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第528話

背後から抱きしめ湯に浸かる。 「疲れたか?」 「……疲れました。伊織さんのタフさには、お手上げです…も…眠いかも」 「もう少し温まって、寝ような」 「……うん」 あ~風が気持ち良い~。 幸せだ~。 肩に湯を掛け静かな夜に浸って5分程経つと、ミキの体がガクっと揺れた。 慌ててしっかり抱きしめた。 「おい、大丈夫か?寝てたのか?」 「ん…寝てたかも…」 「危ねぇ~な。ベットに行くか?」 「……ん」 ミキを立たせ露天風呂を出て、軽くバスタオルで2人の体を拭き横抱きにし寝室に向かった。 使われてないベットに2人で横になり、布団を掛け腕枕をし布団の上から背中をポンポン……とすると、俺の胸に顔を埋めス-ス-…寝息を立て始めた。 覗き込みミキの少し疲れた憂いのある寝顔を見た。 「寝たか。寝ていても綺麗な寝顔だな」 ス-ス-……ス-ス-…… 「幸せそうに寝てる」 ミキの寝息を聞き、俺も眠気が襲ってきた。 布団の上にあった手を中に入れ、ギュっと抱きしめ俺も眠りについた。 ピッピピ…ピッピピピ…… 「……ん」 目覚まし時計にしていたスマホからの音で目が覚め、鳴り続けるのを停止し時間を確認する。 「8時か。朝食の時間か」 朝から寝顔が可愛い~ずっと見ていたいが……気持ち良さそうに寝てるミキを起こすのも可哀想だが……。 隣でスヤスヤ…気持ち良さそうに寝ているが、声を掛け揺り動かす。 「ミキ、おいミキ。朝食だ、9時までに行かないと。起きろ」 「ん…んん…う…ん」 俺にくっ付き足を絡めてくる。 はあ~、朝から可愛い~んだが……困る。 「どうする?朝食行かないで朝Hするか?」 耳元で囁きニヤニヤする。 「……あっ…行きます.行きます」 咄嗟に離れ警戒するミキに笑いが漏れた。 くっくっくっ…… 「笑ってないで、行きますよ!」 揶揄われたと知り拗ねた。 面白いな。 布団から出ようとし、直ぐに布団に潜り込んむ。 「……伊織さん。……俺……裸」 「あのまま寝たからな。俺も裸だ。新しい浴衣と脱ぎ捨てたパンツ持ってくる。待ってろ」 ミキは潜り込んだまま待つようだ。 俺は裸のまま布団から出て寝室を出て行き、自分の身支度をし、ミキのパンツと新しい浴衣を持って行きベットに腰掛けた。 「ほら、持ってきたぞ。着替えろ」 手を出し「下着、寄越して下さい」手渡すと、布団の中でパンツを履くようだ。 ミキの裸もミキのモノも何度も見てるのになぁ~と思いながらも、いつまで経っても初々しいミキだ。 この先もずっと変わらないんだろうなと思った。 そんなミキが清楚で俺の心を離さない一因でもある。 「浴衣は布団の中では、着られないだろ?」 「解ってます」 顔を出し、俺から浴衣を受け取り反対側にベットから下り、俺に背中を向けて浴衣を着た。 「着たか?朝食は大広間だ。行くぞ」 「はい」 ドアに手を掛け部屋を出る前に振り向き、ミキにチュッと軽いキスをした。 「おはようのキスだ」 「おはようございます」 チュッ。 お返しのキスが唇に落とされた。 裸になったりするのは恥ずかしがる癖に、こういうイチャイチャは平気なんだよなぁ~。 俺はこっちの方が恥ずかしいが……今じゃあ……俺もミキにだいぶ感化されてるな。 大広間にはバイキングスタイルで、何種類ものおかずが並んでいた。 ミキは「目移りするぅ~」「これ美味しそう」と言い、少しずつ沢山の種類を皿に盛って美味しそうに食べていた。 可愛い~奴だ。 「伊織さん、これ美味しい~よ」「朝から豪勢で嬉しい♪」「ん~、美味しい~♪」 美味しそうに食べるミキに釣られ、俺も結構な量を食べた。 美味しい朝食を食べ少し食べ過ぎたと、そのまま散歩する為に外に出た。 旅館から海が見え、そこまで散歩する事にした。 「あ~、お腹いっぱい~。ん~海風が気持ち良い~♪」 「散歩には丁度良い距離だな」 15分程歩くと港が見えた。 港から海を眺め防波堤を歩く。 「初島から、ここの港に到着したのかな?」 「かもな。あの島が初島だろ?」 「へえ~、やっぱ近いんだね。昨日まで、あの島に居たのが嘘のようです。楽しかったなぁ~♪」 「良い思い出になった。特に、夜の海がな」 ニヤニヤとしながら話すと、プイっと他所を向き聞こえない振りをしてるが、薄っすらと頬が赤い。 可愛い~♪ 「えっと…今日は熱海観光ですね。それも楽しみ~♪」 「昨日は観光出来なかったからな。こっち遅く出た方が混まないと思うが、美術館とかは遅くまではやってないだろうから。途中で飯食ったりすれば良いか」 「はい。疲れたら運転交換しますよ」 「その時は、頼む」 頭をポンポンすると笑顔を向ける。 「寒くなって来たから旅館戻ろう。まだ、時間あるし露天風呂に入りろう。朝風呂も気持ち良いぞ」 「うん♪」 それから周りに人が居ないのを確認して、手を繋ぎ旅館に戻った。

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