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第544話

「ふう~、疲れた~」 夏休み初日から残業し、コンビニで弁当を買って部屋に着いた所だった。 例のヘルシー食のプレゼンを纏めたり、9月末の仮決算資料作りをしたりと、通常業務の他にやる事が多く初日からの残業だ。 「腹減った~」 コンビニ弁当をレンジで温め、その間に着替えス-ツから部屋着になった。 ダイニングテーブルで温めたコンビニ弁当とペットボトルのお茶で遅い夕飯を食べながら、今日の会社での事を思い出していた。 今日は皆んな内勤で、久し振りに会社近くの定食屋に行った。 やはり夏休みの話になった。 佐藤は海に仲間と行ってナンパに成功したって喜んでたし、田口は彼女と旅行に行って喧嘩して、まだ仲直りしてないらしく気持ちが沈んでいた。 そんな中で、ミキに話題を振られあわあわしながら答えていたのが笑えた。 そんな事を思い出してたらミキの事を考えた。 「22時前か~、そろそろ終わって帰ってる頃か?」 旅行のお土産を持参し、おやじの店に集まって楽しく過ごしてるだろうな。 「おやじの旨い料理食べてんだろうな。羨ましい~。こっちは味気ないコンビニ弁当だ」 少し羨ましく思いながらも、コンビニ弁当を食べ終えた。 「Lineするかな?ん~声も聞きたいし……先に風呂に入るか?」 迷ってると、俺のスマホが鳴った。 ♪♪♪♪~…♪♪♪♪~… 画面表示は ‘香坂’ とあった。 グッドタイミングだ。 「おう、ミキ。楽しかったか?」 「は~い♪ 久し振りに、皆んな揃って楽しかったです~♪」 ん、飲んで少し陽気だな? 「そうか、良かったな。お土産は渡したのか?」 「は~い♪ 温泉饅頭でも、喜んでくれました~♪」 「そうか.そうか」 「伊織さ~んは、夕飯食べました~♪」 「済ました。結構、飲んだのか?帰りは、優希さんの所の車で送って貰ったのか?」 優希さんが居る時は、運転手付きで真琴君やミキを送ってくれる頻度が高い。 俺も安心だ。 「久し振りだったから、楽しくって~♪ 少し飲み過ぎたかも~♪ 今日は~♪ 裕さんが迎えに来てくれました~♪ マコ、嬉しそうでした~♪ 」 はっ?祐一? あっ、そうか。今日は月曜日で定休日か。 点数稼ぎしやがって~。 「そうか。俺もミキが呼べば、直ぐに迎えに行くのに」 「だってぇ~♪ 今日から仕事始めですよ~、疲れてるでしょ♪ 裕さんはお休みだったし~♪」 「まあな。風呂は?」 「ん~眠いから…明日の朝に…しようかな?」 眠そうだ。 「そうか、ちゃんとベットで寝ろよ」 「ん…だい…じょうぶ。ふぁ~…伊織さ…会いたいなぁ~…だい…すき」 飲んで甘えモ-ドか? 可愛い過ぎ~♪ 頬を緩め、電話の向こうのミキを愛しく思う。 「俺も会いたい。ずっと夏休み一緒だったからな。今日、会社でも一緒だったのに、もう会いたい」 眠りモ-ドのミキの頭に、俺の言葉が入ってるのか?疑問だが、今の気持ちを話す。 「一緒だね…あ~…もう…寝ます。おや…すみなさい」 「ん、おやすみ。明日な」 ミキとの電話を切り、そのままベットに行かず眠ってしまうんじゃないか?と心配になり、ミキの部屋に行こうか?悩む。 ‘会いたい’ と言われ嬉しかったし、俺も会いたい。 やはりミキの所に行こう。 シャワー浴びて明日のス-ツに着替えて行けば良いし、朝も車で一緒に会社に行けば良い。 ん、そうしよう。 ミキの部屋に行く事に決め、シャワーを浴びようと立ち上がった所でスマホが鳴った。 ♪♪♪♪~♪♪♪♪~ 画面には、沙織の名前があった。 何だ? 俺よりミキとの連絡とってる方が多い沙織が……用事もなきゃ連絡してこない奴が。 「はい。何だ?珍しい~な」 「はっ! 何だ?じゃないわよ! この変態のろくでなし! ったく! ろくでなしだとは思ってたけど、最低~ね!」 「何だと~! 何怒ってんだか知らねぇ~けど、いきなり訳も言わず怒るかよ~普通!」 「ふん! あ~スッキリした~。じゃあ~ね」 好き放題言って、勝手に切りやがった。 画面を見つめ悪態を吐く。 「はっ! 何訳解んねぇ~事喚いてんだ~。我儘な奴!」 相手してらんねぇ~。 気持ちを切り替えて、シャワー浴びに行った。 この後に、沙織が激怒してた訳が解る事になる。 スマホに着信の知らせがあり、見ると龍臣からだった 「龍臣?珍しい~」 折り返し龍臣の携帯に電話すると、直ぐに出た。 「おう。珍しい~な」 「まあな。元気か?」 「ああ、お前は?相変わらず忙しそうだな」 「まあな」 「んで、どうした?電話掛けてくるなんて、何かあったのか?」 「今日、優希達集まっただろ?」 「ああ。ミキがお土産渡すって、おやじの店で集まって…さっきミキと電話して切った所だが、優希さん帰ってないのか?」 てっきり優希さんの帰りが遅いから、電話してきたと思った。 「いや、優希も帰ってる。あっ、土産サンキュー。でだ、優希も久し振りに楽しかったと、話してたんだが」 それから龍臣は大まかに、おやじの店での優希さんとミキ達のやりとりを教えてくれた。 「xxx xxx xxxで、優希が何とか誤魔化しながらも、それらしく納得する様に話したらしい。最後は3人の中で俺が一番酷かったって強調して話したって言ってたがお陰様で優希には昔の話しを掘り返された」 そんな事があったのか? ミキとの電話では、そんな話して無かった。 忘れてるのか? 優希さんの話しで、納得したんだろうか? 「そうか、悪かった。旅行でテンション上がって、何気なく言った言葉だったんだが~。済まん。で、優希さんとは大丈夫か?」 「ああ、ちょっと言われただけだ。こんな事ぐらいは屁でもねぇ~。離れられない様に夫婦って形で、雁字搦めにしてっからな」 「そうか。羨ましい」 龍臣の言葉につい本音が出た。 「優希が別れたいって言っても、手続きが面倒だからな。ちょっとやそっとじゃ別れられない様にしてんだ俺には優希が必要だからな。それにしても、優希が学生時代に俺が一番酷かったって思ってたのが、ショックだ~」 「はっ! その通りだろうが。あの頃は見境無い獣だったからな」 「お前も祐一も変わらねぇ~だろうが」 「いや、お前が酷かった! 俺も祐一も一応周りを気にしてたが、お前はどこ吹く風って感じで、堂々とシテただろうが。寮でも屋上でもトイレもあったし、屋上の階段の踊り場でもシテたよな」 「お前は屋上の貯水タンクの影だろ? 後は、空き教室か?」 「良く知ってんなぁ~」 「ま、そんなの何となく解るもんだ。そんな事より、今後は気を付けろよ」 「ああ、済まん。迷惑掛けた。まさか、青姦がミキの中で引っかかってたとはな。ミキはちょっと世間知らずな所がある天然なんだ、そこがまた可愛い~んだが」 「はい.はい。惚気はいいから~。じゃあな」 「おう、また会おうぜ」 龍臣との電話を切り、沙織が激怒して電話してきた訳もこれで解った。 龍臣が電話してきたくらいだ、たぶん掛かってくるだろうな。 そう思ってた所に、スマホが鳴った。 やっぱりな! いつになったら、俺はミキの所に行けるんだ~。

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