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第564話

夕方近くに、佐藤が帰社した。 「佐藤、ヘルシー食決まったぞ」 「課長、本当ですか?やった~♪」 報告すると佐藤も喜んでいた。 皆んなで何度も話し合い案を出し、それが実ろうとしてるんだ喜びもひとしおだろう。 「さて、佐藤も揃ったし。プロジェクトも成功しそうだ。どうだ、金曜辺りに皆んなで労うか?」 「良いですね。皆んなで飲むのも久し振り~♪」 ミキは良し。 「大丈夫です」 田口も良し。 「……すみません。金曜日は都合悪いんで…私、抜きで…」 珍しい、佐藤がダメか。 「佐藤がダメなら、皆んなが都合良い日にしよう。別に、いつでも良いんだからな。今月末だけは俺が無理だが、それ以外なら大丈夫だ。また、日にちは決めよう」 「……すみません」 「…そんな気にするな」 田口が済まなそうにしてる佐藤の肩をポンッと手を置くと、ピクッと肩を微かに肩を揺らし引き攣った顔をしたのを俺は見逃さなかった。 田口も直ぐに気が付いて、肩から手を外し距離を置いた。 その光景を自席から何気なさを装って見て居た。 ん、佐藤がこの間から様子がおかしかったのは、田口に関係あるのか? 叱られたか? 飲み会や騒ぐ事が好きな佐藤が参加しないのも変だと思っていた。 田口に、それとなく聞いてみるか? まあ、叱られたとしても、そのうち直ぐにいつもの佐藤に戻るだろうと、その時は軽く考えていた。 週末を挟んで月曜日には、なぜか?田口まで様子がおかしかった。 佐藤は借りて来た猫みたいに大人しいし、田口が話し掛けると普通にして見えるが一瞬ビクッと身構えて視線を逸らしているし、田口もいつもより佐藤にキツく当たり時々睨んでる節がある。 何だ? 拗れてるなぁ~。 1課の良い所はチ-ムワ-クだ。 このままだと……明日の千葉工場の時に、やはり田口に聞いてみる事にした。 俺が見て居ても解るのに、側に居るミキは自分の事にも無頓着だが、人間関係の空気が読めない所があるからな。 佐藤も田口もミキには普通に話し掛ける所為もあるが……。 日常生活に関しては気が効くのに、人間関係の疎さがミキの良い所なんだろうか? そんな天然なミキが可愛い~と思ってる俺は相当イカレてるかも知れない。 「上野さん、すみません。留守番お願いします。私と田口は千葉工場に居ますから、何か有れば連絡下さい」 「はい。いってらしゃい」 「じゃあ、お願いします。田口、行くぞ」 「はい。上野さん、すみません、お願いします」 「はい。大丈夫よ」 田口と一緒に課を出て、会社の敷地に置いてある社有社で千葉工場に向かった。 田口の運転で俺は助手席に座り、千葉工場で打合せする為の資料を眺めていた。 資料を確認し終わると、田口がアメリカ出張の話を聞いてきた。 その話しをしながら千葉工場まで向かった。 千葉工場に着く前に近くの蕎麦屋に寄り昼食を軽く取り、1時訪問に合わせて千葉工場に着く。 千葉工場長が出迎えてくれ挨拶を交わした。 「わざわざお越し下さって」 「いいえ、赴任の挨拶以来ご無沙汰してすみません。これ皆さんで食べて下さい」 「ありがとうございます。会議室で打合せで宜しいですか?」 「はい」 工場長の案内で会議室に向かう。 会議室では、器ラインのリ-ダ-と事務員と工場長.俺と田口で打合せする事になった。 今回の資料とプロジェクトの主旨を話し、器サンプルを並べ工場確認をして貰った。 「どうですか?今のG&Kの器ラインを一旦こちらに生産して貰う事は出来ますか?」 「それは大丈夫ですが、どのくらい必要で?期日は?」 「G&Kからは11月から店で展開していきたいと言う旨で話しがきてます。遅くとも10月中旬にはアメリカ支社に送りたい。20店舗で10客分を店に初期納品し、あと10客分は不足に備えてアメリカ支社に在庫として置いときたい。1つの器で400です。御膳.皿x2.茶碗.お椀.ガラス皿.鍋用卓コンロと種類は多いです」 「結構な量ですね。どうだ、出来るか?」 工場長がリ-ダ-に問い掛けると暫く考えていた。 「そうですね。今はG&Kの器生産も少ないですから、ラインは大丈夫だと思います」 「そうか」 工場長も久し振りの大口にやる気がありそうだ。 「じゃあ、サンプルは置いていきます。何か、ありましたら田口が窓口になりますから、田口に何でも遠慮なく話して下さい」 「宜しくお願いします」 田口が挨拶すると、顔馴染み何だろう皆んなニコニコとし「田口君が窓口なら心強い」工場長から温かい言葉を頂いた。 田口とリ-ダ-はサンプル品を前に、2人で軽く打合せを始めた。 俺は工場長と事務員に雑談も兼ねてアメリカ出張でのG&Kの反応やアメリカでの日本食ブ-ムで、更にヘルシー食はもっとお客様の見込みがあると考えてる事を話した。 打合せは2時弱で終わり、工場内を視察させて貰いラインも見学した。 帰る祭に、社有車の前で工場長達に挨拶し見送りされ千葉工場を後にした。 「良かったですね。何とか、なりそうですね」 「そうだな。丁度、生産ラインも少ない時だったしな。田口、器関係は千葉工場と窯業者の方と密に頼むぞ。何か問題あった場合は、直ぐに報告してくれ」 「はい。解りました」 田口に仕事を任せるのは信頼の証だと解ってるだろう顔が引き締まった。 千葉工場の打合せも終わり一安心した。 あっ、今の内に聞いて見るか? 「そう言えば、佐藤が元気無いような気がするが…何かあったか?」 「……特には」 いつもの田口らしく無い言い方が気になった。

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