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第589話

呼ばれてドキドキ…しながら、部屋に入った。 「わぁ~。成宮さん、カッコいい♪」 「成宮、似合うよ。王子様って雰囲気出てる」 真琴君と優希さんから賛美の声が聞こえるが、肝心のミキからは何も言われず不安になる。 「ほら、ミキ。カッコいいよね?」 ボーっと俺を見たままだったミキは真琴君の声にハッとし、俺の前に近づき目の前で止まった。 「伊織さん! カッコ良過ぎます! ドキドキしちゃう。本当に、お伽話から出て来た王子様みたいです♪」 ミキの声に安堵した。 「ミキだけの王子様だ!」 そう話すと、ミキは頬を染め可愛いらしくふわりと笑った。 2人の世界に入ってると、祐一が横から茶々を入れた。 「キザったらし~」 「祐さん! そんな事言わないの! 成宮さんはミキの王子様で良いんだから」 「じゃあ、俺はマコの王子様か?」 滅多にそんな事を言わない祐一が言ったキザな言葉に真琴君も照れながらも「うん♪ 僕の王子様は祐さんだよ♪」笑顔を見せた。 向こう側では、優希さんに髪の毛を触られながらも褒められてるらしく、余り人前では笑顔を見せない龍臣が嬉しそうに笑ってた。 それから、にわか写真撮影が始まった。 色んな角度からミキに写メを撮られ、ポ-ズも指定されたりと少し恥ずかしかったが、祐一と龍臣も似たような感じだった。 パンッパンッ! 「はい! もう良いわね。次はヨシ君、マコちゃん、優希さんよ♪ 伊織達と違って、時間掛かるから行くわよ♪」 今までテンション高くしてたミキ達が急に自分達の番と知り、テンションが低くなり沙織に連れられ部屋を出て行った。 何だか~変な緊張感があったなぁ~。 ミキ達が部屋から出て行った後に、疲れがドッと出てソファーに座った。 「疲れた~」 「俺もだ」 「こんな格好する時ねぇ~からな。優希にどう思われるか緊張した~」 俺だけじゃなかったんだな。 「でも、皆さん似合ってますよ。ヨシ君もマコちゃんも優希さんも喜んでたし……惚れ直したと思いますよ」 「そうかな。ま、ミキは俺がどんな格好しても喜ぶしさっきも頬を染め見てた姿は可愛いかったなぁ~」 「マコもいつもの俺とは違うから照れて可愛いかった~」 「それを言うなら優希だって ‘龍~、似合う.似合う’って褒めてくれた」 「そうですよ~。3人とも嬉しそうにしてました。本当に良く似合ってますよ! カッコいい~です。俺も王子様が良かった~のに、沙織さんがジャスミンになりたいって言い張るから。羨ましいですよ。後は、あの3人がどんな風になるか?楽しみですね?」 そうだ! 今度はミキ達の番だ♪ 沙織の事だ、本格的なんだろうな。 楽しみだなぁ~♪ 「矢島君はもう解ってるんだろ?」 「……ええ。沙織さんのコンセプトは聞いてます。俺からは言えません。沙織さん、貸衣装屋とかレンタル屋とか友達とか色々聞いたりして努力してましたからね。ま、結局、通販で買った方が安いからって、殆どの衣装は通販ですよ。それで友達とかに飾りや刺繍お願いして納得いく物にしたみたいで。ま、靴やバック類はレンタルしてましたけどね」 「そうか、沙織もそんなにしてくれてたのか? 沙織が1番楽しみにしてるとは言え……その努力には頭が下がる」 「本当だな。嫌だとか言って悪かったな」 「そうだ! 通販で買った分は、俺達がそれぞれ買い取ろう。ま、細かい靴やバックなどは悪いが沙織さん持ちで。その代わり沙織さんと矢島君のチケット代や昼飯代は俺達で出そうぜ」 「それ良い! 取り敢えず龍臣が全部出してくれよ。後で、纏めてチケット代も昼飯代も通販代も3人で割り勘しようぜ。良いだろ?」 「ああ、良いぜ。近々、おやじの店に集まって飲もうぜ。その時に割り勘しよう。矢島君も来いよ。通販の金額も知りたいし」 「いや、悪いですから通販代は良いですよ。沙織さんの我儘だし、楽しみで勝手にやってる事なんで」 「いや、考えを変えれば、沙織のお陰でミキ達の女装が見れるんだ。なかなか見る事が出来ない、沙織のお陰だ。通販代ぐらい安いもんだ」 「そうだな。この間もマコの女装すっげぇ~可愛かったし、また見る事が出来るのも沙織さんのお陰だ」 「俺も優希の女装姿を見る事が出来るなんて夢みたいだ。衣装を買い取って、たまに着せるかな?」 「おいおい、変な趣味に走るなよ~」 「伊織には言われたくねぇ~」 「はっ?ミキは女装無しでも可愛い~し綺麗なんだよ!」 「優希だって整った顔をしてるし、優しさが顔に溢れて可愛い~より綺麗系で癒し系だ!」 俺と龍臣が言い合ってると祐一は呆れ、矢島君が焦りながら間に入った。 「解りました。衣装代は頂きますから、そのまま衣装着て帰って良いですから。沙織さんには言っておきます。後は好きにして下さい」 矢島君の言った ‘そのまま着て帰って良い’って、言葉に龍臣と目が合った。 お互い考えてる事は一緒らしい。 そのまま着て帰って脱がす楽しみができた。 日中は目で楽しみ、夜は……♪ ……2度楽しめる! 俺と龍臣はニヤニヤしてた。 祐一もそんな俺達を見て呆れ顔をしてたが、むっつりスケベの祐一がそんな素敵なアイテムを楽しまない訳が無い。 俄然、今日が楽しみになってきた。

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