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第574話 番外編
「好きだ! 好きなんだ! だから…チャンスだと…今日だけ…だから、酔ってる田口さんを誘惑したんだ……最低なのは俺だよ! 」
半ギレで叫ぶ佐藤。
やっと本音を言った。
「俺も好きだ!」
佐藤の本音の気持ちに、俺も本心を言った。
目を見開き驚くが、直ぐに顔を両手で覆って頭を振って否定の態度を取った。
「嘘だ.嘘だ~。俺の気持ち知ってて……情けかけてんじゃねぇ~よ!」
俺は向かい合わせで座っていた1人掛けのソファから立ち上がり、佐藤の側に行き真正面に跪き、顔を覆ってる手を退けさせ膝に置き握り締めて話す。
「佐藤、嘘じゃない!」
俺の顔をチラッと見て目を逸らし
「どうせ、可愛い後輩として好きだとかの落ちだろ?」
目を逸らす佐藤に今までのイライラが蘇る。
「目を逸らすな! 後輩とかじゃなく佐藤が俺を好きな気持ちと一緒だ!」
信じられないと目を見開きやっと合わせた。
「嘘だ! だって……そんな訳無い。ずっと後輩としか見て無かっただろ?何で、急に?俺が言ったから?無理しなくて良い~よ」
握ってる手に力を込め、俺の気持ちが解るようにギュッと握る。
「無理してない。佐藤の話す通り、あの時までは可愛い~後輩としか見て無かった」
「だよな?だから、無理するなって言ってんじゃん」
俺の話しを最後まで聞かない佐藤に腹が立つ。
「ちゃんと話しは最後まで聞け! 少し黙れ!」
「………すみません」
大きな声で制すると、シュンと大人しくなった。
「黙って聞いてろ! あの時から、佐藤の事が頭から離れなくなった。‘忘れましょう’って言いながら、俺にビクつく佐藤にイライラし部屋に戻っても佐藤の事を考えてた。……あの時の佐藤の色っぽい姿が頭から離れなかった」
「俺……田口さんから ‘酔った勢いだ、無かった事にしてくれ’って言われるのも後悔されるのも嫌だった……だったら、自分から言った方が…田口さんも気が楽になるかと…。ビクつくのは条件反射って言うか、田口さんを意識してたんだと思う」
落ち着きを取り戻し素直に話す佐藤。
「そうか、意識してたのか。俺も意識してた」
「……でも、男との初めてのセックスが良かったからじゃね~の?俺じゃなくっても……」
今度は自虐的に話す佐藤だ。
ったく、コロコロ感情が変わり過ぎだ。
香坂とは違うが、佐藤もある意味自分の感情を素直に表す所がある。
解り易いって言うか……そこが可愛い~んだが。
「誰が、男とのセックスに嵌(はま)たって?佐藤は俺の事そんな奴だ思ってんのか?」
心外だ!と、わざと睨んで話す。
「いや、そうは言ってませんけど……」
今度は失言だったと反省してるようだ。
面白れ~奴だ。
「相手が佐藤だからだ! 確かにキッカケはあの時だったが、佐藤と居ると楽しいしずっと可愛い~とは思っていた。それが、あの時の事が原因で佐藤を失うかと思ったら……佐藤が男とも経験ある様な事言われ……相手が誰か?とか焼きもち妬いた。佐藤を好きだと解ったキッカケはそうだったが、ずっと心の奥では佐藤を好きだったのもかも知れない。ただ、男だからって無意識に排除してたと思う。佐藤が勇気出して行動してくれたから気付けた。ありがと、佐藤」
俺の話しを黙って聞いてた佐藤の目が潤んで涙が溢れてきたが、俺が両手を握ってるから拭く事が出来ずに涙が頬を伝う。
アイドル顔の頬に伝う涙がとても絵になる。
綺麗だなっと思ってジッと見ていた。
「本当?本当に俺で良いの?俺……ずっと田口さんの事好きだった。諦めてたから……夢みたいだ」
「佐藤が良いんだ! 俺が1番佐藤の事は解ってるし、佐藤と一緒に居るのが楽しいんだ」
アイドル顔に伝う涙を顔を近づけ舌を出し舐めとった
後から後から出てくる嬉しい涙をペロペロ…舐めとる
「うぅ…田口さん…うう…」
俺の首に手を回し、抱きついてきた体を俺も抱きしめた。
佐藤の耳元で囁く。
「好きだ!」
「もう1回言ってよ」
「佐藤が好きだ!」
首に回してる腕にギュっと力が入ったのが解った。
「もう1回」
「何度でも言ってやる。好きだ、佐藤」
俺の顔を潤んだ瞳でジッと見つめ
「本当に?」
「ああ、本当に佐藤が好きだ」
「……嬉しい」
また、涙が溢れ頬を伝った。
「佐藤は笑ってる顔の方が良い」
頬を伝う涙を、今度は俺の指先で拭う。
「うん.うん」
泣笑い顔を見せた。
そうだ、俺はいつもバカな話しをして、皆んなの笑いを誘い場の雰囲気を明るくするこいつの笑ってる顔が好きだった。
俺も何度も佐藤の明るさに救われた。
出来が悪く不器用だが、可愛い~後輩だと思って居たが……好きになった…いや、好きだったんだ。
まだ、色々聞きたい事は合ったが、佐藤の方が限界だったらしく疲れてしまい、続きは明日にする事にした
今は、服を着たまま1つのベットに居る。
俺の腕の中で、幸せそうな顔で寝ている佐藤。
まだ、不思議な感じはするが……俺の隣で笑ってる佐藤が居るのが当たり前になっていくんだろう。
恋人になった佐藤はどう変わるのか?
それとも変わらないのか?
セックスの時には、俺が知る佐藤とは全然違って居たが……それも楽しみだ。
これからは仕事だけじゃなく、休日も一緒の時間を過ごすんだな。
そう思ったら、いつも笑ってる自分の未来が想像ついた。
「……たぐ…ちさん…」
「ん、起きてるのか?」
「……ち…さんが…す…」
目を閉じて、やはり寝てるようだ。
寝言を言ってるんだな。
俺の夢を見てるのか?
緊張と疲れで熟睡してるが、幸せそうな佐藤の寝顔を見て自然と微笑んで居た。
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