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第606話
「「「「ジャンケン・ポン」」」」
グ-・グ-・パ-・グ-!
「やった~~♪ 龍、勝ったよ~~♪」
「良くやった! 優希」
イチ抜けしたのは、優希さんだった。
優希さんと運転してる龍臣は大喜びだ。
「ごめんなさい…」
謝るミキだったが「まだ、次がある! 次は絶対勝つから大丈夫だ」と励ました。
2回戦目が始まった。
「「「ジャンケン・ポン」」」
グ-・グ-・チョキ!
「やった~~♪」
「あら、勝っちゃった~~」
「………ごめん、祐さん」
負けたのは、真琴君だった。
意気消沈し落ち込む真琴君に祐一が励ましてた。
「マコ、気にするな。マコが行くの嫌なら俺が1人で買って来るから、元気出せって」
「……祐さん……僕が負けたんだもん、僕も行く」
2人の様子を見て可哀想だと思うが、自分達じゃなく良かったとも思った。
俺にはミキが負けても策はあった。
気付かない祐一がバカだと思ってたが、いつも祐一にやられっぱなしだから、偶には良い薬だと直ぐには言わずに黙って成り行きを見てた。
「じゃあ、買いに行くのは決まったわね。海堂さん、マック見えたら寄ってね」
「……解った」
気の毒そうに龍臣は返事をした。
さっきまで楽しかった雰囲気が何だか微妙な感じのまま車は走り、目的のマックが見え「そこのマックに寄る」と龍臣が話した。
駐車場に入って祐一が気が付いたらしい。
気付くの遅~~!
やっと気が付いたか?
「龍臣、マックってドライブスル-あったよな。ほら、あれ並んでる車ってそうだろ?」
「そうだな。すっかり忘れてた。ドライブスル-に行くか?」
「そうしようぜ。マコ、ドライブスル-あるから大丈夫だ」
「本当! 良かった~~♪」
真琴君の頭を撫で「良かったな」と微笑む祐一。
「じゃあ、ここは祐一の奢りな」
「買いに行く位なら、そのくらい出す」
ドライブスル-でテリヤキマックセット8人分とチ-ズバ-ガ-4個注文し、駐車場で食べた。
「ポテト美味しい♪」
「マコ~、良かったね。俺…負けたマコに何て言ったら良いか~と思って……ごめんね」
「ミキ、気にしないで。僕もミキが負けてたら同じだったと思うから」
「桐生さんとマコちゃんが一緒に買いに行く姿も見たかったわ♪」
「桐生には悪いけど、ちょっと罰ゲーム的で面白いと思った」
沙織と優希さんは人ごとだ。
「ドライブスル-がある事に気付かない祐一がアホだ」
俺が祐一を揶揄うとそんな俺をひと睨みし
「お前~~、ドライブスル-に気が付いてたのか~~! 早く言えよ~~!」
「ミキが負けたら言うつもりだった! お前には罰ゲームが必要かと思ってな! 日頃の行いが悪いからだ」
そう言いつつギリギリには、ドライブスル-の存在を話すつもりだった。
「このヤロ-、性格悪~~」
「お前に言われたかねぇ~な」
俺達の言い合いに他の奴らは呆れて見てるが、ミキだけはオロオロ…と間に入った。
「祐さん、マコ。ごめんね。伊織さんは悪気は無いんだよ。たぶん、ちょっと様子見て、祐さんが気が付か無かったら話すつもりだったんだと思う。優しい、伊織さんだもん」
俺の事を良~く解ってるミキは俺を庇う。
「チッ! ミキに免じて勘弁してやる」
「僕も成宮さんはそんな人じゃ無いと思うから」
真琴君の頭を撫で優しい顔を見せ
「解ってる。俺達3人は高校の時からの付き合いだ。伊織と龍臣の性悪振りは良~く知ってる!」
「「はあ! てめぇ~が1番性格悪いだろ-が」」
俺と龍臣は声を揃えて話した。
クスクスクス……
「本当~に、仲が良いんですね♪」
毎度の事ながらミキの感性のずれに車中の雰囲気は和み、皆んながそれに合わせて笑い出した。
やっぱミキが居ると場が和み癒される。
そんな一悶着あったが、車を走らせてるうちにミキ達はうとうとし始め爆睡した。
「さっきまで良く喋ってたのに、爆睡してる」
「ミキもだ」
「マコも」
「………」
矢島君は沙織と仲良く爆睡してた。
「まあ、楽しかったな」
「おう、優希も楽しそうだった。女装の事も忘れて、はしゃいでた」
「マコも喜んでたし。何やかんや言って沙織さんのお陰だな」
「そうだな。沙織さんが先頭切って色々してくれたからな。助かった」
「まあな。沙織的には自分の楽しみもあったからな」
「なあ、この格好のまま帰って良いんだよな?」
龍臣の考えてる事は手に取る様に解る。
俺も祐一も ‘この後が楽しい時間だ’ と言わなくとも同じ考えだ。
「ああ、着替えるのは面倒だしな。服は俺達がそれぞれ買い取ったし。ただ靴だけはレンタルらしいから、靴だけ履き替えて返さないとな」
「じゃあ、靴だけ履き替えてそのまま帰ろうぜ。皆んなでそうすれば、マコもそうするだろうし」
「「了解~~♪」」
ミキ達が爆睡してる間に、俺達の悪巧みが一致した。
早く部屋に帰りてぇ~~♪
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