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第643話 番外編
あれから俺達は夕飯を食べながら、朱音さんの事を話し「迷惑だったが、朱音もこれで覚悟決まっただろうし、終わり良ければ全て良し…だな」そう言って笑ってた。
俺も一安心し微笑んだ。
その日はお互い何だか疲れもあり、そのまま自宅に帰った。
部屋に入り疲れもあり、今日は早く寝ようと風呂に入りベットに入った。
今日もクリスマスの話し出なかったなぁ~。
ま、今日はそれどころじゃなかったしな。
やっぱ、男同士の恋愛って、こんな感じなんだなぁ~。
仕方無い……か。
俺だけが盛り上がっても……。
そんな事を考えてたら、眠くなってそのまま寝てた。
今年のクリスマスは平日だった。
けど、街はクリスマス仕様で光輝き華やかに飾っていた。
これから仕事終わりにカップルでイチャイチャしながらイルミネ-ション見てどこかのレストランで食事して、その後はお泊まり……か。
良いなぁ~~羨ましい~と心の底で思ってるけど……俺にはそんなの関係無いと敢えて思うようにした。
「すみません。お先に、失礼します」
香坂は友達と約束あるとかで、定時に帰って行った。
課に残ってるのは、俺と成宮課長だけだ。
田口さんは千葉工場に打合せと生産状況を確認しに行って、今日は遅くなるから夜に電話するって昨日言ってたし…。
暫くすると、課長から声を掛けてきた。
「今日は、合コンとか飲みに行かないのか?佐藤」
クリスマスで騒ぐのが好きな俺だからそう声を掛けてきた。
「はあ~、合コンは最近ご無沙汰です。何だか、恋人も居ないのに……今日って1人身には虚しいです」
はははは……
「佐藤は騒ぐのが好きだからなぁ~。今日何かはクリスマスって名目で、恋人居なくっても友達と騒ぐのかと思ったがな。やっぱ、年々恋人居ないと寂しく感じるんだな。大人になったって事か?早く、恋人作って落ち着けよ」
恋人は居るが……男だし、イベント事には余り関心無いって感じだしなぁ~。
これが女の子相手なら、田口さんも違うのかなぁ~。
「作れと言って作れるもんでもありませんし…。そう言う課長はここに居て良いですか?彼女と過ごさないんですか?それとも、今日じゃなく週末ですか?」
課長にしては、珍しく破顔した。
へえ~課長でも、こんな顔するんだぁ~。
カッコいい人がそんな顔をすると、女ならイチコロだな。
俺だってちょっとドキッとしたもんな。
彼女の話しを振っただけで、嬉しそうな顔を見せた。
こりゃ~相当ベタ惚れだな。
「佐藤には悪いが、今日も週末も約束してる」
「じゃあ、早く帰った方が良いですよ。俺の事は気にしないで下さい」
「佐藤の事は気にしてないが、もう少しだけ仕事してから帰る」
「俺も適当な時間に上がります」
そして2人で1時間程仕事をし、課長は時計を見て机の上を片付け出した。
帰るのか?
「じゃあ、佐藤、悪いが先に上がるぞ。佐藤も程々にして帰れよ」
「はい。では、良いクリスマスをお過ごし下さい」
はははは……
「じゃあ、お先。お疲れさん」
「お疲れ様でした~」
課長も帰り、1課には俺だけになった。
他の課も数人しか残っておらず、ガランッとして尚更寂しく感じた。
ここに居ると尚更寂しく感じるなぁ~、俺も帰ってゲ-ムでもしてっかな~。
それから30分程仕事をして会社を出た。
弁当を買ってきて詫びしいクリスマスを迎え、気持ちを切り替えようと風呂に入りゲ-ムをしてた。
あ~あ、今頃、香坂は友達と飯かぁ~、課長は彼女とかぁ~。
いいなぁ~。
去年は……確か、合コンだったよなぁ~。
皆んなで騒いでカラオケ行って……そんで、お待ち帰りしたんだっけ?
確か~綾ちゃんだったかなぁ~。
ん~1夜の相手で顔も思い出せない。
恋人が居る今はバカな事してたなぁ~と、今なら解る。
♪♪♪♪~…♪♪♪♪~……
テ-ブルに置いてたスマホが鳴った。
田口さんだ!
やはり画面を見ると田口さんだった。
もう時間は10時近かった。
「はい、お疲れ様です。こんな時間まで仕事ですか?」
「おう! お疲れ~。部屋に帰ってきたのはさっきだ、会社に車置いて少し仕事してきた。流石に、千葉は遠いし車の運転も疲れた~」
「お疲れです。で、どうでした?」
「ああ、千葉工場の人達にもヘルシー食の状況や器発注増産の件を話したら喜んでた」
「良かったですね」
「ああ。飯、食べた?」
「はい、弁当食べました。田口さんは?」
「俺も疲れたから弁当買って、今から」
「じゃあ、お腹空いたでしょから、早く食べて早く寝て下さいね」
「そうする。じゃあ、明日な」
「おやすみなさい」
電話を切った。
何だか、いつもと変わらない会話だった。
疲れてたもんなぁ~。
クリスマスどころじゃないかぁ~。
12月に入って、クリスマスの日が近くなるとそればかり考えてたから、逆に、これで気持ちも切り替えられた。
男同士なら、こんなもん何だろう!
良し! 寝よう!
ベットに入り「メリ-クリスマス、田口さん」と、天井を見て言った。
俺達が付き合って初めてのクリスマスはこうして過ぎていった。
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