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第641話 番外編
俺が謝ると、佐藤は俯きながら頭を横に振った。
「……ちょっと不安と気分転換もあって、断り切れずに誘いに乗った俺がやっぱり悪かったです。すみません」
「そうさせた俺も今回は悪い」
「俺が悪い」
「いや、今回は俺も悪い」
「ううん、俺が毅然と断るか.行くにしても田口さんにLineの1つもすれば良かったんだ。本当にすみません!」
「そうだな。その点は佐藤が悪い!」
俯居てた顔を上げ、やっと俺を見た。
「そこは今までの遣り取りで、田口さんも ‘いや、俺も悪い‘って言ってくれなきゃ~」
やっと佐藤らしい発言が出たな。
「俺は自分が悪い事は認めたし~、全面的に合コン行った佐藤が悪いのは確かだ」
少し雰囲気を変えようと、戯けて話すと空気を読める佐藤も直ぐに乗ってきた。
「どうせ、俺が全面的に悪いですよぅ」
「解れば良い!」
さっきまでの暗い雰囲気から少し明るくなった。
「良し! 俺的には何も悪い事はして無いが、佐藤を不安にさせた事は悪かった! でも、今後一切合コンの類いには行くな‼︎ 良いな?」
「……はい。すみませんでした」
「お前は何度言っても効きやしない! 今度こそ本当だろうな?」
「はい! 大丈夫です‼︎」
「その言葉何度聞いたか?この頭の中は学習能力が無いのか?ん?」
佐藤の頭を掴みグラグラ…揺さ振り話す。
「田口さん、頭がクラクラします。止めて下さいよぉ~」
掴んでた手で頭を撫でてやると、嬉しそうな顔に変わった。
「さてと。今日、お前を合コンに誘った友達の連絡先は削除な!」
「え~! そんなぁ~」
「今回の罰だ!」
「そんな事してたら、俺、友達居なくなるぅ~」
「合コン誘う友達なんか要らねぇ~だろ?それだけの関係なら友達じゃねぇ~。それとも、また合コンに誘って欲しいのか?」
俺が疑いの目で見ると、慌てて鞄を漁りスマホを出しカチャカチャ操作し始めた。
カチャカチャ……操作しながら、スマホを見て話す。
「あのぉ~、もし……また誘われたら……田口さんに連絡すれば良いですか?」
「はあ?連絡すれば行って良いって言ったんじゃねぇ~ぞ‼︎ 断るのは当たり前!って言うか行く気満々じゃねぇ~かよ」
俺がまた疑いの目を向けると慌てて手を振り
「行きません! もちろん断りますよ‼︎」
「本当だろうな?また、こう言う事あったら連絡先削除だからな?どんどん友達居なくなるぞ?」
「はあ~、困ります。因みに友達と飲むのは有り?」
「それは良い……が、女が同席してる飲み会は……だめだ‼︎ 合コンから飲み会に呼び名が変わっただけだからな。飲みはケ-スバイケ-スだ。俺もダチと飲む事もあるしな」
「飲みは許されるなら、ちょっとホッとしました……削除しました」
「良し!」
本当に削除したかどうかは佐藤を信じるしか無いが、正直者な佐藤は誤魔化す事はしないだろう。
1人削除しても他にも居るんだろうな。
「あのぉ~……田口さんも……そのぉ~……朱音さんとはもう会わない?」
仔犬が耳が垂れ上目遣いで見て、ご主人様にお伺いを立ててるようだ、
可愛い~な。
「そうだな。今日言ったから大丈夫だとは思うが……もし、会う事になったとしたら……今度は佐藤も同席させる。佐藤の前で話す」
安心しろっと言う意味を込め頭を撫でた。
喜ぶ顔を見せた……おうおう、垂れ下がってた耳がピンっと立って尻尾を振ってる姿が見えるぞ~。
可愛い~な。
「田口さんのそう言う所好きです」
嬉しくって、田口さんの胸に飛び込むとギュっと抱きしめてくれた。
「俺も変な所に気を回して空気読むのが上手く、周りを楽しくさせ.お人好しで不器用でバカな佐藤が好きだ」
「……バカは余計です」
「本当の事だろ?バカな子程可愛い~って言うからな。俺には佐藤が可愛く見える」
「……可愛く見えるなら良い!」
この空気を読むのは天性なんだろうな。
2人の包み込む雰囲気が柔らかくなった。
俺は佐藤の頬に手を当て唇を合わせた。
チュッチュッ。
舌で唇の表面を舐めると、口を開け俺の舌を招き入れた。
クチュクチュクチュ…レロレロレロ…ジュルジュルジュル…クチュクチュクチュ…
唇を離すと
「はぁはぁ…もっと」
佐藤のお強請りに、また唇を合わせた。
クチュクチュクチュ…チュッチュッチュ…
「んん…」
良い雰囲気になり、このまま……と思ったら、グーッと佐藤の腹が鳴った。
唇を離すと佐藤は恥ずかしそうにしてた。
「合コンで食べたんじゃないのか?」
「少しだけで、腹の足しになりませんよ」
くっくっくっ……
「俺も飯まだだ。カップラーメンで良いか?」
「はい!」
それから湯を沸かし、カップラーメンを2人で食べた
ズルズルズル……
「美味いっす!」
「腹が減ってるからだろ?」
「そうかも」
ズルズルズル……
「なあ、今日このまま泊まれよ」
ちょっと驚いた顔をして直ぐに破顔した。
「えっ! 良いですか?……あっ、でもス-ツが…」
余り平日には泊まる事がない佐藤はどうしようか迷ってた。
平日に俺の部屋で夕飯食べて、ヤル事ヤッテも佐藤は遅くなっても帰るようにしてた。
たぶん、俺に気を使ってたんだと思う。
俺も ‘泊まれよ’ とは、滅多に言わない。
始めの頃は何だかケジメが無くなりそうだと思ってたが、この頃は佐藤が帰って行った後は楽しかった分部屋が寂しく感じてきてた。
ズルズルズル……
「どうせ合コンに行った事は香坂も知ってるし、気にする事ないと思うけどな。気になるならネクタイとYシャツは貸すし、下着と靴下は新品渡すぞ」
「えっ! 良いですか?それなら……泊っちゃおうかな~」
「泊まれ.泊まれ」
えへへ……
「何?変な笑い方して」
妙に嬉しそうだ。
「ん、明日は彼シャツだなぁ~って」
可愛い事を言う♪
頭を撫でてやり
「そんな事よりス-ツ何着か俺の部屋に一式置いとけよ」
「え~~! 良いんですか?えへっ、マジ嬉しいっす!」
可愛く笑う佐藤の顔を見てシュンとしてる姿も仔犬みたいで可愛い~が、やっぱ笑ってる顔が1番こいつには似合ってる。
「良いに決まってる。明日は会社には同伴出勤だな?」
えへへ……
「ずっと朝まで田口さんと一緒で会社にも行けるんだ~~。嬉しい~な」
「お前、朝方寝相悪いからな?足蹴ったり顔に手が飛んでくるから気を付けろよ」
「え~~俺ってそうなの?誰にも言われたこと無いけど……」
「頻繁では無いが何度かある……おい、誰にもって誰かなぁ~?」
直ぐ調子乗って余計な事を話すんだよなぁ~。
バカって言うか何も考えて無いって言うか。
正直者なんだろうが困った奴だ。
「……女の子?」
「そうだろうな。男に言われてたら困る!」
「……すみません」
余計な事を話したと落ち込む佐藤の頭を撫でてやる。
「ま、これからはそう言う事は俺だけだしな。お互い過去はあるし、今更そんな事蒸し返しても仕方ない」
「……田口さんだけです」
恥ずかしいのか?小さな声だったが、俺に聞こえるように話す。
「俺もだ! 良し! 腹も満たしたし風呂入って寝るか?」
「……はい。風呂は、お先にどうぞ」
まだ風呂に一緒に入るのは恥ずかしいらしい。
それ以上の事シテるのにな。
「解った」
浴室には交代で入り、その日は次の日が会社と言う事もあり1回だけ愛しあった。
寝る時にはピタッと俺にくっつき抱き着いてくるのが可愛いく、その佐藤の体を抱きしめ寝るのも安心でき嬉しくもある。
なぜか?朝方には、俺の顔に手が飛んできて起こされた。
その手を退けて、アイドル顔の目が閉じ少し口を開けて寝てる顔……可愛い~なと暫く眺め、まだ早いと佐藤の体を引き寄せ抱きしめて目を閉じた。
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