605 / 858

第606話

「「「「ジャンケン・ポン」」」」 グ-・グ-・パ-・グ-! 「やった~~♪ 龍、勝ったよ~~♪」 「良くやった! 優希」 イチ抜けしたのは、優希さんだった。 優希さんと運転してる龍臣は大喜びだ。 「ごめんなさい…」 謝るミキだったが「まだ、次がある! 次は絶対勝つから大丈夫だ」と励ました。 2回戦目が始まった。 「「「ジャンケン・ポン」」」 グ-・グ-・チョキ! 「やった~~♪」 「あら、勝っちゃった~~」 「………ごめん、祐さん」 負けたのは、真琴君だった。 意気消沈し落ち込む真琴君に祐一が励ましてた。 「マコ、気にするな。マコが行くの嫌なら俺が1人で買って来るから、元気出せって」 「……祐さん……僕が負けたんだもん、僕も行く」 2人の様子を見て可哀想だと思うが、自分達じゃなく良かったとも思った。 俺にはミキが負けても策はあった。 気付かない祐一がバカだと思ってたが、いつも祐一にやられっぱなしだから、偶には良い薬だと直ぐには言わずに黙って成り行きを見てた。 「じゃあ、買いに行くのは決まったわね。海堂さん、マック見えたら寄ってね」 「……解った」 気の毒そうに龍臣は返事をした。 さっきまで楽しかった雰囲気が何だか微妙な感じのまま車は走り、目的のマックが見え「そこのマックに寄る」と龍臣が話した。 駐車場に入って祐一が気が付いたらしい。 気付くの遅~~! やっと気が付いたか? 「龍臣、マックってドライブスル-あったよな。ほら、あれ並んでる車ってそうだろ?」 「そうだな。すっかり忘れてた。ドライブスル-に行くか?」 「そうしようぜ。マコ、ドライブスル-あるから大丈夫だ」 「本当! 良かった~~♪」 真琴君の頭を撫で「良かったな」と微笑む祐一。 「じゃあ、ここは祐一の奢りな」 「買いに行く位なら、そのくらい出す」 ドライブスル-でテリヤキマックセット8人分とチ-ズバ-ガ-4個注文し、駐車場で食べた。 「ポテト美味しい♪」 「マコ~、良かったね。俺…負けたマコに何て言ったら良いか~と思って……ごめんね」 「ミキ、気にしないで。僕もミキが負けてたら同じだったと思うから」 「桐生さんとマコちゃんが一緒に買いに行く姿も見たかったわ♪」 「桐生には悪いけど、ちょっと罰ゲーム的で面白いと思った」 沙織と優希さんは人ごとだ。 「ドライブスル-がある事に気付かない祐一がアホだ」 俺が祐一を揶揄うとそんな俺をひと睨みし 「お前~~、ドライブスル-に気が付いてたのか~~! 早く言えよ~~!」 「ミキが負けたら言うつもりだった! お前には罰ゲームが必要かと思ってな! 日頃の行いが悪いからだ」 そう言いつつギリギリには、ドライブスル-の存在を話すつもりだった。 「このヤロ-、性格悪~~」 「お前に言われたかねぇ~な」 俺達の言い合いに他の奴らは呆れて見てるが、ミキだけはオロオロ…と間に入った。 「祐さん、マコ。ごめんね。伊織さんは悪気は無いんだよ。たぶん、ちょっと様子見て、祐さんが気が付か無かったら話すつもりだったんだと思う。優しい、伊織さんだもん」 俺の事を良~く解ってるミキは俺を庇う。 「チッ! ミキに免じて勘弁してやる」 「僕も成宮さんはそんな人じゃ無いと思うから」 真琴君の頭を撫で優しい顔を見せ 「解ってる。俺達3人は高校の時からの付き合いだ。伊織と龍臣の性悪振りは良~く知ってる!」 「「はあ! てめぇ~が1番性格悪いだろ-が」」 俺と龍臣は声を揃えて話した。 クスクスクス…… 「本当~に、仲が良いんですね♪」 毎度の事ながらミキの感性のずれに車中の雰囲気は和み、皆んながそれに合わせて笑い出した。 やっぱミキが居ると場が和み癒される。 そんな一悶着あったが、車を走らせてるうちにミキ達はうとうとし始め爆睡した。 「さっきまで良く喋ってたのに、爆睡してる」 「ミキもだ」 「マコも」 「………」 矢島君は沙織と仲良く爆睡してた。 「まあ、楽しかったな」 「おう、優希も楽しそうだった。女装の事も忘れて、はしゃいでた」 「マコも喜んでたし。何やかんや言って沙織さんのお陰だな」 「そうだな。沙織さんが先頭切って色々してくれたからな。助かった」 「まあな。沙織的には自分の楽しみもあったからな」 「なあ、この格好のまま帰って良いんだよな?」 龍臣の考えてる事は手に取る様に解る。 俺も祐一も ‘この後が楽しい時間だ’ と言わなくとも同じ考えだ。 「ああ、着替えるのは面倒だしな。服は俺達がそれぞれ買い取ったし。ただ靴だけはレンタルらしいから、靴だけ履き替えて返さないとな」 「じゃあ、靴だけ履き替えてそのまま帰ろうぜ。皆んなでそうすれば、マコもそうするだろうし」 「「了解~~♪」」 ミキ達が爆睡してる間に、俺達の悪巧みが一致した。 早く部屋に帰りてぇ~~♪

ともだちにシェアしよう!