料理研究家ならこれくらい朝飯前だろうとも思っていた。
「お膳はこのままで良いかと、器は春夏は涼し気なガラス素材でこれにしましょう。秋冬はこれにしましょう。ちょっとマイセンぽいし和も感じられますし上品そう」
「解りました。膳はこちらで平皿.サラダ皿.煮物用.丸コンロセット(鍋)、お椀.茶碗で良いですか?」
「後、茶碗蒸し用とデザート用もお願いしますね」
「解りました」
「じゃあ、撮影も写真も終わった所で、夕飯がてら試食しましょう」
俺達4人と池谷.アシスタントの6人分を作業台に並べて試食会が始まった。
「「「いただきます」」」
一斉に箸をつけ食べ始めた。
「うぅ、このこんにゃくの豚カツうまっ」
「こっちの胸肉のチャ-チュ-も、さっぱりして美味しいですよ」
「豆腐ハンバーグうまっ。パサパサしてるかと思ったが全然そんな事無い。うまっ」
口々に絶賛して食べていく。
「おい.おい。うまっだけじゃ解らん。どうだ、カロリー控えめでも忖度無いか?」
「「「全然、無いです」」」
口を揃えて話すから笑える。
俺も箸をつけたが、ミキ達が絶賛する様に旨かった。
こんにゃくを使った炊き込みご飯も普通に作った炊き込みご飯と変わらず、こんにゃくを使ってるとは思えない出来栄えだった。
これならイケルと、後は俺のプレゼン次第だと心で思った。
「皆さんに喜んで頂いて光栄です。基本はこれで。後は季節やその旬の物をその都度使うって事で良いかと夏にはこんにゃく素麺にしたり、冬には鶏肉団子入り鍋にしたり。今日は出しませんでしたけど煮魚.肉豆腐.お寿司.など職人さんも考案してくれると思いますが。今日、作った以外で使えそうなレシピを纏めた物と今日の撮影したメモリ-渡しますね」
「有難い。助かります。今日の材料費は後で請求して下さい。それとヘルシー料理の料金設定はどの位が妥当ですか?一応、7000円コ-スと1万円コ-スで考えてますが」
「そうですね……お膳はそのままで後は品数を変えてその2コ-スで大丈夫だと思います。結構、無駄の無いように今回は同じ食材を色々組み合わせて使ってますから。そう言う風にすると案外採算は取れると思います」
なかなか考えてると思った。
「そう言って貰えると安心します」
「じゃあ、成宮さんも食べて.食べて」
アシスタントと田口.佐藤.ミキは話ながら仲良く食べていた。
俺も一先ず食を堪能するの事にした。
やはり料理研究家だけあって店に出すくらい旨かったが、俺にはミキの手料理がやはり一番だ。
片付けをある程度手伝い池谷とアシスタントは夜の教室の準備があると言う事で、お礼と再来週の金曜に最終確認すると言う事で教室を後にした。
今日は池谷からは何のアクションも無かった。
まあ、何も無いに越した事は無いが。
「いやぁ~美味かったですね。1食分浮いちゃいました。ラッキー」
「佐藤、夕飯も済んだし、これから会社に戻って少し打ち合わせするからな」
「え~、課長。会社戻るんですか?」
「ああ。作業は明日以降だが、少しだけ打ち合わせして、それに上野さんに電話番頼んであるし何かあるかも知れ無いからな」
「そう言う事。上野さんに何か甘い物でも買って行こう」
「田口さん、賛成です。ケ-キ?シュ-クリ-ム?」
「解った。金出すから皆んな分買って帰ろう」
「「「ありがとございます」」」
本当にチ-ムワ-クが良い奴らだ。
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