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第601話
「そんな事、出来るんだ~♪ 知らなかった~♪」
スマホで何か検索してたミキが嬉しそうに話す。
「何だ?」
「あのね。アリエルの時も1グループ1枚だけ自分のスマホで撮れたから、ここもそうかな?って検索したら同じだったけど。キャストさんに頼めば、ダッフィ-と会ってる時に動画撮影してくれるみたい♪ 知ってたら、アリエルの時もお願いしたのに~。残念」
「そんな事してくれるんだ。サ-ビス良いな。じゃあ俺のスマホで動画撮影して貰って、ミキのスマホで写真撮って貰うか?後で、送り合えば良いだろ?」
「賛成! そうしよう♪ 楽しみ♪」
「で、ここ終わったらどうする?行きたい所あるか?」
「ん~、センター・オブ・ジア-スかな?ファストパスの時間までに行きましょう。でも、ここからだとインディ・ジョ-ズ・アドベンチャーが近いから、先にそこ行きません?」
「じゃあ、そうしよう。あまり時間も無いからな。行列出来る所はあと1ケ所だな」
「残念~。ショップも見たいし~」
「また、来れば良いさ。でも、少し先になるが」
「そうですね。ディズニーはなくならないですし。あとね~、USJにもいつか行きましょう」
最後は、ここがディズニーだと小声で俺の耳元で囁いた。
「そうだな。来年中には行こうな」
「はい♪」
ミキからUSJに一緒に行きたい♪と言われ、こう言う事も自然に言える様になったんだとしみじみ思った。
1年以上も付き合ってるんだもんな。
何だか、そんなに付き合ってるとは感じさせないのはいつまでもミキの初々しさと新鮮さを感じるからだろう。
俺の隣にはミキが居て、これから先もこんな感じで付き合っていくんだろうな。
そう思うと、心の中がほわっと暖かくなり幸せを感じた。
「伊織さん?」
想いに耽って居るとミキに声を掛けられた。
「ん、あっ、悪い。幸せだなぁ~と思ってな。愛してるよ、ミキ」
最後の方はミキの耳元で囁いた。
キョロキョロ周りを確認して
「俺もです」
頬を染め女装に関わらず素の言葉で ‘俺もです’ と言うミキに愛しさが湧く。
抱きしめて、キスしてぇ~。
ミキの腰に手を当て体を密着する事で抑えた。
長い待ち時間もミキと居ると苦にもならず、そのうちに俺達の番が近づいてきた。
「もう直ぐダッフィ-に会えるぅ♪ モフモフしてるかなぁ~、ハグして貰おう♪」
ハグ?
モフモフ?
たかが着ぐるみだろ?
たかがクマだろ?
俺には解らん!
「ハグは、ダメだ!」
「え~、こんなチャンス無いもん。お願い! 伊織さ~ん」
顔の前で手を合わせ上目遣いでお願いされた。
可愛い~♪
お姫様の格好でお願いするミキはいつもに増して巨悪的に可愛い~♪
俺達の後ろに居た高校生らしき女の子達も「可愛い~♪」「あんな風にお願いされたら、堪んない」キャッキャッ……と、話し声が聞こえた。
仕方無ぇ~な。
「今回だけな!」
「わぁ~い♪ 伊織さん、ありがとう♪」
余程、嬉しかったのか?
俺に抱き着きピョンピョン…飛び跳ね喜ぶミキに俺もデレデレしてしまう。
男心を擽る。
「キャッ、可愛い~♪」「萌え~だね♪ 萌え!」
女心も擽るらしい?
ミキの魅力には完敗だ!
この可愛く綺麗な人が俺の恋人だ! と、大声で叫びたい程だ。
そんな事もあり、俺達の番がやって来た。
キャストさんに俺のスマホを渡し動画撮影を頼み、ミキのスマホで1枚だけダッフィ-を真ん中に3人で写真を撮った。
少しだけミキはダッフィ-に語り掛けハグする。
「ダッフィ-、可愛い♪ やっぱモフモフ~♪ 会いたかった♪」
ダッフィ-からはハグと頭を縦に振り、そしてミキの全体見てグッ!っとジェスチャーで応えてた。
5分程で、ダッフィ-と手を振り別れスマホを受け取り終わった。
たった5分程で1時間も並ぶとはな。
俺には解らん!
そこから小走りでインディ・ジョ-ズ・アドベンチャーに行く。
ファストパスで多少の待ち時間はあったが、ミキと話をしてると長くは感じない。
建物内部に入るまでも遺跡や階段もドクロ柄だったり熱帯雨林の植物や神殿があったりと、見応えは充分だった。
建物内部は暗く神秘的でワクワクさせる。
神殿と壁画と乗るまでも楽しめた。
12人乗りのジ-プに乗り洞窟内を結構なスピードで走る。
暗闇と橋を渡ったりとスリルとスピードであっという間に終わった。
俺も楽しむ事が出来た。
「見応えあったし面白かったな。これなら、また乗ってみたいな」
「俺もそう思いました。なんか冒険したって感じしますね」
「ああ」
歩きながら話し、次の目的地に向かう。
腕を組みながら歩いてると、3人の高校生らしき女の子から声を掛けられた。
「あのぉ~、写真良いですか?」
「写真?ああ、良いですよ」
てっきり写真を撮って欲しいと頼まれたと思った。
「良いんですか?じゃあ、お願いします」
俺とミキの横に2人並び1人は撮影するらしく数m先でスマホを向けられた。
ん?おいおい俺達はキャラクターじゃないぞ!
咄嗟に、写真を撮られる前に、ミキを胸に抱き俺は顔を背け女の子達に話した。
「俺達はキャラクターじゃないから、写真は困る!」
「良いじゃないですか?1枚ぐらい」
「お願いします♪」
ザワザワと何人か集まり始めたのと断っても執拗く話され、ミキの手を握り「逃げるぞ!」と言って戸惑うミキとその場から走った。
「「え~」」
背後から、そんな声が聞こえたが、その子達が見えなくなるまでミキの手を握り走った。
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