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第619話

「さて、これからどうする?夕飯は、外で食べよう。そうなると…まだ、夕飯には早いからな。少しフラフラしてみるか?」 「はい。伊織さんにお任せします」 「じゃあ、適当に歩いて良さそうな店あったら入って見よう」 「はい。俺、ウインドゥショッピングも大好きですから、嬉しいです」 「ミキがこんな事で喜ぶなら、俺はいつでも行くぞ」 「でも……伊織さん、余り人混み好きじゃないでしょ?」 「まあな。でも、ミキとなら大丈夫だ。こうやって話しながら歩くのも良い」 ふふふ… 「俺もです」 こうやって、ずっと隣にミキが居てくれるだけで俺は充分だ。 何でもないこう言う時間も当たり前に過ごせる事が何より嬉しい。 そう言う関係になったと、心底思えるからだ。 さてと、当初の予定通りにしないとな。 ミキが欲しそうな物をリサーチしないと……。 一応、ここで目星つけてネットでも検索してみるか。 「あっ、あそこの雑貨屋さん見ても良いですか?」 「ああ」 雑貨屋に入り店内を見て回る。 北欧テイストの温もりを感じさせる店内には、インテリアグッズ.文房具.キッチン用品.寝具など綺麗に陳列されてた。 ペアの食器.色違いのバスロ-ブやインテリアも「これなんか、伊織さんの部屋に合いそう」と、自分の物より俺の事を考えて手に取る。 俺の事を常に考えてくれるのは嬉しいが、全然リサーチになんねぇ~。 けど、嬉しい! 「ミキの欲しい物は無いのか?」 「ん~、キッチン用品?かな」 「それなら、ここでわざわざ買わなくても」 「そうですね。ちょっと北欧の物って見てるだけで落ち着きますよね」 「ああ」 結局、何も買わずに店を出た。 「何も買わなかったけど良かったのか?」 「ん~特に欲しい物は無かったので。見てるだけでも楽しいから♪」 「そうか」 それから何軒か店を回るが、これと言って欲しそうな物は無かったようだ。 困ったな~。 今日でプレゼントのヒントだけでも……と思ってたが……倹約家で余り物欲の無いミキだけに……ん~困った。 あとでパソコンで流行り商品を見て見るか? 今日のリサーチは諦めた。 「久し振りのウインドゥショッピング楽しかった~♪たくさん歩いたからお腹空きませんか?」 「そうだな。時間的にも良い感じだしな。何か食べたい物あるか?」 「ん~パスタ?」 「そうか。じゃあ、イタリアンの店を探して行くか?」 「はい♪」 歩きながらイタリアンの店を探し、その間も良さそうな店を覗いたりした。 店構えが上品で雰囲気が良さそうなイタリアンの店に入った。 席に案内されメニューを見る。 「どうする?パスタ2つとピザ頼むか?生ハムサラダも旨そうだな」 「伊織さん、ここ結構高いですね」 「そうか?こんなもんだろ?パスタは何にする?グラスワインも頼もう」 「ん~きのこのクリ-ムパスタか牡蠣のオイルパスタのどっちか迷う~。伊織さんは?」 「俺はペスカト-レにする。ピザはシンプルにマルゲリ-タで良いな。ワインは白にしよう。で、決めたか?」 「きのこのクリ-ムパスタにします」 「決まりだな」 店員を呼んで注文し、料理が来るまで今日の展示会の話をしていた。 ミキはスマホで説明書きや展示品などを写メし、TV放映されてたものは動画を撮っていた。 それを見ながら2人で感想を話し「勉強になった」「参考になった」と改めて話す。 そこにグラスワインと生ハムサラダとマルゲリ-タが運ばれて来た。 グラスワインで乾杯し、料理にも手をつけた。 「ん、旨いぞ。このマルゲリ-タ。温かいうちに食べた方が良いぞ」 ミキも一切れ手に取り口に頬張る。 「ん~~美味しい~♪ トマトの酸味とチ-ズが絶妙なバランス~」 「だろ?生ハムもいける」 「本当だ~~♪ ワインにも合う~~」 何でも美味しく食べるミキとの食事は楽しい♪ それからメインのパスタも届き、それも「美味しい♪ 美味しい♪」と連呼し、お互いのパスタを交換して食べたりした。 「そう言えば、今年のクリスマスは平日だよな」 「去年は運良く土日だったけど、今年は平日なんですか?」 スマホで確認すると、やはり平日だった。 「今年はどうする?平日だが、俺の部屋で過ごさないか?」 「良いんですか?」 「ああ、恋人達が過ごす日でもあるし、アメリカでは家族で過ごす日だからな」 「…伊織さん……ありがとう」 恋人より家族って言われた事の方が嬉しかったようだ 「去年みたいにホテルで食事して、そのまま泊まっても良いが俺の部屋で過ごしても良い。どっちでも良いぞ」 「去年も凄く嬉しかったけど…2人で過ごせればどこでも良いです。細やかですけど…ケ-キとワインで乾杯しましょう。俺、その日早く帰って料理作って待ってますね」 俺が理想とするシュチュエ-ションをミキから言ってくれた。 「ミキが待ってくれてる部屋に帰れるのは嬉しいな。料理は特別な物を作る必要ないからな。仕事の後で疲れてるだろうし、俺はミキの普段の料理が1番好きだ」 「時間が余り無いから、そんな大層な物作れませんから安心して下さい。伊織さんと過ごせるだけで嬉しいから」 「俺もだ」 クリスマスの予定も決まり食事も殆ど食べ終わった。 最後のワインを飲み干し 「食べたな。まだ早い時間だし、場所変えてもう少し飲むか?何だか飲み足りないな」 「外で飲むの大将の所以外では久し振りです。俺ももう少し飲みたいです」 「今日も泊まるだろ?」 「そのつもりですけど?」 始めから泊まるつもりだったと知って嬉しかった。 俺も帰すつもりは無かったが。 「まだ7時過ぎだ。腹はいっぱいだし、どこか近くのバ-でも行くか?ホテルのバ-でも良いな」 上から外のネオンや景色を見ながら飲むのもロマンチックだと思ったが、ミキから意外な提案をされた。 「それなら、ここから近いし祐さんのお店に行きませんか?久し振りに祐さんのお店に行って美味しいお酒飲みたい!」 祐一の店か。 あそこは客層はセレブが集まるだけあって悪く無いが……出会いの場でもある。 はっきり言ってゲイが集まる店だ。 ま、今日は俺が居るから良いか。 2人で見せつけるようにイチャイチャしてれば、誰も誘って来ないだろうしな。 ミキは俺の者だと知らしめる良い機会かも知れない。 ミキには1人で祐一の店に行ったりする事は禁止してたからな。 俺と一緒なら良いと思ってるだろうし、長らく行ってないから行きたいんだろうな。 「解った。2駅先だが行くか?但し、確認しておくぞ。祐一の店に行くのは、俺と一緒か真琴君と一緒の時だけだからな」 「解ってます。だから、伊織さんと一緒の今日行こうって言ったんです。わぁ~久し振り過ぎて~変わって無いかなぁ?」 「俺も久し振りだ。遅くなると混むから行くか?」 「はい♪」 遅い時間になると、誘われる確率が高くなると思い早めに行って9時前には店を出ようと考えていた。 それから会計を済ましイタリアンの店を後にし、俺達の出会いの場でもある ‘R'moneに向かう事にした。

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