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第628話

ギュッとミキの両手を握り目を見つめ話す。 「ミキ……一緒に…住まないか?」 「えっ!」 俺の話しを聞いて目を見開き驚いてる。 こんな時でも、その驚いた顔も可愛い~と思った。 「ここに越してこないか?いや、引越して来て欲しい! 一緒に住みたいんだ!」 はっきりと言い話すと、驚いた顔から嬉しそうな顔に変わったが……直ぐに、困った顔に変わった。 何で?そんな顔をする? 俺は喜んで抱き着く位はしてくると、心の中では期待してた。 何か一緒に住むのに不安要素がミキの中であるのか? 俺の方が一気に不安が襲ってきた。 不安になる事があるなら、それを取り除けば良いと思い直し、俺はミキを説得するように話し出した。 「何か不安要素があるのか?家事か?朝は俺はコ-ヒ-だけで良いし昼は外食するし、夜は……ミキの手料理が食べたいが、疲れてるなら弁当でも出前でも外食でも良い。あと掃除や洗濯は纏めてやれば良いし……あっ! 風呂掃除は俺の担当にしよう。家事は時間がある方がすれば良い! ミキだけにさせるつもりは無い!」 「別に、家事は負担に思ってません。ご飯も2人で食べた方が美味しいと思うし、掃除や洗濯も毎日は無理でも嫌いじゃないです。お風呂掃除してくれるのは助かります……けど」 けど?家事以外に何かあるのか? ……そうか、家賃とか公共料金の事か? 「なら、家賃や公共料金の事か?その事は、別にミキに払って貰うつもりはない。全て口座引き落としにしてるしな。どうしても出すって言うなら食材やら日用品はミキに頼む。その代わり外食や外での支払いは、今まで通り俺が払う。外ぐらいは格好つけさせろ」 「それでは俺の方が全然出して無いじゃないですか?今、住んでる家賃分は払いたいです……その事も一理ありますが……」 他にもある? ミキが気にしそうな事は、全て話したつもりだが……。 「俺が住んでる所に来るんだ。俺は今までと支払いは変わらないし……逆に、日用品やら細かい物を買う費用を出して貰うのは助かる。なぁ~ミキ、何が不安要素なんだ?……そうか! 解った!セックスか?それなら毎日はしないと誓う! 平日は我慢して1日か2日で軽めにスルし、その代わり金.土は俺の好きにさせてくれ! 日曜日は我慢しよう! それでどうだ?」 そうか、セックスだな? 平日は仕事もあるから、少し抑えてくれって事だろう 俺もそこは考慮してる……が、その分週末は激しくなるなぁ~。 ニヤニヤしてると、ミキは頬を染めて話す。 「もう! そんな事じゃないです!……それも少しありますけど……伊織さんは俺の事を考えてくれてるので、そこは信じます」 はあ?じゃあ、何なんだ? ミキの不安要素が全然思い浮かばない。 「何が不安なんだ?それとも……一緒に住みたくないのか?」 一緒に住む事を前提に話してたが……。 俺の方が顔をしかめて不安を露わにした。 そんな俺を見て、ミキが慌てて話す。 「違うんです! 誤解しないで下さい、俺も一緒に住みたいです‼︎ 伊織さんと朝を一緒に迎えられて、夜には伊織さんの腕に抱かれて寝るのは凄~く嬉しいです。俺が不安って言うか心配なのは……一緒に住むとなったら、会社に住所変更届け出さないといけないじゃないですか?流石に、同じ住所はマズいと思って……」 な~んだ!そう言う事か。 それなら解決済みだ。 俺は笑顔になり握っていた片手を外し、その手でミキの頭をポンポンした。 「そんな事か。それなら解決済みだ! 会社には祐一達の住所で届けを出せば良い。わざわざ言う必要もないが、誰かに聞かれたら友達とシェアハウスするって言えば良い。聞くとしたら田口と佐藤位だろ?会社の書類はどうせ会社で渡されるし形だけ出して置けば良い祐一と真琴君には話して了承してる」 パア~っと嬉しそうに笑い俺に抱き着く。 これだよ、これ! 始めに思い描いてた図だ! 「ありがと!! 伊織さん! そこまで考えてくれてたなんて~嬉しい! 俺も一緒に住みたいと思ってたけど……無理だなって諦めてた……なのに、伊織さん、本当に嬉しいです」 俺もギュっとミキの細い体を抱きしめた。 「じゃあ、決まりな!!」 「はい。宜しくお願いします」 体を離し額を合わせ見つめ合う。 「こっちこそ色々頼む。一緒に住んでがっかりしないでくれよ。素の俺を見せられるのは、ミキだけだ」 「伊織さんこそがっかりしないで下さいね」 「するわけ無い! ミキがミキらしく俺の側に居てくれるだけで良い」 俺の言葉を聞いて、ふんわりと俺の好きな笑顔を見せた。 あ~~、一緒に暮らし始めたら、いつもこの笑顔が見られるのか~♪ 幸せだな♪

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