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第517話
思ったより寝過ごし、慌てて大広間に行く。
まだ、何組か食事をしてる姿が見え一安心した。
俺達のテ-ブルには、既に、豪華な海鮮料理が並んでいた。
「うわぁ~、今日も美味しそう。昨日の夜も豪華だったし、朝のビュッフェも和洋選べるし。ここのホテル料理は美味しいし、海に近いしで良かったですね」
「そうだな。危なく寝過ごして、この豪華な料理味わえない所だったな。ま、来なきゃ内線電話あるだろうけど。早速、食べよう」
「はい、いただきます」
「いただきます」
昨日と同じく瓶ビ-ルで喉を潤し料理を眺めた。
昨日と忖度なく豪華な料理だ。
小エビのサラダ.心太.伊勢海老の刺身.煮魚.金目鯛のしゃぶしゃぶ.貝のかき揚げとセルフサ-ビスの鯛飯.味噌汁だ。
ミキは早速伊勢海老の刺身を食べ「甘~い。プリプリ~」言う事が一々可愛いらしい。
俺も食べ始め、どれも本当に旨かった。
煮魚は味が染み込んでるし貝のかき揚げはサクサクだし、金目鯛のしゃぶしゃぶは都会で食べるより大きい切り身で食べ応えが充分だった。
豪華な料理を遅く来たのにも関わらず、ゆっくり食事を楽しめた。
部屋に戻り、今日で初島も最後だと少しだけワインを飲もうと言う事になった。
「楽しかった初島に、乾杯」
「本当に楽しかったです。乾杯」
カチンッとグラスを合わせ白ワインを口に含む。
ミキの好きな甘めですっきりした味わいだ。
「はあ~美味しい~。今日は楽しかったなぁ~」
「シュノ-ケリングか?」
「はい。同じ海なのに、石垣島はエメラルドグリーンでこっちはブルーの海。それに魚も南の方がやはり色鮮やかでした。なんか、同じ日本なのに不思議ですよね~」
「それは俺も思った。海も魚もだが、砂浜がやはり全然違う。こっちは荒いし岩場も結構あるしな。でも、岩場には蟹や貝もあるし、それはそれで面白かった」
飲みながら楽しかった初島を語っていた。
少しほろ酔い気分で居た所に、バルコニーから海風が入ってくる。
「気持ち良い風ですね。今日で初島も最後か~」
何だか寂しそうだ、徐にソファから立ち上がりバルコニーに近づく。
「ん、どうした?」
「ここから海見えるなぁ~と、それに波の音も聞こえる」
俺もミキの側に近寄り同じ方向を見た。
10時近くなるが、星と月灯りで空は明るい。
「ミキ、夜の海を散歩するか?」
「えっ、行きたいです♪」
「夕飯前に寝過ぎたから、丁度良い軽い運動だ」
「はい」
俺達はそのまま部屋を出て、ホテルの目の前の海を散歩する事にした。
ホテルを出て黒猫を呼ぶが、自分の寝床に帰ったのか?他をウロついてるのか?出て来なかった。
残念がるミキを励まし海に向かう。
人は殆ど居なかったが、カップルが何組か海を見ながら砂浜で座って話していた。
「ミキ、シュノ-ケリングした所に行こう」
「はい。伊織さん、海が月灯りに照らされて綺麗ですね」
「本当だな。今日は天気も良かったし、月も星も綺麗に見える。散歩に来て良かったな」
「はい♪」
ミキから珍しく手を繋いできた。
滅多に無い事で、やはり旅先と言う事もあるとは思うが、それでも嬉しかった。
ギュッと俺も握りしめ砂浜を歩く。
昼にも来た穴場スポットの場所には、誰も居なかった
岩場で海水浴の方からも見え難いし申し訳ない程度に砂浜があり、そこから座って海を眺めた。
「昼はここで遊んだんだな。昼と夜だとやっぱり雰囲気が違うな」
「昼は太陽がギラギラして夏って感じで解放的ですもんね。でも、夜は星と月灯りで何か神秘的ですね」
目の前の海からはザッザ~…と波の音、空には満天の星空と月灯り。
ロマンチックだ。
「昼に見た魚さん達も眠ってるんですかね?海も冷たいかな?」
「寝てんだろ。少し足だけ入れてみるか?」
「はい♪」
サンダルを脱ぎ捨て波打ち際を裸足で歩く。
「うわぁ~思ったよりも大丈夫ですね。ほら、伊織さん」
足でバシャッと俺に海水を掛けた。
上手く交わし、俺もミキに足で同じ様に掛けたるとミキも上手く交わし、暫くバシャッバシャッ……と遊んでいた。
俺もミキもTシャツにハ-フパンツだ。
少し濡れたが楽しかった。
テンションが上がった俺は砂浜に戻り、Tシャツとハ-フパンツを脱ぎ捨て、パンツ1丁で海の中に走って行った。
腰辺りにある海の中を顔をつけず泳ぎ、立ち上がりミキを呼ぶ。
「気持ち良い~♪ ミキも来いよ~」
始めは躊躇していたようだが、俺が何回か呼ぶとTシャツとハ-フパンツを脱ぎ捨て、同じくパンツ1丁で海の中に入って来る姿を海から見ていた。
月灯りがキラキラとミキに降り注ぐ。
白い肌がより一層月灯りで輝いていた。
綺麗な体だ。
まるで、そこだけ絵画の女神のようだ。
女神?ああ、‘金曜日の女神’と呼ばれていた事を思い出した。
少し恥ずかしそうに微笑む姿と白く輝く肌。
これこそ本当の意味での ‘女神’だ。
暫くその姿に目を奪われ、心でそう思った。
「うわぁ~、冷たいけど気持ち良い~♪」
ミキの声にハッとし見惚れていたのを誤魔化す様に、体に海水を掛け馴染ませる仕草をするミキに手で海水を救いバシャッと掛かると「ひゃあ~、伊織さん、お返しですよ~」とまた掛け合いが始まった。
笑いながら、海水をお互い掛け合い楽しかった。
もう2人共ビショビショだった。
開き直り、プカプカ空を見上げ海に並んで浮かんだ。
「伊織さんが突拍子も無い事するから驚きました。まさか、海に入るなんて」
「いや~自分でも驚いてる。そんなキャラじゃ無いしな。何だかミキと水遊びしてたらテンション上がった~」
クスクスクス…
「子供みたいですね。でも、楽しかった~♪ こうやって、夜の海に2人で浮かんで夜空見上げて…良い思い出になりました」
「まだまだ旅行も続くし、夏休みの日にちもあるぞ」
クシュッ。
「寒くなったか?そろそろホテルに帰るか?」
「寒くは無いですけど……でも、俺達ずぶ濡れですよ」
立ち上がって岩場の所まで歩く。
足首まで波に浸かり、岩場に体を預け少し体を乾かす事にした。
「こうやってたら、ある程度は乾くだろ。星空でも見るか」
満天の星空を見上げ、隣のミキを盗み見る。
濡れた髪.白い肌.美しい横顔.キラキラ光り輝いていた
何て綺麗なんだ。
あっ、キスマ-クが薄くなってきてる。
あ~、キスしてぇ~。
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