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第635話 番外編
田口さんの部屋を出て、真っ直ぐに自分の部屋に帰って来た。
残してきた2人の事を考えるのが嫌で、直ぐに風呂に入り気分を変えようと思った。
風呂が済めば、夕飯も食べたしやる事が無かった。
TVを点けスマホを弄って暇を潰してた。
早く田口さんから電話来ないかなぁ~と思いながらも時計を見ると、時間が進むのが遅く感じられ時計を見るのを止めた。
スマホゲ-ムで時間を潰して飽きて、それからネットで何か無いかなぁ~と見始めた。
「服でも買おうかなぁ~」
スクロールしていくと、クリスマスプレゼントで彼が喜ぶ商品?ん……クリスマスか。
全然考えて無かった!
10位まで載ってる商品を見ていく。
他のサイトも見て、どれが田口さんに似合うか?とかどれなら喜ぶか?と時間を忘れて見てた。
色々検索し悩み迷ってると、手元のスマホに電話が掛かって来た。
画面には ‘田口 湊’ と表示され、慌てて電話に出た。
「佐藤、遅くなった。ごめんな」
第一声に言われ、時間を忘れてクリスマスプレゼントを検索してた俺はチラッと時計を見た。
俺が帰ってから…2時間弱…か。
何を話し何をしてたか?凄く気になったけど…約束を守って電話くれた田口さんの誠実さを感じた。
「朱音さんは?」
「ああ、佐藤が帰ってから、色々話してたのを聞いてた。で、駅まで送って来た所」
「そうなんだ」
それから田口さんは2人っきりになってからの朱音さんとの話しを正直に教えてくれた。
結婚が決まって、自分が思い描いてたのと現実は違って戸惑ってる事.式や披露宴だとか大変だと言う事、相手の母親が口出してきてストレスになって体調が思わしく無い事を大まかに教えてくれた。
「結婚って、大変なんだね」
「そりゃそうだろ?結婚ってなったら本人達だけの問題じゃなく、親や親戚なんかも絡んでくる。朱音は結婚に夢を見過ぎなんだよ」
「何で、田口さんに?」
「それは俺も言った。別れて全然音沙汰も無かったのに急に来て、そんな事別れた男に話すのか?って。俺じゃなく友達や会社の子にでも話せって。それより彼氏と話し合え!って言ってやった」
田口さん、はっきり言ってくれたんだ。
こう言う所、信頼出来る。
俺は嬉しかった。
「朱音さん、何って言ってました?」
朱音さんの反応を知りたかった。
「友達には愚痴りたく無いんだと。たぶん結婚決まって喜んで自慢でもしてたんだろ、だから今更言えないんじゃねぇ?会社の子は彼氏が同じ会社だから評判悪くなると不味いから言えないってさ。だからって俺に愚痴りに来る事ねぇ~と思うけどな。俺の事を思い出して、俺なら愚痴聞いてアドバイスしてくれると思ってとか言ってたけどな。何で、別れた彼女の結婚話にアドバイスしなきゃなんねぇ〜のか解んね~。勝手なんだよ」
田口さんはこう言ってるけど、たぶん見捨てる事はしないと思うからアドバイスはしたと思う。
「女の子の心理って解ん無いですね。別れた男に会ってそんな事話すなんて、男には出来ない。やっぱ女の子って強いです」
ちょっと嫌味っぽかったかな?
でも…俺も何で田口さんに相談しに来たのか?朱音さんの行動が解らない、疑問だ。
それが男と女の違いなのか?
女の子って平気で別れた男にそんな無神経な事するのか?
「本当にな。無神経って言うか.顔の皮が厚いって言うか。良く解らん。でも、最後には俺に説教されて彼氏と話し合え!って言ったし愚痴も聞いたし、スッキリして帰って行った。もう、来ないと思うから安心しろ」
俺の為に?そう言う所も男らしく好きだなぁ~と思った。
「話してくれて、ありがとうございます。結婚の事は2人で解決しないと、どうにもならないですからね。ちょっと……元彼女が待ってた事には驚きましたけど……」
「俺もだ。何で今更って。それと折角、佐藤と部屋でイチャイチャしようと思ってたのにってな」
「えっ! 田口さん、イチャイチャしようと思ってたんですか?」
ちょっと驚きだ。
構って欲しくって、甘えたりイチャイチャ仕掛けたりするは俺からが殆どだったから。
田口さんもイチャイチャしたかったんだ!
嬉しい‼︎
「まあな。お前、イチャイチャ好きだもんな。好きだろ?」
「……好きです」
「俺も」
イチャイチャの事なのか?それとも……俺の事?
何でも良い、嬉しい♪
「今度はいっぱい.いっぱいイチャイチャしましょう!」
「そんなに?」
「はい! 今日の分も合わせて倍イチャイチャします‼︎」
「凄い事になりそうだな」
田口さんが笑ったのが解った。
「覚悟して下さいね」
「ん、解った。ま、そう言う事だ。今日は気を遣わせて悪かった。じゃあ、明日な」
「はい。電話ありがとうございます。嬉しかった♪じゃあ、明日会社で。おやすみなさい」
「ん、おやすみ」
田口さんとの電話を切ってホッとした。
心の底では……寄りを戻そうと思って来たのか?って思ってたから……そうじゃなくって良かったぁ~。
ちゃんと田口さんも電話してくれて正直に言ってくれた。
「クリスマスプレゼント考えなきゃ」
田口さんの誠実さが嬉しくって顔が緩み、微笑みながらスマホ検索を始めた。
朱音さんの事はこれで終わったと思ってた。
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