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第594話

龍臣が運転する車でシ-に向かう。 車内では賑やかに談笑してたが、車の揺れと仮装の支度とで疲れたのか?ミキは俺の肩に凭れ熟睡していた 化粧してる所為もあり眠ってる顔も、本当に人形のようで本物のお姫様みたいだ。 本当に美しい!! 背後の席に居た祐一が「マコ、寝た」と言い、最後部に座ってた矢島君も「沙織さんもです」運転してた龍臣も「優希も寝てる」と言い、皆んな朝からの疲れが出たようだ。 「ミキも寝てる。寝てる顔も美しい!」 「マコも可愛い顔で寝てる」 「優希の女装も綺麗で感激した。こんな優希の姿を見る事は一生無いかも知れない。沙織さんのお陰だ」 「その沙織さんも、朝から張り切り過ぎて爆睡です。ずっと、この日を楽しみにしてましたから。沙織さんの願いを叶えてくれて、ヨシ君達には感謝です」 「それを言うなら、俺達の方が沙織にはある意味感謝してる。だが、俺達までこんな格好するなんてな」 「マジ、恥ずかしい!」 「まあ、あっち行けば、皆んな同じようなもんでしょ?ハロウィンですから」 熟睡するミキ達を他所に、俺達は車中で話し込んで居た。 俺も祐一と龍臣も矢島君が言う ‘ハロウィンだから同じようなもん’ と俺達も思ってたが……沙織の徹底したクオリティーの高さに驚くと同時に恥ずかしい思いをする事になった。 シ-には1時間程で着いた。 熟睡してたミキ達を起こす。 「ミキ、起きろ。着いたぞ」 「ん…伊織さ~ん。まだ、眠~い」 まだ、目を開けず俺の肩に凭れたまま可愛い~顔で話す 楽しみにしてたシ-が目の前にある。 起こすべきだろうな。 「良いのか?楽しみにしてただろう?ディズニーシ-」 「えっ! ディズニーシ-?着いたの?早く、降りて行こう♪ マコ~着いたよぉ~」 閉じてた目をパッチリと開け、キラキラした目に変わった。 可愛い~奴だ♪ 「わぁ~い。シ-だ! 早く行こう♪ ミキ~」 こっちもルンルンだ♪ ぞろぞろと車から降り園内に向かう俺達を周りの人がギョッとした目で見てたのは、まだ気付かずに居た。 ミキと真琴君を先頭に沙織と優希さんが話しながら歩く、その後ろから俺達4人は着いて行く。 「余程、楽しみにしてたんだな」 「マコなんか、シ-って聞いて飛び起きた」 「優希も密かに楽しみにしてるっぽい」 「俺と沙織さん以外は初めてですよね?ランドとまた違う雰囲気でこっちも良いですよ」 のろのろと後ろから歩く俺達を「早く♪ 早く~♪」とミキと真琴君は急かす。 「今、行く~」 急かされ、足早に待ってるミキ達の所に向かった。 園内に入ると、確かにランドとは雰囲気が違ってた。 ランドはファミリー向けでメルヘンチックだが、シ-はカップル向けと言うか.少し大人の雰囲気があった。 ヨ-ロッパの港町をイメージした雰囲気が印象的だ。 ふ~ん、こっちの方が良いな。 俺が密かにそう思ってると、周りでは楽しそうな声が聞こえた。 「わぁ~マコ~、シ-だよ~♪」 「うん.うん♪ 初めて来たけど良い感じ~♪」 キャッキャッ…とはしゃいで楽しそうだ。 白雪姫とジンデレラが手を取り合い笑顔で話してる光景は可愛らしい。 「ねぇ、ここで写真を皆んなで撮ろうよ♪」 沙織の一言で、園内のメインエントランスで撮影会が始まった。 大きな噴水に大きな地球儀のモニュメントの前でカップルで撮り合い、それからキャストに頼んで全員で写真を撮った。 女性陣(?)は人を変え何枚も写真を撮り、最後に4人で矢島君に頼んで撮っていた。 俺と祐一と龍臣は少し離れて、その光景を眺めていた 「楽しそうだな?」 「だな。マコが1番可愛い~♪」 はっ! 何言ってんだ?ミキが1番綺麗で可愛いっつ-の! 文句を言ってやろうとしたら、横から龍臣が口を出してきた。 「真琴君も可愛いらしいが、やっぱ優希が綺麗だな」 何、ニヤけた顔して言ってんだ! 普段は強面で通ってる癖に、そのダラシ無い顔しやがって~。 「お前ら目が悪いのか?可愛いのも綺麗なのもミキが1番だ! 見て解んだろうが!」 「お前なぁ~、ミキは次元が違うの! 可愛い~のはマコだ!」 「美樹君は比べられね~よ。だが、優希の気品ある感じが凄え~良い♪」 解ってんなら良い~か。 こそこそと3人で小競り合いしてると、いつの間にか側に来ていた矢島君が俺達の話を聞いてたらしく口を開いた。 「何言ってるんです。沙織さんが1番綺麗で可愛いです!」 「「「それは無い!」」」 3人の意見は一致し、矢島君は何も言い返せず黙り込む。 沙織も綺麗は綺麗だが……性格に難がある。 沙織の性格を知ってる俺達は外見には惑わされ無いぞ 「おい! マズイぞ」 「何?」 祐一が周りを見ろと言うので見渡すと、ミキ達を遠回しに見てる大勢の人が居た。 「可愛い~♪」「綺麗~♪」「本格的だな」「すっげぇ~美人」「本物じゃないよね?」「写真撮りた~い♪」 口々にミキ達を見て話していた。 「悪目立ち過ぎだ! 」 「場所移動しましょう」 「だな」 俺達4人は写真を取り合ってるミキ達に声を掛けた。 「そろそろ行こう」 「は~い♪」 可愛く返事をし、沙織と優希さんを先頭にミキと真琴君も並んで歩き出した。 その後を俺達4人は着いて行った。 ぞろぞろ歩く俺達をチラ見したり遠回しに見たり立ち止まりジッと見る者も居た。 「うわぁ~凄い」「本物みたい」「ほぉ~」「綺麗~」 通り過ぎる度に感嘆の声があっちこっちからヒソヒソと聞こえる。 まだ、園内の入り口付近でこれだ。 この先が思いやられる。 そう思ってたのは俺だけじゃなく、祐一や龍臣も眉を顰(ひそ)めて居た。 大体、ドレスや王子様の格好した奴なんて、子供位じゃね~かよ~。 周りも確かに仮装擬の格好してるが、1部分に取り入れたりキャラクターの入った服を着てたりする程度で、大人でここまで本格的な奴はどこにも居ない。 どこに行っても目立って仕方ねぇ~。 「はあ~」 溜息が出た。

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