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第550話

ホテルのレストランの入口まで、腕を組んでジェフさんにエスコートされた。 ボーイの案内で、そのまま伊織さん達が待つテーブルまで2人で行き、ボーイが俺の椅子を引こうとするのを制し、ジェフさんが椅子を引いてくれた。 @「ありがと♪」 @「どういたしまして♪」 そう言い、またウィンクする。 伊織さんがその一連の行動を見て、ジェフさんに文句を言っていた。 @「ジェフ! 何で、腕組んで来たんだ?ミキに馴れ馴れしく触るな!」 ジェフさんもケニーさんの隣に座り、ケニーさんの頬にキスし何食わぬ顔で話す。 ケニ-さんもいつもの事なのか?自然に頬のキスを受けていた。 本当~に、絵になる2人だなぁ~。 @「何、怒ってるんだ?先に、サッサと行ったのはイオリとケニーじゃないか?俺はイオリの大切な人を、ここまでエスコートしただけだが?」 くそぉ~、大切な人って言われたら文句言えない! @「イオリ、ジェフはいつもこうなんだよ。誰にでも優しいからね」 @「特に、ケニーには優しくしてるつもりだが?」 @「まあね。でも、誰にでも優しいから誤解する子も居る……」 @「可愛い焼きもちか?嬉しい~ねぇ。いつも言ってるだろ?愛してるのはケニーだけだ」 @「解ってるけど……不安なんだ」 @「俺の心を掴んで、離さないのはケニーだけだ。仕事のパ-トナ-としてもプライベートのパ-トナ-としても必要な人だ」 @「それは僕も同じだよ」 周りを見てないのか? 2人の世界に入ってる2人に呆れた。 俺の隣に座ってるミキもどうしたら良いのか解らず、俺のス-ツの裾をクイックイッと引っ張る。 ゴホンッ。 咳払いをし、口を開いた。 @「2人の世界に入ってる所悪いが、食事にしよう。そう言うのは、帰ってから2人でやってくれ」 @「悪い。つい、ケニーが可愛いくってな。食事にしよう。コース料理とワインは頼んでる」 そう言ってボーイに手配するように指示を出し、暫くすると前菜とシャンパンが運ばれて来た。 シャンパンで再会を喜び乾杯した。 「「「「乾杯」」」」 喉を通るシュワシュワ…した感触が良い。 「伊織さん、美味しいシャンパンですね」 「旨いな」 @「2人で微笑んで何話してるだ。日本語は禁止だ!」 @「悪い.悪い。シャンパンも美味しいって話してた」 @「ワインも旨いぞ。食べながら、イオリ達の馴れ初めを聞かせてくれ」 @「解ったが、惚気になるかも知れん」 はははは…… @「存分に惚気てくれ」 @「イオリの口から、惚気なんて言葉が出るとはね?あ~楽しみ♪」 「伊織さん!」 照れるミキを他所に話し始めた。 コースのフランス料理を食べワインを飲み、大まかに出会いから今に至るまでを話し進めた。 ジェフもケニーもアメリカに居た時の俺とは違う事に驚いた顔をし、時には揶揄い笑いながら話しを聞いていた。 @「ほお~、イオリがそんな熱い男とは思わなかった。どちらかと言うと、クールガイだと思ってたが」 @「仕事には情熱的だけどね。恋愛には淡白だと思ってたから驚き~だよ」 @「そうだな。ミキと出会う前はそんな感じだったがそんな俺を変えたのもミキだ。愛する楽しさや嬉しさを教えてくれたのも、ミキなんだ」 黙って口を挟まず、照れながら食事やワインを楽しんでたミキが口を開いた。 @「それは俺の方です。こんな素敵な人が…恋人で嬉しいです。仕事面でも尊敬してますし恋人としても、たくさんの愛を貰ってます」 @「イオリの惚気も凄いが、ヨシキの惚気も凄いな。な、ケニー」 @「うん。良かったね、イオリ。イオリの良さが解らず、ずっと1人で生きて行くのか?心配だった。イオリは冷めてるように見えて、本当は優しいからね。ヨシキはそんなイオリを解ってるんだね。良かった.良かった」 @「はい! 」 元気良く返事をするミキを見て、ジェフもケニーも笑う。 俺のミキへの惚気がそれからも暫く続き、ジェフもケニーも和かに聞いていた。 普段、惚気を言いたくとも言えないから、ここぞとばかりに話した。 ミキは照れて時々「伊織さん!」と制するが、俺の惚気は止まらない。 これで俺がどれだけミキに本気か、ジェフにも解ってくれただろう。 その思惑もあり話していた。 レストランの食事も終わり、ジェフが支払いをしてくれたので、このままホテルのバーで飲み直そうと誘いそこの支払いは俺がすると決めていた。 そのまま最上階のバーに行き、ボックス席に案内を頼んだ。 俺達が通る度に聞こえる感嘆の声と囁き。 @「ほぉ~」 @「ヒュー♪ 美人だぁ~」 @「すげぇ~な。お近付きになりたい」 @「くぅ~羨ましい~」 ジェフやケニーもハンサムでイケてるが、この感嘆の声や囁きは、俺の背後から着いてくるミキにだろう。 その証拠にジェフやケニーも俺を見て ‘大変だな’って、声には出さず笑っていた。 俺も苦笑いし応えていた所に、俺のス-ツの裾を引っ張るミキに顔を寄せて話す。 「何だ?」 「伊織さん。3人が並ぶと、周りの反応が凄いですね。3人共俳優みたいでカッコいいから」 「はあ?あ~……そうか?」 「はい!」 ミキの天然は、ここでも炸裂だ。 自分が見られて言われてるとは、1ミリとも思わない所が逆に凄い。 こういう天然な所が可愛い~んだが……ま、アピールしても本人はこれだからな。 苦笑いし、隣に並びミキの腰に手を回しエスコートし ‘俺の者だ’ と、周りに牽制の意味も込めアピールした ボックス席でチ-ズ.チョコ.ナッツとワインを頼み、4人で改めて乾杯した。

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