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第640話 番外編

「な.何で、ここに~居るんですか~?」 「それは俺が聞きたい! 俺が居ない隙に、合コンとは良い度胸してんな?ん?」 「……それは」 言い訳をしようとする佐藤の話を遮り、俺は冷たく話す。 「ま、良い。帰るぞ!」 「えっ! ……あのぉ~……まだ1時間も居ないんで…そのぉ~……途中から来て、先に帰るのは……」 友達の面子を考えてるんだろうが、俺にはどうでも良い! 「そう?別に、合コンに戻りたきゃ戻っても良い、それなら俺にも考えがある! どうする?合コンに戻るのか?それとも俺とこのまま帰るのか?佐藤が決めろ‼︎」 困ったなって顔をして考えてる。 そんなの考える事じゃねぇ~だろーが‼︎ 佐藤の態度にムカつく‼︎ 「で、どうすんだ‼︎」 「……帰ります」 「なら、ダチに話して来い。で、金を置いて、帰る用意して来い‼︎ 入口で待ってる‼︎」 「……解りました。すみません」 ペコリと頭を下げ、合コン場所に戻る佐藤を一瞥しその場を離れ、俺も入口に行き待つ事にした。 入口付近でさっきの店員に「ありがとう。助かった。でも、一緒に会社に戻らなきゃだめだった」 そう誤魔化し、佐藤が抜けても不自然に思われないように根回しした。 何で、俺がこんな事しね~といけね~んだ‼︎ 佐藤の奴~! トボトボ…と、鞄を持ち俺の側までやって来た。 「帰るぞ‼︎」 「……はい」 「話は出来るな?酔ってないか?」 「…はい。そんなに飲んでませんから」 「あっ、そう」 飽くまで冷たく話す。 「あのぉ~田口さん。そのぉ~…えっと…これには」 「話は、俺の部屋に帰ってから聞く‼︎」 俺が駅に歩き出すと、佐藤も少し後ろから着いて来た それから俺達は無言のまま電車に乗り、俺は口を閉ざし車窓を眺めて声を掛け辛い雰囲気を醸し出してた。 俺は怒ってる風を装い.いや怒っては居るが、佐藤の姿からは反省もしてるようにも感じられた。 こいつの言い分も聞いてみるか。 どんな言い訳をする? 俺が ‘今後一切、合コンには行くな‼︎’って言うのを俺が居ない隙を見計らって行った位だ、何か言い分はあるんだろうな? ただ単に合コン行きたかっただけだったら…許さねぇ~‼︎ 取り敢えず、帰ってから話を聞いてお灸を据えないとな。 さて、どうしてやろうか? 佐藤は俯きシュンとし、俺は無言を貫き雰囲気悪く部屋に着いた。 「おい! そこに突っ立ってないで座れ!」 俺はコ-トを脱ぎス-ツの上着を脱ぎネクタイも外しソファに座った。 佐藤はシュンとしトボトボ…近づき、コ-トを脱ぎソファに座り俯く。 こいつ、反省してるな、よし.よし! 佐藤の項垂れた姿は叱られた仔犬が耳が垂れ尻尾も垂れ下がり、ご主人の様子を伺ってるように思えた。 その姿は可愛い~し、いつも明るく賑やかな佐藤が、そんな姿をすると俺は弱い。 だが、今回はきっちり話し今後一切合コンには行かないと約束させないとな。 まあ、何度もさせてるが……困った奴だ。 でも、今回は俺が居ない隙に俺の目を盗み行った事に腹が立つ。 ったく! 目を離すと直ぐこうだ‼︎ だから、目が離せないっつ-の‼︎ 佐藤からは言い出し辛いと思い、俺から口火を切った 「で、俺が居ない隙に合コンに行った言い訳は?聞いてやるから言ってみろ?」 俺をチラッと見てまた俯く。 「あのぉ~……怒ってます?」 怒ってますだ~‼︎ 当たり前だろーが! 誰が、恋人が合コンに行くの許す奴が居るんだ~! 「さて、それはお前の話し次第だが、怒ってないと言ったら嘘になる!」 「やっぱ……怒ってますよね?」 「良いから早く話せ!」 「……田口さんが帰って……予定無くなったから香坂とご飯でも…って思って仕事してたんですが……」 俺との約束がキャンセルになったから暇になって誘いに乗ったのか? それなら許せね~! 「それで?」 横目で佐藤を見て冷たく話す。 「……その時に俺のスマホが鳴って……合コンのメンツが1人急に来れなくなってメンツ足りなくなったから、どうしても来て欲しいって誘われて……断ったんですよ。香坂にも代わりに行ってくれないか?って聞いてみたけどダメで……何度も断ったんですけど……しつこくって、それにどうしても落としたい相手が居るから協力してくれって……俺も何度もメンツ足りない時に頼んだ事もあったし……今回だけ.1次会で帰るって話して、それで良いからって言われて……行った次第です」 何が、行った次第だよ! ったく! ろくな友達居ねぇ~な。 「ふ~ん。それならそうで、何で俺に電話の1つもして来ない! 付き合ってる相手に対して責めてもの礼儀だろ?」 また俺をチラッと見て暫く黙り、やっと口を開いた  「……田口さん、朱音さんと会ってたでしょ?」 朱音と会う事は佐藤も知ってるはずだ。 俺は佐藤に隠してない。 「ああ、それは佐藤も知ってるだろ。俺はきちんとLineした」 「……朱音さんが結婚の事で悩んでるのは、この間…田口さんからも聞いて知ってます……が……この間で終わったと思ってたのに……。何度も田口さんを頼るって事は……未練があるのかなぁ~とか、この間田口さんと会って寄り戻したくなったのかなぁ~って……田口さんも別れた元彼女が参ってるからって頼られると会ってるし……俺との約束より朱音さんと会う事を選んだのが……気分的に滅入って……それで香坂とご飯でもって思ってた所に電話が入って……後は、さっき言った通りです。田口さんに連絡しなかったのは……すみません。頭に無かった……」 佐藤の合コンに行った原因は俺か? 俺は朱音の事を隠さずに話す事が、佐藤に余計な気を回す事も無く疑う事も無いだろうと思ってたが……。 佐藤もその事に関しては気にする素振りは見当たら無かったが……気にしてたのか? 「俺は恋人には誠実で居たいと思ったから、朱音の話しは包み隠さず話した。それでも俺を疑ってるのか?」 「……田口さんの事は疑ってません……ただ、朱音さんの方が……どうなのかなぁ~って。結婚決まったって言っても結婚してる訳じゃないし……結婚の事で悩んでるなら……まだ、破棄もできますよね?俺もゴチャゴチャ考えちゃって……すみません」 田口さんには朱音さんと会った時の事は話さなかった その時に感じた事を何も知らない田口さんに不安をぶつけた。 「何度も会ってるって言っても2回だけだぞ。それも途中で帰ったが、1回めはお前も居ただろ。今日、会社に朱音が来たのは、やはり彼氏に言えずにいたら式の打ち合わせに彼氏が仕事で行けない代わりに母親が来て参ったと、愚痴を聞かされ相当参ってるのか?本当に朱音は体調が悪く、会社の近くの喫茶店で休みながら話しを聞いてた。あのまま会社で追い返すのも途中で倒れるじゃないか?と不安だったからな。あの様子から長くなるかもと思い佐藤との約束をキャンセルした。朱音の話を聞き何度も ‘俺に言われても何も言えない。彼氏ときちんと話し合え’って言ったし ‘こうやって別れた彼氏に会ってるのを知ったら、彼氏がどう思うか?もう俺の所には来ない方が良い’ と、きちんと話した。今回は……俺も朱音の体調が悪かったりして突っぱね無かった……不安にさせたなら、それは悪かった」 佐藤が俺を疑って無かった事にはホッとしたが、 まさか、佐藤が合コンに行った裏にはそんな事が関係してるとは思わなかった。

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