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第513話
足柄SAに着き車を降りると、富士山が見えた。
「伊織さん! 見て.見て~富士山だよ♪」
「ああ、静岡に入ったからな。今日は晴天だし富士山も良く見れるな」
「富士山を見れるなんて、旅行に来てるって感じしますね。伊織さん、富士山バックに自撮りして良いですか?」
「俺のスマホでしよう。ほら、ここが良い」
富士山をバックに顔を近づけ数枚自撮りした。
「どうする?館内回って足湯行くか?」
「お腹は空いてませんから……足湯が先で」
「だよな。黒豚まん、冷めると美味しくなくなるからって半分食べて、ここに着く前にメロンパンも半分ずつしたもんな」
「だってぇ~、温かい物は温かいうちにですよ。それとメロンパンは楽しみにしてたから。メロンパン思ったよりメロン.メロンして美味しかった♪」
メロン.メロンしてるって可愛い~言い方だな。
「確かに普通のメロンパンよりメロンエキスが豊富だったな。名物にしてるだけあって旨かった」
そんな会話をしてる内に館内2階の足湯ラウンジに着いた。
受付で飲み物と30分予定で払う。
「どれから行く?」
「やっぱ、ドクタ-フィッシュでしょ?」
ラウンジの中でメインと思われる一番大きい足湯にドクタ-フィッシュが泳いでいた。
「あっ、可愛い~♪」
そう言いながら、足湯に恐る恐る足を入れると魚がミキの足に寄って来た。
俺も靴下を脱ぎカ-ゴパンツの裾を捲り足を入れる。
「うっ、冷てぇ~」
「お魚さんが居るんだから、お湯な訳無いじゃないですか?ひゃ~くすぐったい~♪」
それもそうか。
足湯って事で、てっきりお湯の概念があった。
俺の足にも魚が寄ってきてパクパク…角質を食べてるようだ。
「くぅ~、くすぐってぇ~。こそばゆい」
「古い角質食べてくれるから我慢しましょう。やっ、くすぐったい~♪」
余りにもこそばゆい感じに5分位で終わりにしたが、その間ミキが ‘やだ~くすぐったい♪’ ‘ひゃっ’とか言いキャッキャッとはしゃいでいたのが可愛いかった。
そんな可愛いらしいミキを俺の他にもラウンジで、足湯してる奴らが見ていた。
「次は、コラ-ゲンの足湯に行きましょう」
ミキに誘われ次に行くと、乳白色の足湯だった。
「うわぁ~乳白色なんて温泉見たい~。あっ、暖か~い♪」
「本当だな。さっきが水だったから、尚更気持ち良い~」
「何かちょっと滑りがありますよね。コラ-ゲンなのかな?」
「そうだな。あ~気持ち良い~」
「運転で疲れたでしょ?疲れが取れれば良いけど…」
暫くコラ-ゲン足湯を堪能し次に柚子.生姜足湯に入る事にした。
「柚子の香りと足がポカポカしてきますね」
「ああ、良いな」
窓から見える景色を見たり、受付で貰った館内パンフレットを見たりと足湯をしながら話す。
「あの金太郎が足柄山発祥なの?へえ~金太郎飴や金太郎関連のお土産が多いんだ」
「そうみたいだな。後で、土産屋見て回ろう。ここってSAなのに宿泊や温泉施設もあるみたいだな」
「凄い~。旅行じゃなきゃ温泉入ってみたかったなぁ~」
「それも面白かったかもな」
ミキにはそう言ったが、心の中では ‘俺がミキの裸を他の奴に見せる訳ねぇ~だろう’と呟いていた。
旅行に行く前日に、何の為にセックスして大量のキスマ-クをその体に付けたと思ってるんだ。
ミキが他人の前で裸にならない様にと予防策だ。
ま、1回で終わらず3回シタのはミキの色艶に負けた所為だが……それで朝ご機嫌斜めになられてしまったが
本当に素直って言うか学習能力が欠けてるお陰で助かる。
それも初島.熱海に行けば解るとは思うが、キスマ-クは薄くなっても、この旅行中付いてるだろうからな。
俺の思惑が解っても後の祭りだ。
つい笑ってしまった。
くっくっくっ……
「何か、面白い物あるんですか?」
俺が笑ってるのを勘違いして聞く。
「いや~、足湯も良いが熱海の温泉も楽しみだと思ってな」
足湯の中で、ミキの足の甲を俺の足先で何度か意味深に摩る。
意味が解ったらしく頬を染める。
「……俺もです」
それでも素直にそう言うミキが愛おしい。
それからまたドクタ-フィッシュに行ったり、他の足湯を試したりと、30分ギリギリまで堪能し館内を見て回る事にした。
館内にはパンフレットにあった様に金太郎関連のお土産が多かった。
腹も空いて無いし見て回るだけにし、一応島にも店があるとは思うが、大きな店は無いと思いホテルの売店でも良いかと思ったが、ここでワイン2本とつまみ関係だけ買って車に戻った。
「あ~楽しかったですね」
「そうだな。足湯も気持ち良かったし、何だか体も温まった」
「本当ですね。一足先に温泉入った気分です」
「後は、初島へのフェリ-の時間もあるから、このまま真っ直ぐ行くぞ」
「はい♪」
熱海まで車を飛ばす。
熱海ビ-チラインでは海岸沿いを走り、景色がとても良く風も気持ち良い。
ドライブには最適な道だった。
もうすぐで熱海湾だ。
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