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第592話

鏡に写し出された姿は、どこから見ても女性そのものだった。 何度か沙織さんに女装させられた俺には見慣れた姿だったけど、初めて女装姿の俺を見た優希さんは目を見開き固唾を飲んでた。 「ミキ~、やっぱり綺麗~♪」 マコの声に我を取り戻し、優希さんも感想を述べた。 「凄い! 凄い! 素顔も綺麗だとは思ってたけど、化粧すると尚更綺麗! 元が男だって誰も解んないよ、女性そのもの! 沙織さんの腕も凄いだろうけど、やはり元が良いからだね。成宮には悪いけど、見つめられるとドキドキ…する~。こう言うのって、ファン心理なのかなぁ~。ずっと見てられる! あ~綺麗! お人形さんみたい!」 優希さんにしては饒舌で興奮してる。 沙織さんも満足の仕上がりらしく蔓延の笑みだった。 「マコちゃんは可愛いらしいし、優希さんも綺麗だわ♪ でも、ヨシ君は本当に絶世の美女って感じね♪ あ~楽しい時間が終わっちゃう~。さあ、下で今か.今かって狼共が待ってるわよ~。時間無いし、お披露目に行くわよ~♪」 化粧品やら小道具を仕舞いながら話してた。 俺を見て感激してた2人も、沙織さんの言葉に現実に戻ってた。 「あ~恥ずかしい~なぁ」 「真琴君は可愛いから大丈夫だよ。問題は、私だよ~。龍臣にバカにされそう~」 「大丈夫.大丈夫! 私の腕を信じて! 我ながら上出来♪ 3人共、女の子にしか見えないから安心して♪ ほら、行くわよ♪」 意気揚々と部屋を出た沙織さんの後を、俺達3人は下着と着てた服を入れた袋を持ちテンション低く着いて行った。 こそこそと3人で話しながら歩き応接間の前に着いた。 「私が先に入るから、呼ばれたら入って来てね♪」 伊織さん達のお披露目の時と一緒か~。 3人一緒なら、何とか注目浴びないけど……1人だと……ドキドキ……しちゃうなぁ~。 そう思ってたのは、俺だけじゃなかった。 マコも優希さんも胸に手を当てドキドキ…してる様だ 沙織さんが入って行き、直ぐにマコが呼ばれた。 「マコちゃ~ん♪ 入って来て~♪」 「先に、行くね」 そう言い残し、部屋に入って行った。 部屋の中からは「可愛い~♪」「良く似合ってる」「白雪姫か~」と声が聞こえた。 優希さんが「真琴君は小さいし可愛いらしいから良いよね~。あ~何て言われるか?心配~」と不安な顔を見せた。 「優希さん! 大丈夫です! 俺から見ても凄く綺麗です! 開き直って! 文化祭のノリで!」 自分にも励ます様に、優希さんを励ました。 「そうね。もう仮装しちゃってるし……文化祭.文化祭!」 自己暗示を掛けてる優希さんが呼ばれた。 「優希さ~ん♪ 」 「……よし! 行って来る!」 「大丈夫ですよ。文化祭.文化祭…お祭りです」 俺を見て頭を縦に振り、ドアを開いて部屋に入って行った。 俺だけが部屋の外に残り呼ばれるのをドキドキしながら待ってると、部屋の中からまた歓声が聞こえた。 「ゆ.優希~! 凄え~綺麗だ! 」 「優希さん、その髪方もドレスも似合ってる」 「本当に、お似合いです」 「優希さんだよな?別人みたいだ。そこら辺の女には負けてない」 「綺麗になるとは思ってたけどな。あ~誰にも見せたく無い! このまま家に連れて帰りたい!」 「龍臣~。女装の私の方が良いの?もしかして、女にまた目覚めちゃった?もう、男の私は嫌?」 「優希! そんなつもりで言ったんじゃ無い! 誤解するなよ~。優希なら、男でも女でもどっちでも良い! 俺は優希だから良いんだ!」 部屋の中から痴話喧嘩が始まったのが聞こえて焦ってきた。 どうしよう。 入って止めた方が良いかな? でも、優希さんの気持ち凄く解る。 俺も初めて女装した時だったかな? 伊織さんが余りにも女装姿の俺を褒めるから、女装子が良いのか?不安になった時があって、伊織さんに聞いた時があった事を思い出した。 あの時は、伊織さんも「男でも女でも、ミキなら恋に落ちた」とか言ってくれたっけ。 凄~く嬉しかったなぁ~。 伊織さんも祐さんも真性のゲイだから女の人には興味無い、その点では安心だけど……女の人の方が放っておかないしモテるんだよなぁ~。 俺、解ってても嫉妬しちゃうんだけどね。 龍臣さんも優希さんも元は女の人と付き合ってたから優希さんの不安は俺以上だろうし。 女の子の良さも知ってるから尚更だよね。 「はい.はい! 痴話喧嘩はそっちでやって頂戴! 時間無いから、ヨシ君呼ぶわよ」 流石だ! 沙織さんが話すと、2人の痴話喧嘩もピタッと止まった 「じゃあ、いい?ヨシ君、お待たせ~。入って来て~♪」 沙織さんに呼ばれてドキドキ…鼓動が早くなった。 胸に手を当て意を決してドアを開け部屋の中に入った マコと優希さんの時には、直ぐに歓声が聞こえたのに……部屋の中はシ~ンと静まり返った。 えっ! 何?何?何で誰も何も言わないの? 変?似合わない? 不安な気持ちが顔に出てたようで、近くに居た沙織さんが気が付いて話し出した。 「どう?私の腕前は?綺麗でしょ?これぞ絶世の美女よね~♪」 沙織の話す声にハッとし、不安な顔を見せるミキに誤解させないように、俺も話し掛けると龍臣や祐一.矢島君もミキに声を掛け始めた。

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