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第591話
「やっぱ、このパンティ-履くんだ~」「ブラが無いだけマシ~」とか、俺と優希さんがさっきまで愚痴ってた事と全く同じ事をブツブツ…言いながらマコは着替えて居た。
衝立の向こうからは沙織さんの楽しそうな声が聞こえ目の前ではマコがだんだんと白雪姫の仮装に変わっていくのを眺めて居た。
後ろのファ-スナ-を上げるのを手伝いマコは着替え終わり、鏡が無いから確認出来ず不安そうに俺に聞いてきた。
「ミキ~どう?変じゃない?」
「凄~く似合ってる! 可愛い~よ♪ 絶対に祐さん、喜ぶよ♪」
「そう?」
「大丈夫だよ」
本当に、マコは白雪姫みたいだった。
髪も前髪パッツンで、肩より短めでサイドと後ろは外ハネにし頭には赤いリボンを前で結び、化粧も薄く眉も整えてアイシャドゥもちょっとだけ白ラメを使いチ-クと口紅はピンクで凄く可愛いらしい雰囲気だった
白雪姫の衣装も首周りに赤で縁取られ袖は水色に赤の縦縞が入り、上半身は紺色に黄色の縦縞が中央に2本細く入り、黄色のロングスカ-トで肩から後ろに赤いマントがお尻を隠すくらいまで垂れてあった。
マコの全身を見て、沙織さんの徹底振りと本格的な仮装に俺は不安になった。
でも、本当にマコに良く似合ってる。
ディズニーキャラクターの中でも、マコなら白雪姫がピッタリだ。
沙織さんはそう言う事も考えて、仮装を決めたんだろうな。
俺が呼ばれるまで、仮装が全て終わったマコとヒソヒソと沙織さんには聞こえないように小声で話す。
「今回、ブラジャーが無かったから良かったね」
「うん.うん。衣装もロングスカ-トだから、パンストやガ-タ-ベルトも無かったからホッとした~」
「本当に、それだけは救いだね。それにしても沙織さんは凄いね。衣装代も結構掛かったんじゃない?レンタルかな?」
マコが自分の衣装を見て話す。
全然、衣装代の事は頭に無かった。
「後で、聞いてみよう」
「うん」
少し経ち優希さんの化粧と髪のセットも終わり、俺が呼ばれた。
「今度はヨシ君よ~♪ マコちゃんもこっちいらっしゃいよ~♪」
「……はい」
どんな風にされるのか?不安で仕方ない。
衝立からマコと一緒に出ると、支度が済んだ優希さんが立って居た。
「うわぁ~優希さん。凄~く綺麗!」
「うん.うん。髪も衣装も凄く優希さんに似合ってるよ」
いつもの優しそうで凛とした優希さんに、華やかさがプラスされた感じだった。
俺達が褒めると、優希さんもちょっとホッとした顔をした。
髪はウィッグを使い前髪は少しだけ緩くカ-ルし垂らし、全体的に緩くカ-ルした髪にやはり緩く三つ編みにしたサイドの髪を後ろで黄色の花飾りで結び、大人可愛い~感じだ。
化粧も、眉を整え薄茶のラメと黄色のアイシャドウとアイライナーでバッチリアイメイクし、薄くピンクの頬紅し赤の口紅を施し、金のイヤリングもしていた。
髪飾りと化粧に合わせた黄色のドレスがまた一段と華やかだった。
黄色のドレスも胸元にレ-スで飾り、腰の部分には大きなリボン.ロングドレスもレ-スと小さなリボンで飾り、裾がフリルで黄色のロング手袋を身に着けていた
「沙織さん。僕は白雪姫って解るけど、優希さんは何のキャラクター?」
マコの疑問に、沙織さんはニコニコと笑顔で話す。
「優希さんは美女と野獣のベルよ! 我ながら満足する出来よ~♪ 楽しい~わ♪ 次はヨシ君ね。はい、座って~♪」
「……はい。お手柔らかにお願いします」
「ヨシ君が最後だから腕が鳴るわ♪ 楽しい事してると時間が経つのが早いわ~♪ 今度、4人で女装してどこかに出掛けない?」
俺の髪にウィッグを付けて、手を動かしながら楽しそうに話す沙織さんはとんでもない事を言い出した。
沙織さん以外の3人で、ここで否定しないと現実になると慌てた。
「無理~」
「今日で勘弁して~」
「伊織さんが許さないです!」
「残念! そうね、女装して出掛けたら許さないか?独占欲強いもんね、あの3人共。特に、伊織は隠す事もしないからね」
「俺は嬉しいですけど」
「あらあら、伊織に毒されちゃって」
「………」
これ以上は話すのは止めた方が良いと黙った。
残念そうにしながらも諦めてくれた沙織さんにホッとして、マコと優希さんはお互いの仮装を見て何やら話し込んでた。
沙織さんの手際も良くどんどん髪もセットされ化粧も施された。
「そう言えば、マコと話してたんですけど。この衣装代とかアクセサリー代とか幾らですか?」
真剣な顔で手を動かし、アイメイクに取り掛かりながら話す。
「衣装は通販が安かったから、全部通販にしちゃった。レンタルだとリメイクも出来ないし、お友達でミシンの得意な子が居るから、2人であ~だこ~だ言いながらリメイクして楽しかったわ。お陰で思い通りの仕上がりよ。本当は、パニエでボリュームつけてふわっとさせたかったけど、乗り物の時に困るでしょ?だから、Aラインのロングスカ-トで我慢したの。あと、アクセサリーとかは百圴よ。今は何でもあるのよ~♪ このティアラもだしイヤリングもそうよ♪ だから、気にしないで。私の楽しみに付き合って貰ってるんだから♪」
「今は百圴も凄いですね。でも……幾ら安いと言っても……全員分だと、かなりの金額にならないですか?」
「ヨシ君が思ってるより全然安いから。それに伊織達が私と大ちゃんの分のチケット代は出してくれるって言ってるから」
「……そう言う事なら」
伊織さん達と、そう言う話しになってるとは知らなかった。
そして俺達が準備してる間に、伊織さん達の間でこの衣装が買い取る話しになった事も。
沙織さんは話しながらも手を動かし、着々と俺の支度も進むのが化粧の時に目を閉じてても解る。
「ヨシ君、終わったわよ~♪ もう、目を開けても良いわ♪」
全ての支度を終えたらしく、俺はゆっくりと目を開けた。
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