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第595話
「うわぁ~凄い~♪」
「大きい山! 見て.見て♪ 噴火してるぅ♪ 凄い」
大きな山が噴火し雄大にそびえ立つ。
「山も凄いが海がある所為か?開放感があるな」
「そうだな」
山と海.そして空と、ランドと違って開放感が感じられた。
「ヨシ君.マコちゃん。あの山はプロメテウス火山と言って定期的に噴火するのよ。さっき見た噴水に大きな地球儀のモニュメントあったでしょ?あれはアクアスフィアと言って水(aqua)と球体(sphere)の造語なのよ。2つともシ-のシンボルね」
「へえ~、そうなんだ~」
「ランドのシンデレラ城みたいな感じ~」
沙織の解説を素直に聞き感想を洩らす2人。
成る程な。
俺も祐一も龍臣も近くで聞いてた。
「ねえ。プロメテウス火山をバックに皆んなで写真撮ろう♪」
「良いね♪」
「撮ろう.撮ろう♪」
「そうだね。記念に撮ろう」
言い出しっぺの沙織が近くに居た女の人に頼んで、プロメテウス火山をバックに何枚か写真を撮り、それからまたカップルで撮り合い撮影会がまたまた始まった
また、ミキ達は矢島君に頼んで写真を撮り合ってる。
「開放感があって良いな」
「ああ、ランドよりこっちの方が良い」
「そうだな。写真撮りたいのも解るが、なかなか進まねえ~な」
「ま、楽しんでるんだろう」
キャッキャッキャ……言ってるミキ達を眺めていた時だった。
周りが騒がしくなりそっちを見ると、得体の知れないキツネのキャラクターが写真を頼まれて一緒に撮り、それから愛想良く手を振りながらこっちに歩いて来る
ミキ達も気が付き何やら言いながらキツネに手を振ってた。
キツネもミキ達の側に来て、ミキを見て驚いたジェスチャーをしグ-っと親指を立て、横に居た真琴君には頭を撫でて居た。
ミキにハグし真琴君にもハグするキツネを見て
「あのキツネ~、馴れ馴れしくミキにハグしやがって~あのキツネの中身は絶対に男だ!」
「マコにもハグしやがって~。それに頭も撫でやがって~」
キツネを真ん中にしミキと真琴君は両側から腕を組みピースサインし写真を撮ってた。
「そんなに怒る程でも無ぇ~だろ?たかがキツネのキャラクターだろーが」
「龍臣。キャラクターだろうと中身は男だ。絶対にミキが綺麗だから、わざと無邪気さを装いハグしたに決まってる!」
「そうだ! キャラクターだからってベタベタ触るなっつ-の」
ミキ達と交代し、今度は沙織と優希さんがキツネの両隣に居る。
沙織と優希さんにもハグし、2人の肩に手を置き写真を撮ってた。
「あのキツネヤロ-。優希にハグしただけじゃなく、肩に手を回しやがって~!」
「龍臣、たかがキャラクターだろ?さっき、そう言って無かったか?」
俺と祐一がニヤニヤして話す。
「さっきまではキャラクターだと思ってたが、お前らが余計な事話すから、男にしか見えなくなった! 早く、離れろ!」
楽しそうに写真を撮ってるミキ達の邪魔をする訳にもいかず、俺達は小声で罵声を言ってた。
その願いも叶い写真を撮り終えると、キツネヤロ-は手を振りまた歩き去った。
「見た目が男と解るキャラクターはまだ睨みを効かせられるが、着ぐるみの中身の男には対応が困るな」
「ったく。彼奴ら伊織の言う通り、無邪気な振りして抱きついたりベタベタ触ったりで、やりたい放題じゃねぇ~かよ~」
「だな。抱き着かれたり触られた相手はキャラクターっつ-事で警戒心がゼロだしな」
「俺達で気を付けようぜ」
「だな」
「そうしよう」
キツネとの写真を見てキャッキャッ…言ってるミキ達に近付く。
「伊織さ~ん♪ 見て.見て~♪ファウルフェローと撮ったんだよ~♪」
「見てた。あのキツネ、そんな名前なのか?」
「知らない?ピノキオに出てくる詐欺師のキツネだよ~」
成る程~、詐欺師か。
そんな感じのキツネだったが……そんなマニアックなキャラクターでも一緒に撮りたいと言うミキ達の心理が解らん。
「ふ~ん、詐欺師っぽい胡散臭い顔してたな。おい、沙織。少し進むか?何か、乗ろうぜ」
「そうねぇ~。取り敢えずトランジットスチ-マ-ラインに乗りましょう?」
「何だ?それ」
「船よ.船! それなら皆んなで乗れるし、海からの風景も見られるからね。行きましょう」
沙織と矢島君を先頭に龍臣と優希さんが並んで着いて行き、その後をミキと真琴君が話しながら歩き、俺と祐一は並んで最後尾から着いて行く。
前のミキと真琴君はキャッキャ…と楽しそうだ。
「なあ。何で、お前と並んで歩いてるんだ?」
「そんなの知らねぇ~よ。俺だってお前なんかと歩きたくねぇ~。ミキが良い!」
「はっ! それはこっちの台詞だっつ-の!」
俺と祐一は最後尾でグチグチ文句を小声で言い合ってたら、ミキが俺の側に駆け寄りピトッと体を寄せ腕を組んで来た。
何だ?何でも良いが嬉しい♪
腕を組み歩くミキの顔を見ると、薄っすらと頬を染めてた。
自分から体を寄せ腕を組んだ事が恥ずかしいのか?照れてるんだろう。
「ん、どうした?何か、あったか?」
ミキの耳元で小声で話すとミキも小声で応えた。
「……だって……伊織さんと祐さんの事……カッコいい~とか.素敵って声が聞こえて……俺の伊織さんだもん。俺の……王子様」
照れて話すミキが可愛い~♪
ただでさえ、お姫様の格好で綺麗で可愛らしいのに……。
頬を染め話す姿は萌えだ!!
ヤバイッ!
他の奴らに見せたくねぇ~。
「そうだ。今日は俺がミキの王子様だからな。離れるなよ、お姫様」
組んだ腕に手を当てウィンクする。
少しキザか?と思ったが、今日位は良いだろう。
なんたって~夢の国だ!
「……カッコ良過ぎます」
またまた照れるミキに俺の顔が緩みっぱなしだ。
やっぱ、こうじゃないとな。
楽しくなりそうだ。
祐一をチラッと見ると、祐一もデレデレした顔で真琴君と手を繋いで居た。
良かったな、祐一。
やっとカップルで歩く事が出来た。
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