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第596話
沙織が言ってた皆んなで乗れる船は、ランドの客船に比べると小さな蒸気船だった。
乗ってみると、屋根が付いて海が近くに感じられ陽気な音楽が流れて、なかなか開放感があった。
約7分程の船旅で、海からパ-ク内を見れて1周するコ-スだ。
俺の横にはミキ.真琴君.祐一と座り、前には龍臣と優希さん.沙織.矢島君が座った。
出発すると、ミキと真琴君は直ぐにはしゃぎ出し、2人でこっちから見えるアトラクションやヨ-ロッパの港街風景を見て楽しそうに話し込む。
2人でゆっくりと眺めたい俺は残念に思いながらも、責めてもと思いミキの腰に手を回すと……祐一も真琴君の腰に手を回してたらしく、俺と手が触れ合う。
ゲッ!
同じ事考えてたな。
祐一もそう思ってたらしく、俺の顔を見てしかめっ面をして居た。
船の揺れも有り多少は祐一と手が触れるが、そのままミキの腰に手を回したままにした。
散々、真琴君と話しやっと俺の方を向いた。
「伊織さん、潮風が気持ち良いですね♪」
「ああ、今日は天気にも恵まれたしな」
「本当ですね。次は、どこに行くのかな?」
「沙織達以外は初めてだからな。取り敢えずは、沙織に任せるしか無ぇ~な」
「そうですね。マリ-ちゃんやダッフィ-にも会いたいし、スティッチにも会いたいなぁ~♪ あとは~、絶対にタワー・オブ・テラ-には乗りたい!」
「なん……」
「ミキ~♪ 僕もタワー・オブ・テラ-には乗りたい!」
俺が話そうと思ったら、真琴君に聞こえてたのか?俺達の話しに割り込んできた。
また、2人は話しに盛り上がり、俺は海とパーク内の街並みを眺めた。
なかなか1人占めはできないか~。
少し寂しいが、いつもミキを独占してるだけに今日位は我慢すべきか。
ミキも真琴君も初めてのシ-で楽しそうだしな。
数分の船旅も終わり桟橋に到着した。
「足元、危ないから」
手を出し、ミキの手を握り船から降りた。
その手を離さないと俺の腕に組ませ、皆んなの元に向かう。
「気持ち良かったね♪」「潮風が気持ち良かった~」「楽しかった~♪」
口々に感想を洩らす。
「次は、どうする?」
沙織に聞くと暫く考え
「そうねぇ~。今度はショ-を見に行きましょう。マ-メ-ドラグ-ンシアターよ。待ち時間も無いし幻想的な世界よ。さあ、行きましょう」
「わぁ~い♪ アリエルに会えるぅ」
「楽しみ♪」
「ショ-か。良いね♪」
ミキ達は楽しみで仕方無いって感じだが、ショ-って聞いて ‘俺達は少し休めるか?’ 位の軽い気持ちで歩いて居た。
収容人数も多くそんなに待たされずに入る事ができた。
ステ-ジを囲む様な巨大シアターにプロジェクトマッピングが演出されミュージカルショ-だった。
ショ-と言うと舞台だと思ってたが、映像と音楽とパフォーマンスが融合された新しいタイプのショ-で珍しさもあり、見応えはなかなかあった。
トリトン王が開く海底世界のコンサートをテ-マとしキャラクター達がコンサートを盛り上げ、流れる曲は俺達以外は皆んな知ってるようで、手拍子したり口ずさんでる人も多かった。
ミキ達も手拍子や知ってる曲は口ずさんでる。
俺達はプロジェクトマッピングの鮮やかさに、凄いなぁ~と思ってたら、場内が「わぁ~♪」と歓声が沸く。
何だ?と思ってると、空中を自由自在に泳ぎ回るアリエルに子供も大人も喜び釘付けになり、子供達は手の届きそうなアリエルに手を伸ばす姿もあった。
へえ~。これは、なかなか粋な演出だな。
15分弱のショ-は曲も演出も思ってたより見応えがあり、時間が短く感じられた。
ぞろぞろと場内を出る人混みに紛れ離れ無いように、ミキの手を繋いで俺達も外に出た。
外で合流し、口々にショ-の感想を話してた。
「凄かったね~♪ アリエルも可愛かった~♪」
「うん♪ 面白かった~♪ アリエルと写真撮りた~い」
「あら、じゃあ撮りに行く?」
「「行きた~い♪」」
沙織に言われ、ミキと真琴君は声を合わせて大喜びで返事をした。
「じゃあ、行きましょう」
「俺達は、いいや」
「「え~」」
ミキと真琴君は不満らしいが、アリエルに興味無い俺達3人は行くだけ無駄だ。
「ここで待ってるから、行って来いよ」
「そうねぇ~、ただ待ってるなんて時間の無駄だから、フランダーのフライングフィッシュコ-スターに並んでてよ。撮影終わり次第に直ぐに行くから」
「マジ?だが、並んでて俺達の番になっても来なかったら?」
「大丈夫よ。大ちゃん、スマホに連絡頂戴ね。そっちが早かったら写真は後にするから。だから、早く行って並びましょう」
「優希さんも行こう♪」
「じゃあ、後でね」
優希さんはミキと真琴君に腕を引かれ、沙織達と足早にアリエルとの写真を撮れる場所に向かった。
沙織の行動の速さに唖然とし、俺達だけ残されて戸惑ってると、矢島君がマップ(地図)を出して
「直ぐそこですから、行きましょう」
「ここに居ても仕方無いしな」
「行って並んで無いとブ-ブ-言われるぜ」
「優希、あまりアリエルとの撮影興味無さそうだったのに~」
「仕方無え~よ。あの勢いじゃ言えねぇ~って」
沙織に指示された場所に、俺達は矢島君を頼りに向かった。
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