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第615話

週末は、ゆっくり過ごそうと言う事になり、DVDを借りて部屋で過ごした。 借りて来たDVDは、ミキが選んだディズニー映画のシンデレラと美女と野獣の実写版だ。 まだ、先週行ったシイ-が気持ち的に残ってるようだ いつもの体勢でミキを背後から抱きしめ見てたが、内容を知ってるだけに……寝てしまったようだ。 ミキを背後から抱きしめ、肩に頭を乗せた体勢で眠ってたらしい。 ミキに起こされた時には、映画は終わってた。 「伊織さんったら~、1番良い所で寝てるんだもん」 文句を言われたが……全然興味が無いから言われてもどうしようもない。 「悪い.悪い」 一応、形だけ謝ったが……2本めも同じだった。 ミキが呆れて、映画の物語の展開と感動した所や山場など解説付きで話してくれたのを黙って聞いて居た。 一生懸命に話す姿が可愛いく、ついつい熱く語るミキの唇に何度もキスして邪魔をし拗ねられたりと、映画を見るよりミキから語られた方が楽しかった。 ま、そんなまったりした週末を過ごした。 おやじの店に集まる約束してた日曜日の夕方に、電車でおやじの店に向かった。 飲む事が前提で、皆んな電車かタクシーで来る事になってた。 俺達が店に入ると、祐一と真琴君がカウンターに座りおやじと3人で話してた。 「早いな」 「ああ、さっき来た所だ」 俺と祐一が話してると、ミキと真琴君も仲良く話してる。 「おう! おやじ、今日は悪いな」 「構わん.構わん。お前達が来ると賑やかで良い。龍臣も来るんだろ?」 「ああ、優希さんとな」 「そうか、あいつも全然顔出さないからな」 「顔出せって言っておく」 カウンターに座り、皆んなが集まるまでおやじを含め5人で世間話をして待ってた。 そこに沙織達が現れ、少し遅れて龍臣達が店に入って来た。 店に入って次々と挨拶されておやじも嬉しそうだ。 「大将。先週の日曜日に、皆んなでディズニーシイ-に行って来たのよ。いつもお店を使わせて貰ってるから、これお土産です」 沙織が代表して、おやじにディズニーでのお土産を渡した。 ああ、最後のショップでミキと真琴君が沙織と優希さんに呼ばれてたのは、おやじのお土産を買う為だったのか~。 沙織も気が効くじゃねぇ~か。 「ありがとう。こんな歳で、ディズニーのお土産を貰えるとはな。嬉しいもんだ。改めて、さおちゃん、マコちゃん、ヨシ君、優希さん、ありがとう」 お土産を貰いお礼を言うおやじは本当に嬉しそうだ。 「おい! おやじ! 俺達には、お礼は無え~のかよ~」 「本当だぜ!」 俺と龍臣が文句を言うと、おやじも反撃に出た。 「ふん! お前達がこんな気を効く事するわけ無かろうが」 長い付き合いのおやじは良く俺達の事を解ってる。 「はあ?ミキと俺は一心同体なんだ。だから、ミキからって事は俺からって事だろうが」 「それを言うなら、優希が渡したなら俺からって事だな」 俺達が勝手な事を言ってると沙織が呆れて話す。 「何、訳わかんない事言ってんだか?知らないけど。日頃の、このお店への貢献度の違いね~。ま、皆んなからって事で良いでしょう」 「……解った」 「……そうだな」 沙織には頭が上がらない感じが、ここ最近してる気がする。 気のせいだろうか? そう思ってると龍臣と目が合った。 龍臣もバツが悪そうな顔をしてたから、そう思うのは俺だけじゃなさそうだ。 「さて、皆んな揃ったし、大将の美味しい料理を頂きましょう」 「そうね.そうね。テ-ブル席に移りましょう。大将、適当にお勧めのお料理お願いします」 優希さんが話を変えてくれ、沙織が仕切るとそれを合図にミキと真琴君も移動した。 「沙織、飲む前に精算やらこっちでやっちまうから」 「そうね。それが今日の集まりの目的だものね。いいわ。終わったらあっちに来てね」 俺達はそのままカウンターに残り、沙織はミキ達のテ-ブルに去った。 ま、直ぐ背後のテ-ブル席だが。 おやじも料理に掛かり、俺と龍臣.祐一.矢島君がカウンター席に残った。 「さて…と。精算しようぜ」 「龍臣、どの位出せば良い?矢島君は沙織に衣装代やらレンタル代は聞いてきた?」 「チケット代は少しだけ安く購入出来たし、後は昼飯代だな。ま、1人8000円だな」 「2人で16000円だな。沙織と矢島君の分を3人で割って。後は、衣装代とレンタル代か。幾らだ、矢島君」 「それなんですけど、チケット代払ってくれるなら、後は要らないって沙織さんが話してました。衣装代は金額が同じじゃないし、比較的安い物ばかりで高くっても5000円も掛かってないって言ってました。チケット代と衣装代やらを出して貰ったら、俺達は何も出してない事になります。0円ですよ。流石に、それは沙織さんも楽しんでたので気が引けます」 「じゃあ、チケット代を衣装代で相殺して貰って、後の靴のレンタル代は矢島君達にお願いしようぜ」 龍臣の案に、他の3人は納得した。 結局、龍臣に俺と祐一が21000円ずつ払う事で決着した。 「龍臣が少し損してるが…」 「1000円やそこらだろ?面倒だし良い!」 「この中で1番金持ってんのは龍臣だからな、甘えようぜ。結局、俺が一番損してんだよなぁ」 「はっ?何で?それを言うなら龍臣じゃねぇ~の。車も出してガソリン代は要らないって言ってるし」 祐一が1番損をしてる?意味解んねぇ~。 「肝心な事忘れてるだろ?帰りの夕飯代のマックは、俺が全額出したっつ-の。直ぐに忘れやがって~感謝しろよ。ったく!」 すっかり忘れてた! 「まあ、それはジャンケンで負けたお前達が悪い。久し振りに食べたマックは旨かった♪」 「そう言うなよ。どうせ、帰ってから楽しんだだろ-が」 「まあな。折角のチャンスだしな。俺は次の日は休みだし……マコは半休取ったけどな」 ほう~激しかったみたいだな。 「それを言うなら、優希は休ませた」 実行有言だな。 こっちも激しかったようだ。 「お前ら鬼畜だな。自分の欲望で……可哀想に。 俺はちゃんと動けるくらいには加減したぞ。相手の事も考えろよな~。獣!」 「そんなのお前のテクがねぇ~からだろーが」 「そう.そう。口では御託を言ってるがな」 俺が言い返そうとした時に、矢島君が間に入った。 「まあ.まあ…。余り大きな声で話すと聞こえますよ」 それはヤバイ! そっと背後を見ると、ペチャクチャ…話しに花が咲いてた。 良かった~聞こえて無かったようだ。 拗ねられても困るが……それを宥めるのも楽しい♪ 「良かった~、優希達には聞こえて無かったようだ。マジに怒られるからな」 「マコもだ」 「そりゃそうですよ。デリカシ-がないって言われますよ」 矢島君の言う通りだ。 「そう言う矢島君はあの後はどうした?結局、沙織さんを部屋に呼んだのか?」 「ご両親がまだ起きてらっしゃったので、お土産とご挨拶だけして帰りました」 流石だ! お前ら矢島君を見習えっつ-の。 「好青年だ!」 「いや、それこそ矢島君だ」 「沙織の親の信頼も厚そうだ。良かったな」 最後は純粋な矢島君が邪(よこしま)な俺達の心を浄化してくれた気分になった。 「まだ~」 沙織に呼ばれ、俺達はミキ達が居るテ-ブルに移動した。

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