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第502話

池谷との最後のプロジェクト、打ち合わせの金曜日の午後だった。 俺達はあの撮影のあった日から、この2週間の間にレシピの資料作成.料理過程の動画映像制作.プレゼンの資料準備を、通常業務をこなしながら忙しい日々を過ごしていた。 今日、池谷に最終確認して貰う事になっていた。 会議室のテレビ画面に、佐藤が頭を悩ませながら頑張った映像を皆んなで見ていた。 「どうですか?」 佐藤は不安そうに出来栄えを、池谷に確認する。 「良いと思います。丁度良い速度の早送りで、調味料の分量も解りやすく入ってますし。あの料理過程を良く1時程で纏めましたね」 「ありがとうございます。結構、苦労しました」 池谷に褒められ嬉しそうだった。 「成宮課長、この映像ってプレゼン用なんですよね?」 「はい、資料だけより映像があった方が、より解り易いと思いまして。ですから、基本的な物で充分ですが私が思っていたより料理の出来栄えが良く助かりました。プレゼンが成功したら、後は現地の料理人達からも、またアイデアが出るでしょうし、こちらからもある程度ヘルシー料理レシピは渡すつもりです」 俺の話を聞いてレシピの資料をパラパラ…と捲り見ていた。 「レシピの方も春夏用.秋冬用と上手く纏めますね。これを参考に後は現地食材との兼ね合いですね」 「ありがとうございます」 料理レシピを見易くする為には、どうすれば良いか?ネットや本で調べて頑張っていたミキも褒められて嬉しそうだ。 「映像もレシピも大丈夫だと思います。後はプレゼンの成功を祈ってます」 「「「ありがとうございます」」」 「池谷さんにそう言って貰えると心強いです。本当にここまでアドバイザーとして忙しい中、ありがとうございました」 俺が礼を話すと皆んなも一礼した。 そうだ、後は俺のプレゼンに掛かっている。 ここまで頑張った部下の為にも、今度は俺が頑張る番だと顔を引き締めた。 「こちらこそ、色々勉強になりました。短い時間でしたが楽しかったです。ありがとうございます」 これでプロジェクトも池谷とも一段落だ。 もう時計を見ると、就業時間ギリギリだった。 「じゃあ、これでプロジェクトは一段落とする。後は、夏休み明けか.アメリカ支社と連絡取ってからだな。皆んなご苦労」 「「「はい」」」 机の上の資料を片付け始めた。 俺は池谷をエレベ-タ-まで送る為に、会議室を2人で出る事にした。 「じゃあ皆さん、またどこかでお仕事ご一緒に出来れば良いですね。これも何かの縁ですから、どこかで見かけたら声を掛けて下さい。本当にありがとうございます」 「「「ありがとうございました」」」 池谷と田口.佐藤.ミキは握手して挨拶し、俺と池谷は会議室を後にした。 エレベ-タ-まで歩きながら、ミキに対してあっさりと挨拶して別れたなっと心で思ってた。 やはり考え過ぎか? 「いや~、本当にありがとうございした」 「こちらこそ。プレゼン上手くいくと良いですね」 「はい。皆んなの為にも成功させます」 「あっ、そうそう。成宮課長、この後何か用事あります?もし、お時間合ったら少し飲みに行きませんか?」 最後の最後に、俺に誘いを掛けてきた。 ミキの言う通り俺狙いか? もうプロジェクトで会う事も無いが……池谷の今までの意味不明な真意を知りたいと、敢えて池谷の誘いに乗る事にした。 「私は大丈夫ですが、今日は金曜日で教室ありますよね?」 「今日はアシスタントに任せるから大丈夫です。私の都合がつかない時、月に1回か2回勉強がてらアシスタントに任せる様にしてるんです。彼らもいつまでもアシスタントで居る訳には、いかないですからね」 「そうですか。じゃあ、慰労会も兼ねて」 「じゃあ、7時に六本木のxxx xxバ一で」 そこは昔何度か飲んだ事がある所だった。 「そこなら解ります」 丁度良くエレベ-タ-が着いた。 「じゃあ、後ほど」 池谷は手を振り、エレベ-タ-に乗り降りて行った。 会議室には、もう誰も居ないだろう。 課に戻る前に、スマホを出しミキにLineした。 *♪悪い。急だが、池谷さんと飲みに行く事になった。遅くならないから、部屋で待っててくれ*♪ ピロ~ン…直ぐに返信が来た。 *♪解りました。部屋で待ってますから、終わったら真っ直ぐに帰って来て下さいね*♪ 可愛い~な、心配してるんだな。 *♪解ってる。少し食べるから、何か用意しててくれ*♪ *♪冷やし中華で良いですか?飲み過ぎ無いで下さいね*♪ *♪了解。冷やし中華楽しみだ*♪ *♪気を付けて下さいね。待ってますから*♪ *♪了解*♪ Lineの遣り取りを見てニヤニヤしてしまう。 池谷に嫉妬し心配してるミキが手に取るよう解り、愛されてる実感が湧く。 顔をパンッパン叩き、顔を引き締め課に戻った。

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