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第584話

会社を時間差で出て、伊織さんの車で大将の店に向かい近くのパーキングに車を停めて2人で店に歩く。 ガラガラガラ…… 「大将、お久し振りです」 「おっ、ヨシ君。ここ最近来てなかったなぁ~。寂しいから、頻繁に顔を見せてくれよ」 「すみません。仕事が忙しくって、やっと一段落しました。また、頻繁に来ますね」 「待っとるぞ」 ミキの背後居た俺はミキとおやじの会話を耳にし、心の中で ‘何が、寂しいから頻繁に顔を見せてくれよ’ だよ~。ったく、いい歳した爺さんが何言ってんだか…ミキにデレ顔だ…と毒付いてた。 「おっ、おやじ。久し振り」 「お前も来とったのか?」 「おやじ~、ミキの時と態度がだいぶ違うじゃね~か?」 「当たり前じゃ! わしは、ヨシ君贔屓(ひいき) じゃ! ヨシ君は素直で可愛い~からのぉ~」 「へい.へい。ミキが素直で可愛い~のは、おやじより俺が1番知ってる!」 「もう! 良い加減にしなさいよ、伊織!」 カウンターに座ってた沙織が口を出してきた。 「沙織! 居たのか?気付かなかった」 「伊織達が入って来るのは、見えてました! 失礼しちゃうわ!」 「すみません、沙織さん」 「んもう、ヨシ君が悪いんじゃないんだから~」 「はい.はい。俺が全て悪い」 「解れば良いのよ、解れば」 「で、皆んなを集合させて何だ?」 「それは、まだ内緒♪ マコちゃんももう少しで着くってLineあったから、皆んな揃ってからね♪ テーブル席に移りましょう。大将。適当に、お料理お願いします」 真琴君が着くまで、テ-ブル席でたわいない話しをして待って居た。 何だ?沙織の奴、勿体ぶって。 これで大した用件じゃ無かったら…ミキとの大切な時間が無駄になる。 ミキと沙織の話しを相槌をうちながら聞いて居た。 10分程で真琴君も到着した。 「ごめん.ごめん」 「大丈夫よ。そんなに待ってないから。ほら、座って.座って」 「ありがと。あっ、成宮さん、お久し振りです」 「久し振り。祐一も元気か?最近、全然会って無いからな」 「祐さんも元気です。お店は忙しそうですけど」 「繁盛してんだな」 「何、飲む?仕事終わったら、大ちゃんも来るからね」 矢島君が来ると聞いて ‘やっぱり、結婚の話?’とミキは目で俺に語り掛けてきた。 俺も目配せをし、沙織に応えた。 「俺、車だから。ウ-ロン茶で」 「じゃあ、俺も」 俺を気遣いミキも飲むのを止めると話すが、折角、真琴君達との再会なんだしと思い 「俺の事は気にするな。部屋に帰ったら、少し付き合ってくれれば良いから、ミキは飲んで良いぞ。それと、真琴君は帰り送って行くから」 「ありがとうございます。ミキ、飲もうよ」 「伊織さん、ごめんね」 「気にするな」 俺はウ-ロン茶で、ミキ達は生ビ-ルで乾杯した。 料理も運ばれ食べながら、近況報告会が始まり黙って聞いてた。 キャッキャッキャッ…… 賑やかに話す3人はまるで女友達みたいな姉妹みたいな感じだった。 いつもこんな感じなのか? ここに優希さんも入ってるのか? まあ、優希さんは大人だからな、ニコニコ話しを聞いてるんだろうけど……。 ミキも楽しそうだし、ま、良いか。 久し振りに会ったんだろうからな。 話しに花が咲いていたが、俺は何の為に集まってるのか?気になって飲み食いしてた。 そろそろ沙織から何か言っても良い頃じゃないか? そう思ってた頃に、2杯めのレモンサワーをそれぞれ頼みレモンサワーを口にしてから、沙織がそれまでと違う顔をした。 ん、そろそろか? 「ねえ~、ところで沙織さん。今日って、何の集まりなの?」 真琴君が疑問に思って聞くと沙織が微笑んだ。 ふふふ…… 沙織のこの笑顔?何か嫌な予感がする。 「あのね、今日集まって貰ったのは…あっ…」 そこに店の戸が開いた。 ガラガラガラ…… 「大ちゃん!」 「すみません、遅れちゃって」 「思ったより早かったわね?」 「ん、大丈夫そうだから、後は任して来ました。大将、ご無沙汰してます」 「おお、矢島君。元気にしておったか?何か飲むかね?」 「元気です。車で来てるので、ウ-ロン茶で」 おやじからウ-ロン茶を渡され沙織の隣に座った。 矢島君が来るまで話さなかったのは……やはり結婚の発表か? 隣のミキに ‘やはり結婚発表か?’と目で訴えると、ミキからも ‘やっぱり?’と目で応え、俺達は皆んなには解らないように目で会話した。 「成宮さん、お久し振りです。ヨシ君とマコちゃんも久し振りだね。ところで沙織さん、皆んなには話したんですか?」 「今、話そうと思ったら大ちゃんが丁度来たから、まだよ」 「そう何ですか」 この2人の会話を聞いて、ミキと顔を見合わせ ‘やはりそうだな’ と2人で確信し合った。 真琴君だけは気が付いて無いようだった。 「え~、何.何?」 ふふふ…… 「じゃあ、話すわね」 沙織の嬉しそうな顔に反して、矢島君は気の毒そうにしてるのが、少しばかり変だと気になった。

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