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第642話 番外編

あの日から2週間が経ち、朱音さんからも連絡は無いと田口さんが話してた。 「解んねぇ~けど、彼氏と話し合って解決したんじゃねぇ~。ま、散々、話し合えって俺も話したしな」 田口さんはもう関係無いとでも言うように他人事だった。 それならそれで良いっか~と俺も思ってた。 1週間後に迫ってたクリスマスに気持ちもが向かってた。 田口さん、クリスマスどうするのかなぁ~。 ‘一緒に過ごそう’ と、誘われない事に不安を感じる。 男同士ってイベントとか関係無いのか? 初めての男の恋人で勝手が解らない。 俺はイベント事は大好きだ。 相手がどうすれば喜ぶか?考えるのも楽しいし、サプライズ的な事も好きだ。 でもなぁ~、女の子は喜ぶかも……だが、男はどうなのか?案外、面倒くさいとか?引いたり?するかなぁ~。 イベントなんて男同士でやっても? あ~解んねぇ~! 田口さんから何かアクション起こしてくれたら……それに合わせるんだけど……。 男同士でクリスマスやっても意味無いならスル~するし、やるならロマンチックに過ごしたいし! 最近の俺の悩みは、この事でいっぱいだった。 既に、クリスマスプレゼントは用意してある。 渡して良いやら? こう言う時って、女の子の方が楽だなぁ~。 イベント事大好きだし俺も好きだし、女の子が喜ぶ顔を見るのも楽しい。 可愛い~し。 「はあ~」 溜息をついてると、香坂が俺の様子を見て話し掛けてきた。 「どうしたんです?溜息ついて」 はあ~こいつに聞いてもなぁ~。 「香坂って、クリスマスどうすんの?」 俺のいきなりの質問に驚いた顔をした。 何、その驚いた顔?何かあるのか? 「何、驚いてんの?」 「いや、そんな事無いですけど……いきなりクリスマスの話しで……んっと…予定は無いですけど……友達とご飯?かな?」 「はっきりしないなぁ~。あと1週間だぞ」 「はあ~私に言われても……友達の都合もあるし……一応、あっちに予定無ければ……です」 「寂しいなぁ~香坂も」 「佐藤さんも?」 「まあな」 「だから、溜息?成る程ね」 素直な香坂は見たままを受け取り、勝手に誤解し納得してるがそのままにした。 「頑張りましょ‼︎」 変な励ましをされ笑いそうになった。 そうだな、田口さんがスル~ならそうしよう。 それが男同士の恋愛なんだろうし、田口さんも男同士の恋愛は初めてだからそう思ってるんだろうし……でも寂しいなぁ~。 外出中の田口さんの綺麗なデスクを見て「はあ~」と、また溜息が出た。 午後から俺は外回りに出掛け、近場の取引業者を数件周る予定をしてた。 移動中に、俺のスマホからLineが鳴った。 コ-トからスマホを取り出し操作すると、数件のLineの中に田口さんからも入っていた。 ん、何だろう? Lineを開くと ♪*お疲れさん。外回りだろ?俺は会社に戻った。今日、18時頃会えないか?♪* 会う♪会う♪ 意気揚々と返信する。 ♪*了解です♪* ♪*じゃあ、会社の近くの喫茶店で♪* ん?何で喫茶店?ま、いいか。 ♪*了解‼︎♪* 既読を確認してスマホをポケットに仕舞った。 そろそろクリスマスだから……やっぱ、その話かな? 飯に行く前に、話? 勝手に想像し気持ちがウキウキしてた。 業者を回った時も「元気だねぇ~」「何か、良い事あった?」と言われる程、顔や態度に出てたらしい。 「少し、遅くなった~」 駅から待ち合わせの喫茶店まで早足で歩き、喫茶店に着き入口から店内をキョロキョロ…見渡すと、田口さんが気が付き俺に手を振って場所を教えてくれた。 田口さんが居るテ-ブルに近づくと、入口からは見えなかったけど……朱音さんも居た。 えっ‼︎ 朱音さんが何で? 少し驚いたが、直ぐにニコニコと朱音さんに挨拶した 「朱音さん、お久しぶりです」 「この間は、ごめんね」 朱音さんは2人で会った時を言ってるのが俺には解ったが、田口さんは3人で田口さんの部屋で会った時だと思ってるはずだ。 田口さんには話して無いからな。 「いいえ、ところで今日は?」 田口さんと朱音さんの顔を見て話す。 「ま、座れ」 「はい」 田口さんの横に座り、朱音さんは俺の斜め前だ。 「今日、朱音から会社に電話あって、どうしても話したいから会って欲しいってな。で、今日は佐藤と飯食べる約束してるから佐藤も一緒なら話しを聞いても良いって言って朱音も了解して、今に至るってわけ」 「はあ~……俺が居ても良いんですか?」 朱音さんに聞き、店員を呼んでコ-ヒ-を頼む。 「良いのよ。佐藤さんにも迷惑かけちゃったから」 「で、何?話って?彼氏と話し合ったんじゃねぇ~の?最近は音沙汰も無かったからそう思ってたけど?」 「ん、あれから私なりに考えて、湊に言われた通りだと思って彼と話し合ったの。彼に私の思ってる事を伝えたわ。そしたら彼の言い分は ‘結婚前に母さんとも仲良くして欲しかった’ ‘母さんも悪気は無いんだ、俺達の結婚を喜んで良かれと思って多少の口出ししてるんだから、それは解って欲しい’って、お母さんの肩を持つような事を話すから、ちょっと言い合いになっちゃって……」 「それで?また愚痴を言いに来たってわけ?何度も言ってるが俺には何も言えない。結局2人の問題だろ?2人でとことん話し合うしかねぇ~よ」 俺は黙って2人の話を聞いて居た。 そこに俺が頼んだコ-ヒ-が運ばれた。 コ-ヒ-に口をつけ……朱音さん…相当参ってるのか?また、田口さんを頼って……どうなるんだろう結婚は?悶々とそんな事を考えてた。 「待ってよ~、最後まで聞いて」 「んで?」 「そんな事もあって彼とちょっとギクシャクして……ストレスで病院行ったのよ……そしたら……‘妊娠してます。2ヶ月入った所ですよ‘って、体調悪かったのは妊娠してたからみたい」 思わぬ展開で、俺と田口さんは驚いた。 「そうなのか?良かったな、おめでとう」 田口さんが祝福の言葉を話し俺も口を開いた。 「おめでとうございます。良かったですね」 朱音さんも嬉しそうに笑った。 その姿に俺もホッと胸を撫で下ろした。 「ん、ありがとう♪彼にも話したら、凄く喜んでくれて♪結婚の事もストレスになると赤ちゃんによくないって、お母さんにも結婚式は2人で朱音の体調を考えながら決めるって言ってくれたの♪」 本当に嬉しそうだ。 「良かったな」 「うん♪それでね、彼のご両親に報告した時も凄く喜んでくれて、お母さんも結婚式の事より既に孫の方に頭がいってるみたいで、結婚式やら新居何かは自分達で決めないって、朱音さん無理しないで何かあったら相談してねって言ってくれたの」 「そうか.そうか」 「湊や佐藤さんにも愚痴や話しを聞いて貰って迷惑掛けちゃったから、報告しないとって」 「本当に迷惑だったぞ。今更何で元彼女の結婚の話を聞かなきゃなんねぇ~のか?良く解んねぇ~と思ってたけど……良かったな。体、大事にしろよ」 田口さんの辛辣な事を言いながらも優しさを感じた。 「うん、ありがとう。実を話すと…彼に結婚の事で不満を感じて ‘湊ならこうするんじゃないか?’ ‘湊ならこう言うんじゃないか?’って、彼氏と比べてた。だから、湊につい頼っちゃってた。でも、これからは私も母親になるし彼と良く話し合っていくつもり」 「母は強しだな」 「うん♪ この子の為にもね」 そう言って、まだ膨らんでないお腹を摩った姿は既に母親だった。 「そうか。良かった.良かった。俺も安心した」 「何言ってんの~。迷惑そうにしてたじゃないの~」 「ま、確かに迷惑っちゃ迷惑だったけどな。でも、やっぱり付き合ってた相手が幸せで居てくれた方が良い」 「ありがとう、湊」 付き合ってた相手の幸せを考える田口さんの性格の良さが出てた。 この人と付き合える俺は幸せ者だ。 それから少しだけ朱音さんと話し、朱音さんは「これから彼と待合せだから」と言って最後に「本当にありがとう。私1人で悩んでたら…彼に不満だらけになって結婚もどうなってたか?解らなかったわ。湊のお陰ね。ありがと」と田口さんに感謝の言葉を漏らし「迷惑だったけど、力になれたなら結果的には良かった。これからは彼氏に相談しろよ。体、大切に。元気な赤ちゃんを産めよ。幸せにな」田口さんもそう言って朱音さんを見送った。 俺も最後に「元気な赤ちゃん産んで下さい。お幸せに」と言葉少なに話し見送った。 朱音さんが去った後、2人共「「はあ~」」と息を吐いた。 俺達にとっても、これで本当に解決したって事でホッとした。

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