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第515話
ホテルの部屋に戻りソファで寛いで過ごしていると、ミキが眠そうな顔をし目元を擦っていた。
目が閉じそうになるとハッとし、頭を振ってやり過ごしている。
「夕飯まで少し寝ろ。後1時間ぐらいは寝られるから。移動で疲れたんだろ?」
「ん…でも…それを言うなら…伊織さんの方が……運転…あ~ごめん。ねむ~い」
隣で座っていた俺の肩に頭を乗せ眠るようだ。
「それじゃあ疲れるだろ?膝枕するか?」
「う…伊織さんも」
肩から頭を上げ、俺に抱き着きそのままソファに押し倒され、ミキが俺の上で胸に顔を埋め覆い被さった。
俺は片足はソファから出し、ミキが落ちない様に抱きしめ頭を撫でた。
「ん…気持ち…いい。このまま寝るぅ」
「んじゃ、俺も少し休む」
開け放したベランダから風が入って、心地良さにそのまま暫しの休息を取った。
ピピピピッ…ピピピピッ…
「ん…あっ」
アラ-ムを掛けていたスマホを停止し、俺の体の上でまだ寝ているミキの頭を撫で起こす。
「ミキ、夕飯食べに行こう」
「……ん」
半分寝ぼけてるが、俺の声に従い俺の上から起き上がり、ソファに座りボ-ッとしていた。
俺も起き上がり、同じ体勢だったのもあり体を伸ばし立ち上がった。
「まだ、眠いか?散歩行く前に、カリ-パンを半分ずつ食べたきりだからな。腹は空いて無いか?」
「言われると空いてきた~」
「よし、じゃあ夕飯食べに大広間に行くぞ」
「は~い♪ 伊織さん」
座ったまま両手を出し、ん、引き上げろって事か?
甘えん坊だな。
その手を取りソファから引き上げ抱き締めた。
「甘えるミキも良いな」
「俺…普段も結構甘えてますよ?でも…旅行中はもっと甘えますからね」
「望むところだ」
チュッとミキからの可愛いキス。
俺からの深いキスを仕掛けようと顔を近づけると、口を手で塞がれ敢え無く撃沈だ。
「何でだ?」
「もう、ご飯行きます。……行けなくなると困りますから」
キスだけで済まなくなると思ってるようだ。
そのつもりは無かったが場の雰囲気によっては、夕飯が若干遅くなる可能性は高い。
塞いでる手の平に舌を這わせ舐めると「ひゃあっ」と口から離れた。
「解った。続きは、後の楽しみに取って置くか。夕飯食べに行こう」
「は~い♪」
部屋を出て指定された大広間に行く。
大広間には、テ-ブル席に部屋番号が書かれてあり探して席に座った。
テ-ブルには、既に海の幸が所狭しと並んでいた。
刺身.魚や貝の天麩羅.ワカメと海藻サラダ.アワビの肝焼き.もずく酢だ。
あさりの炊き込みご飯と味噌汁は、セルフサ-ビスでお代わり自由らしい。
瓶ビールを注ぎ合い乾杯だ。
「乾杯♪」
「乾杯♪ 良い旅行にしましょうね」
ゴクゴクゴク……
「う~旨い♪」
「美味しい♪」
「それにしても、見事に海の幸だな」
「嬉しいです♪ どれから食べようかな?……やっぱり刺身から♪」
「どんどん食べろ。この為に食べるの控えてたんだろ?メロンパンとかカリ-パンだったからな」
「お腹空かせた甲斐がありました。めちゃめちゃ新鮮でプリプリして美味しい♪ 天麩羅もサクッサクッ♪ ん~海老うまっ」
本当に、どれも美味しそうに食べるな。
「本当だな。天麩羅の揚げ方が絶妙だ」
特に絶賛したのは、アワビの肝焼きだ。
「ほろ苦いけどアワビが柔らか~い♪ こんな大きいの東京じゃあ高くって食べられませんよ。伊織さんも食べて.食べて♪」
勧められて食べたアワビは、マジで旨かった。
「ん、旨い.旨い♪ 肝が良い。ビ-ルにも合う」
「ですね」
声を潜めてミキに話す。
「ここのホテルは大浴場とかは無いが、料理が旨いって評判らしい。値段はそこそこだが、海も目の前だしダイビングショップが完備してるのが楽だ」
「へえ~、ダイビングショップが完備してるって良いですね。明日のシュノ-ケリング楽しみ♪」
「だな。明日の為にも沢山食べろ。ご飯もお代わりして良いんだぞ」
「食べ過ぎてウエットス-ツ入らなくなっちゃうかも」
「それは困るな。石垣島の時と同じサイズレンタル予約してるからな。軽く夜に運動するか?」
「夜?」
「ベットでな」
意味深に軽くウインクすると解ったらしく頬を染め、あさりの炊き込みご飯を頬張って誤魔化していた。
可愛い~♪
こんなたわいも無い会話や豪華な料理を2人で食べるのも楽しい♪
旅行の醍醐味だな。
さて、今日は明日のシュノ-ケリングの事を考え、軽く2回いや1回だけで我慢するか。
頬を染めモグモグ食べる可愛いミキを見てそう決めた
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