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第626話

「ただいま~」 「お帰りなさい。お疲れ様でした」 リビングに入ると良い匂いがした。 「凄え~良い匂いが、玄関入った時からした~♪」 「直ぐに食べられますから、着替えて来て下さい。用意しておきますね」 「ん、頼む」 エプロン付けたミキに迎えられ、明るいリビングに良い匂いのする自分の部屋に、俺の気持ちは浮き足立って居た。 寝室に行き部屋着に着替える際に「やはり、ミキの居る部屋は良いもんだ」独り言が知らずに出て居た。 今日は平日だがクリスマスだ。 前に約束した通り、平日だがミキと過ごす約束をして居た。 定時に先に帰ったミキは料理を作って待ってると言われ、俺は少しだけ時間をズラす為に仕事をして帰って来た。 今年は平日だと言う事もあり、外で食事を……と思ってたが、ミキは2人でゆっくり過ごしたいと可愛い事を話す。 本当に可愛い奴だ! サプライズ的なクリスマスも良いが、こんな風に日常的なクリスマスも良いもんだと改めて思った。 帰り道も嬉しさが抑えきれない程、顔が緩んでたと思う。 仕方無いよな、ミキが待ってると思うと……な。 嬉しさを噛みしめながら良い匂いが漂ってるリビングに行くと、ダイニングテ-ブルには食事が用意されてた。 「寒いと思って、シチューとサラダと唐揚げと肉巻きチ-ズ竹輪の照り焼きです。あとは……白ワインにしました」 「凄え~♪旨そう♪」 「座って食べましょう」 「おう」 向き合ってテ-ブルに着きワインで乾杯した。 カチンッ! 「メリ-クリスマス♪」 「メリ-クリスマス♪ 2度めのクリスマスだな」 グビっと一口飲むと、甘めの白ワインでミキ好みだと思った。 「食べて.食べて♪」 俺が食べるのを待つミキは待ち侘びてる仔犬みたいで可愛い♪ 湯気が立つシチューを口に入れると、ミキが作る甘いさつま芋入りシチューが口の中いっぱいに広がる。 ん~甘くて旨い! 俺はこのシチューが大好きだ! 「旨い! ミキの料理は全部旨いが、このシチューは絶品だ!」 さつま芋の甘さにコ-ンがアクセントになって、スプ-ンが止まらない。 「良かった~♪ この唐揚げも食べて♪ 大将からレシピ教えて貰って作って見たけど」 唐揚げを箸で取り口に運ぶ。 確かに、おやじの店で食べた生姜が良く効いた唐揚げで俺の好きな味だ。 「ん~旨い! おやじより旨いぞ」 ミキも唐揚げを頬張り嬉しそうに笑う。 「それは大袈裟ですけど……大将の味に近づけられたなら嬉しいです。伊織さん、大将の唐揚げ大好きですもんね」 俺の好みを良く解ってるな。 「ああ、おやじの唐揚げも好きだがミキのも旨い」 「良かった~♪さあ、食べて.食べて」 ワインを飲みミキの手料理を堪能した。 旨い料理と目の前には笑ってるミキが居て、こんな日常的なクリスマスも良いもんだ。 それから片付けは2人で一緒に済ませ、ソファーに移りワインとナッツをつまみに飲み、ミキが冷蔵庫から苺のショ-トケ-キを手に持って来た。 「ショ-トケ-キなら、まだ食べられるでしょ?」 腹は満足してたが、折角のクリスマスと言う事もあり、ミキも食べる気満々の様子に一緒に食べようと思った。 「ああ」 ショ-トケ-キを前に残りのワインで改めて乾杯した 「今日はありがと~な。良いクリスマスになった」 「大した物は作れませんでしたけど…喜んでくれたなら嬉しいです。こうやって伊織さんと過ごせる事が大切な時間ですから」 嬉しい事を言う。 カチンッ! ワインを飲みケ-キを口にする。 「おっ、余り甘くない! これならイケる」 「そう思って甘さ控えめなケ-キにしました。ん~美味しい♪」 ケ-キを旨そうに食べるミキを見て、こっちまで何だかほんわかとしてくる。 癒されるなぁ~。 「ほら、苺やる」 「え~、良いの?」 「ああ」 「わぁ~い♪」 生クリームをたくさん付けて苺をフォ-クに乗せミキの口元に持っていくと、パクッと口に頬張った。 「ん~美味しい♪」 片手にフォ-を持ちながら両手で頬に当て嬉しさを表現するが……フォ-クが危ない。 その仕草も可愛い~が。 「おい、フォ-ク危ないぞ」 「あっすみません。美味しいから…つい」 俺は豪快に食べるが、ミキはそのフォ-クでまた少しずつ美味しいそうに食べる。 直ぐ食べたら勿体無いって顔に描いてあるぞ。 ったく、どこまでも素直で可愛い~奴だ。 ケーキも食べ終わり、ミキが皿を片付けてる間に寝室に向かいクローゼットから今日の為に買って置いたクリスマスプレゼントを取り出した。 手に持ち眺め「気に入ってくれると良いが…」俺なりにミキに似合いそうだと思い買ったが…。 それとは別に……俺はミキに大切な話しをするつもりだ。 どう反応するか? 喜んでくれるか? それとも…………。 顔を引き締めて、大きな袋を片手に持ちリビングに居るだろうミキの元に向かった。 少し緊張する自分が居た。

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