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第599話
「次は、何か乗りたいものとか.見たいものある?」
沙織が次はどうするか?聞いてきた。
これはチャンスだ。
「なあ、そろそろ昼飯にしようぜ。龍臣がレストラン予約してるはず。だろ?龍臣」
「1時に予約してるから。今から、歩いて行けば丁度良いな」
「あら~、レストラン予約してくれるなんて。流石、海堂さんね。そうね。朝からバタバタ…してたし、お腹も空いたわね。じゃあ、行きましょう」
沙織に予約したレストランの名前を伝え、またゾロゾロ…歩く俺達を見て、周りではこそこそ話す者.ジッと見る者.「おお~」「すご~い」「わぁ~」と感嘆の声が歩く度に聞こえる。
個々でも目立ってるのに、やはり8人で歩くと余計に悪目立ちするな。
食事の時にタイミング見て、手筈通りに話そうと思った。
シイ-の街並みやショップを眺めながらレストランに着いた。
龍臣が予約してる事を伝え、直ぐに席に案内された。
食事も既に予約済らしく席に着き、それぞれ料理が運ばれるまで話して居た。
10分程でパンプキンス-プ.ハンバーグ.パン.ロ-ルケ-キ.ソフトドリンクが並べられた。
「スペシャルセットでございます。ごゆっくり」
「ありがとう」
代表して龍臣が話し、ボーイが去って食事が始まった
「美味しい~♪」「ゆっくり食べらるのが良いね」
「龍、やるじゃん」
龍臣は優希さんに褒められて嬉しそうだ。
食事が和やかな雰囲気で進み、俺は言い出すタイミングを図ってた。
食事も殆ど食べ終わり「この後、どうする?」とマップを見ながら話す声が聞こえた。
今だ!
俺はマップを見てる沙織に話し掛けた。
「なあ、沙織。ここ出たら、それぞれカップルで別行動しようぜ。8人で居ると目立って仕方ねえ~し、折角のシイ-だから俺はミキと2人で回りたい」
「伊織さん」
俺が皆んなの前ではっきりと ‘ミキと2人で回りたい’ と言った事に照れてるようだ。
可愛い~なと思ってミキを見てると、沙織は皆んなと回りたいらしく。
「え~、別に、周りの人なんて関係ないじゃないの。目立つ為に仮装してるんだから、気にしない.気にしない」
沙織に直接言っても拉致があかない。
ここは当初の予定通りに祐一と龍臣に振る。
「祐一と龍臣はどう思う?」
「そうだなぁ~。皆んなで回るのも良いけど、やはり優希と回りたい! 優希が嫌がってた女装を折角してくれてるし、俺も1人で堪能したい」
龍臣の話に優希さんも頬を染めてた。
「俺も悪いが、マコと2人で回ってみたい。あまり、こう言う所2人で来ないからな」
「祐さんがそう言ってくれるなら、僕も祐さんと回りたい♪」
真琴君は感激し、祐一と回る気になってる。
沙織を見ると何も言わないが、俺はもう一押しと矢島君を見た。
龍臣と祐一も矢島君を見て ‘ほら、言えよ’ と、目で語ってた。
それを敏感に感じて、沙織に向き直り話し出した。
「沙織さん! 沙織さんが皆んなと回る事を楽しみにしてたのは解ってます! けど俺…沙織さんと2人で回りたいです!………だめですか?」
子犬が飼主にお願いする様にお伺いを立ててた。
沙織はニッコリ微笑み、矢島君の頭を撫で
「んもう。大ちゃんがそう言うなら、いいわ。2人で回りましょう」
「沙織さん! 嬉しいです。ありがと」
役目を果たしたとばかりに矢島君は笑顔になった。
「そんなに私と回りたかったのね。可愛い~んだから♪ でも、最後の水上ショ-は皆んなで見ましょう。8時からだから7時30分には、ここの前に集合ね」
「それで良い」
「了解!」
「解った」
これで4~5時間はミキと2人っきりだ。
ま、2人っきりって言っても周りには人が居るが、真琴君や沙織達にミキを取られず一人占めが出来るし、イチャイチャも思いっきり出来る!
内心、ヤッタ-! と大喜びだった。
「ミキ。ここ出たら、どこに行きたい?」
「ん~。タワー・オブ・テラ-行きたい!」
「良し。そこ行くか?」
「うん♪ あとね、ダッフィ-とミッキ-にも会いたい♪」
「そこにも行こうな」
お姫様にお願いされたら、何でも叶えてやりたくなる
俺達の話しが聞こえたのか?真琴君がミキに声を掛けてきた。
「ミキ達もタワー・オブ・テラ-行くの?今、祐さんと行こうって話してたから一緒に行かない?」
「うん♪ 行こう.行こう♪」
おい.おい! 簡単に返事するなよ~。
祐一を見ると知らん振りしてる。
このヤロ-! 真琴君の面倒位見ろよ!
そう心で思ってると、思わぬ所から口を挟んできた。
「ねえ。タワーに行くなら私達も行こうって言ってたから、一緒に行きましょう」
沙織は ‘一緒に行かない?’ じゃなく ‘行きましょう’ と、決定事項の様に話してきた。
な.何だ~この展開!
「うん♪ 行こう.行こう♪」
またもや勝手に話が進む。
「それなら、優希さん達も行かない?」
マップを見ながら相談してる龍臣達にも声を掛けてた
「そうね。私達はどこ行こうか迷ってたし、並んでる時にでも決めるから、そこに行こうか?龍臣」
「優希が良ければ」
龍臣、断れよ~。
「じゃあ、決まりね! ここ出たら、皆んなでタワーに行きましょう♪」
「ちょっと待った~! さっき別行動って言ったばかりだろ?」
「あら~、皆んなどうせタワーに行くなら、一緒に行っても.別々に行ってもあっちで会うなら一緒でしょ?」
沙織の話しに説得力があるが……。
「解った! けど、そこだけな! そのアトラクション終わったら、本当に別行動な!」
「解ってるわよ! 別行動.別行動って、どんだけヨシ君と2人っきりになりたいのよ~。独占欲強過ぎ~で呆れるわ」
「そんだけミキの事が好きなんだ! 俺のミキなんだから別に良いだろーが」
「い.伊織さん」
俺と沙織の言い合いに、ミキが頬を染めて俺を呼んだ
「はい! そこまで! 取り敢えず、皆んな行く所は一緒ですから、ここ出たらタワーに行きましょう。そこで解散して別行動しましょう。俺も沙織さんと早く2人になりたいですからね」
矢島君が見兼ねて間に入った。
「もう、大ちゃんがそう言うなら」
‘ここぞ’ と言う時の男らしい矢島君には沙織も弱いらしい。
矢島君に ‘ありがと‘ と目配せした。
何だか振り出しに戻った気がしないでも無いが……取り敢えずミキと2人には慣れそうだ。
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