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第509話
「良し、業者や取引先のフォロー済んだな?事務関係も済んだら、机の上を片付けて帰って良いぞ」
「はい」
「大丈夫です」
「あ~、終わった~」
俺の指示に其々が机の上を整理し帰る準備をしていた
「田口さんと香坂、夏休みどこか行く?」
「ああ、大阪にな。USJ行きたいって言うからな」
「へえ~、彼女と?」
「ああ、女ってディズニーとかあ~ゆ~の好きだよなぁ~。人混み凄そうでうんざりだけどな。俺はどっちかって言うと、温泉とかゆっくりしたかったんだけど」
「たまには、彼女の希望も叶えてあげないと愛想つかれますよ。香坂は?」
「俺は…温泉旅行位です」
「へえ~、温泉か」
「そう言う佐藤は?また、何も無いからって合コンとか飲んでばっかか?去年は地元のキャバ嬢だっけ?」
「あ~、そんな事有りましたね。もう、行って無いですよ。あれも付き合いですよ。今年は地元のダチと海行ったり金沢に行くんです」
「北陸新幹線ですか?」
「そっ、北陸新幹線使って金沢で、温泉と美味しいもの食べてようって。楽しみ♪」
「悲しいのは行く相手が、彼女じゃないのが残念だな佐藤、可哀想~」
「そうなんですよ~、折角の旅行なのに、何で男3人で行かなきゃ行けないのか?ま、あっちで良い子探しますよ。北陸の女の子って、何か清楚な感じするし」
「精々、頑張れよ」
手を動かしながら夏休みの話をしているのが聞こえた
俺も明日からミキとの楽しい夏休みだと、心の中ではウキウキしていたが表情には出さずにいた。
「おい、話も良いが早く帰れる時は帰れよ」
「すみません」
「「はい」」
暫くすると3人は帰り仕度をし、まだパソコンと向き合ってた俺に挨拶した。
「課長、まだ仕事ですか?」
「ああ、切りが良い所で終わらせて帰るから気にせず上がれ」
「はい。じゃあ、お先に失礼します」
「「お先に、すみません」」
「ああ、夏休み楽しめ。お疲れ」
「「「お疲れ様です」」」
3人で歩き出すと佐藤が「今日、飯食って帰りませんか?」と「ああ、そうするか」と田口が答えると、1番後ろを歩いていたミキが俺をチラっと見た。
俺は ‘行ってきて良いぞ’ と目配せすると、嬉しそうな顔をみせた。
「香坂は?大丈夫か?」
「はい」
3人はどこに行くか?何食べるか?と話ながら出て行った。
ミキの奴、俺のお伺い立てて。
可愛い~奴だ。
今日は元々自分の部屋に帰り明日の昼頃に、俺の部屋に来る予定になっていたから、田口達との飯ぐらい自由に行けば良いものを……。
明日から1週間は旅行や俺の部屋で過ごす為、留守にする部屋の掃除や旅行の準備をして来るって言ってた。
明日からは、俺が独り占めだ。
今日ぐらいは、田口や佐藤と楽しんでも良いだろう。
去年の夏休みは、石垣島に行ったんだな。
そうか、1年経ったんだなと思った。
去年はエメラルドグリーンの透き通った綺麗な海でシュノ-ケリングしたり、オレンジの夕日を砂浜で見たりと懐かしい思い出でが過った。
楽しかったな、今年も去年以上に楽しい思い出を作ろう。
ま、俺は2人で居られるなら楽しいが。
贅沢はしないミキも2人で居られるだけで良いって言うんだろうな。
そんな事を考えていたが、今は目の前の仮決算書類を切りが良い所までやって帰るか。
明日からの夏休みの為に、もう一踏ん張りする事にした。
仕事を終え部屋に帰り買って来た弁当を食べ
「味気無いな。明日からはミキの手料理も食べられるし、今日は我慢だ」
誰も居ない部屋で独り言が出た。
どれだけ明日からのミキとの夏休みを楽しみにしてるのか自分でも解る。
風呂から上がりスマホを手にしLineを送った。
*♪帰ってるか?*♪
♪ピロ~ン
「おっ、帰って来てるのか?」
*♪帰ってますよ~*♪
*♪早かったな。何、食ったんだ?*♪
*♪食べ放題の焼肉屋さんです。食べ過ぎちゃいました*♪
*♪そうか、良かったな。明日は何時頃?*♪
*♪昼前には、着くようにします*♪
*♪解った、待ってる*♪
*♪旅行、楽しみですね*♪
*♪そうだな。思いっ切り楽しもうな*♪
*♪はい*♪
*♪じゃあ、明日待ってる。おやすみ*♪
*♪おやすみなさい*♪
スマホをテ-ブルに置き、明日の予定を考えた。
予定を決め「寝るか」寝室に向かいベットに横になり明日から暫くは、ミキを腕の中で抱いて寝られるんだと思うと頬が緩んだ。
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