527 / 858
第528話
背後から抱きしめ湯に浸かる。
「疲れたか?」
「……疲れました。伊織さんのタフさには、お手上げです…も…眠いかも」
「もう少し温まって、寝ような」
「……うん」
あ~風が気持ち良い~。
幸せだ~。
肩に湯を掛け静かな夜に浸って5分程経つと、ミキの体がガクっと揺れた。
慌ててしっかり抱きしめた。
「おい、大丈夫か?寝てたのか?」
「ん…寝てたかも…」
「危ねぇ~な。ベットに行くか?」
「……ん」
ミキを立たせ露天風呂を出て、軽くバスタオルで2人の体を拭き横抱きにし寝室に向かった。
使われてないベットに2人で横になり、布団を掛け腕枕をし布団の上から背中をポンポン……とすると、俺の胸に顔を埋めス-ス-…寝息を立て始めた。
覗き込みミキの少し疲れた憂いのある寝顔を見た。
「寝たか。寝ていても綺麗な寝顔だな」
ス-ス-……ス-ス-……
「幸せそうに寝てる」
ミキの寝息を聞き、俺も眠気が襲ってきた。
布団の上にあった手を中に入れ、ギュっと抱きしめ俺も眠りについた。
ピッピピ…ピッピピピ……
「……ん」
目覚まし時計にしていたスマホからの音で目が覚め、鳴り続けるのを停止し時間を確認する。
「8時か。朝食の時間か」
朝から寝顔が可愛い~ずっと見ていたいが……気持ち良さそうに寝てるミキを起こすのも可哀想だが……。
隣でスヤスヤ…気持ち良さそうに寝ているが、声を掛け揺り動かす。
「ミキ、おいミキ。朝食だ、9時までに行かないと。起きろ」
「ん…んん…う…ん」
俺にくっ付き足を絡めてくる。
はあ~、朝から可愛い~んだが……困る。
「どうする?朝食行かないで朝Hするか?」
耳元で囁きニヤニヤする。
「……あっ…行きます.行きます」
咄嗟に離れ警戒するミキに笑いが漏れた。
くっくっくっ……
「笑ってないで、行きますよ!」
揶揄われたと知り拗ねた。
面白いな。
布団から出ようとし、直ぐに布団に潜り込んむ。
「……伊織さん。……俺……裸」
「あのまま寝たからな。俺も裸だ。新しい浴衣と脱ぎ捨てたパンツ持ってくる。待ってろ」
ミキは潜り込んだまま待つようだ。
俺は裸のまま布団から出て寝室を出て行き、自分の身支度をし、ミキのパンツと新しい浴衣を持って行きベットに腰掛けた。
「ほら、持ってきたぞ。着替えろ」
手を出し「下着、寄越して下さい」手渡すと、布団の中でパンツを履くようだ。
ミキの裸もミキのモノも何度も見てるのになぁ~と思いながらも、いつまで経っても初々しいミキだ。
この先もずっと変わらないんだろうなと思った。
そんなミキが清楚で俺の心を離さない一因でもある。
「浴衣は布団の中では、着られないだろ?」
「解ってます」
顔を出し、俺から浴衣を受け取り反対側にベットから下り、俺に背中を向けて浴衣を着た。
「着たか?朝食は大広間だ。行くぞ」
「はい」
ドアに手を掛け部屋を出る前に振り向き、ミキにチュッと軽いキスをした。
「おはようのキスだ」
「おはようございます」
チュッ。
お返しのキスが唇に落とされた。
裸になったりするのは恥ずかしがる癖に、こういうイチャイチャは平気なんだよなぁ~。
俺はこっちの方が恥ずかしいが……今じゃあ……俺もミキにだいぶ感化されてるな。
大広間にはバイキングスタイルで、何種類ものおかずが並んでいた。
ミキは「目移りするぅ~」「これ美味しそう」と言い、少しずつ沢山の種類を皿に盛って美味しそうに食べていた。
可愛い~奴だ。
「伊織さん、これ美味しい~よ」「朝から豪勢で嬉しい♪」「ん~、美味しい~♪」
美味しそうに食べるミキに釣られ、俺も結構な量を食べた。
美味しい朝食を食べ少し食べ過ぎたと、そのまま散歩する為に外に出た。
旅館から海が見え、そこまで散歩する事にした。
「あ~、お腹いっぱい~。ん~海風が気持ち良い~♪」
「散歩には丁度良い距離だな」
15分程歩くと港が見えた。
港から海を眺め防波堤を歩く。
「初島から、ここの港に到着したのかな?」
「かもな。あの島が初島だろ?」
「へえ~、やっぱ近いんだね。昨日まで、あの島に居たのが嘘のようです。楽しかったなぁ~♪」
「良い思い出になった。特に、夜の海がな」
ニヤニヤとしながら話すと、プイっと他所を向き聞こえない振りをしてるが、薄っすらと頬が赤い。
可愛い~♪
「えっと…今日は熱海観光ですね。それも楽しみ~♪」
「昨日は観光出来なかったからな。こっち遅く出た方が混まないと思うが、美術館とかは遅くまではやってないだろうから。途中で飯食ったりすれば良いか」
「はい。疲れたら運転交換しますよ」
「その時は、頼む」
頭をポンポンすると笑顔を向ける。
「寒くなって来たから旅館戻ろう。まだ、時間あるし露天風呂に入りろう。朝風呂も気持ち良いぞ」
「うん♪」
それから周りに人が居ないのを確認して、手を繋ぎ旅館に戻った。
ともだちにシェアしよう!