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第644話 番外編

それは突然だった。 平日のクリスマスが何事も無く過ぎ、その週の金曜日の夜にLineがあった。 ♪ ピロ~ン *♪明日の朝、8時頃迎えに行く。出掛ける用意してろよ♪* 田口さんからのLineで、どこかに出掛けるんだと思った。 ♪*了解です。どこ行くんですか?♪* ♪*秘密‼︎ 楽しみにしてろ! ちゃんと起きてろよ‼︎♪* 秘密~?何だか解んねぇ~けど……楽しそう♪ ♪*OK‼︎ 楽しみにしてま~す♪* ♪*じゃあ、明日な。おやすみ♪* ♪*おやすみなさい♪* 何だか解んねぇ~けど……デ-ト⁈ 田口さんはどう言うつもりか?解んないけど……嬉しい~な♪ めちゃくちゃ楽しみ~♪ 久し振りに2人で出掛ける事に嬉しさが溢れてくる。 あっ、そうだ‼︎ クリスマスの時には会えず渡せなかったプレゼント……渡せたら渡そうかな~。 一応、荷物にならないし持って行こう。 明日が楽しみだ♪ 楽しみで早くに起きた俺は準備も万端で、田口さんが迎えに来るのを待ってた。 「駅とかで待合せじゃないんだ~。どこ行くのかなぁ~。そう言えば……冬物のコ-ト欲しいとか言ってたな」 まだかな.まだかな♪ 久し振りの外でのデ-トに何度も服をチェックし髪を整えて、田口さんが ‘迎えに来る‘ と言ういつもと違う状況にもワクワクして待ってた。 時間が近づくに連れソワソワしだし、何度も時計とスマホを見た。 そろそろだよなぁ~。 ピンポン♪…ピンポン♪…… 「あっ! 田口さんだ!」 俺はショルダーバッグを持ち玄関に向かった。 ガチャッ! 「おはようございます」 「おはよう、出掛ける準備は出来てるか?」 「はい! バッチリです」 「じゃあ、行くぞ!」 「はい」 3階建てのマンションでエレベ-タ-は無いが、俺は2階の角部屋で階段は苦でも無い。 玄関の鍵を閉め、先に階段を下りてく田口さんの後を着いていく。 そのまま駅に歩いて行くのか?と思ったら、田口さんが車の鍵を出し操作した。 「えっ! どうしたんですか?この車?」 俺も田口さんも都内だし、車は必要無いと持ってなかった。 仕事で社有車を使う時だけ乗ってる。 「レンタカーだ。ドライブ行くぞ」 「マジ‼︎ ドライブ?ヤッタ-‼︎」 俺の頭を撫で田口さんも嬉しそうに笑った。 「そんなに喜んでくれるとはな。ほら、乗れよ」 「はい」 助手席に乗ると、ドライブデ-トって感じがして嬉しかった。 「シ-トベルトしろよ! 良かったら出発するぞ」 「はい、OKです♪」 俺とドライブする為に、レンタカーを借りた田口さんの気持ちが凄く嬉しかった。 思いもしなかったドライブデ-トにワクワク…ドキドキ…が止まらない。 真剣な顔で運転する田口さんの顔をチラチラ…見てしまう。 カッコいい~♪ 「そんなに熱い視線で見るなっつ-の! 緊張するだろ」 「えへへ…熱い視線感じました?」 「ああ、感じた.感じた」 「じゃあ、甘~い視線を送りますね」 「いらん.いらん」 「そんな事言わずに……ビ-ム‼︎」 「何だそれ~。はははは…相変わらずバカっぽい」 「バカではありませんよ~だ‼︎」 「そう怒るなって。そんなバカな所が可愛い~んだから」 たまに、こんな甘い事をサラッと言っちゃうんだよなぁ~、嬉しい~けど♪ 「……可愛い~なら、許す‼︎」 「偉そう~♪」 こんな感じのドライブって楽しい~な♪ 車中は2人っきりだから、甘い事もバカな事も言っても誰の目も気にせず自分達で楽しめる空間だから良い♪ 「田口さん、どこ行くんですか?」 「秘密♪ なあ、それよりいつまで田口さんなんだ?今はプライベートだし2人っきりだぞ」 「あっ! そっか~。つい癖で~」 「お前って、俺の部屋に居る時とセックスの時だけだよなぁ~、俺の名前呼ぶの」 俺は朝からずっと気になってたし朱音の事があって以来、何となく ‘田口さん’ 呼びに戻ってる気がしてた。 セックスって言葉が恥ずかしいのか? 車窓から外に顔を向け景色を見てる振りをしてるが、薄ら頬が赤い。 「そ.そんな事……あるかも」 くっくっくっくっ…… 可愛い~奴だな。 「俺の名前は?」 「……湊?」 「何で疑問形なの?翔く~ん」 「湊‼︎」 「何?翔」 えへへ…… 「ちょっと照れ臭い」 「そこで照れるなよ。俺まで照れるだろ-が」 会社の方が居る時間が長い事もあり、まだ湊と翔呼びは定着しないなぁ~。 今日は俺もたくさん ‘翔'って呼ぼう。 「まだ、着かないから眠くなったら寝ても良いぞ」 「勿体無いから、寝ない‼︎」 「高速に乗るからな」 「マジで! 」 「ああ、1回位は休憩がてら、SA(サ-ビスエリア)に寄るから」 「じゃあ、デカイ所に行きましょうよ。売店とかも見たい」 「解った。お菓子とか買い過ぎるなよな。翔」 「……はい……湊」 照れて言われると、こっちまで照れる。 でも、ちょっと萌えだな。 デカイSAに寄り、トイレ休憩がてら館内を見て回りたくさんの売店で、案の定、「あれも美味しそう」とか「これも買いたい」とか話す佐藤を何とかお菓子1つと缶コ-ヒ-2本に抑えてさせ、寒いのに「ソフトクリームは絶対食べたい」と、子供みたいな事を話す佐藤にソフトクリームを買ってやり、それを持って足取りも軽く車に乗る佐藤の姿が可愛いらしかった。 出発前に車中でペロペロ…舐めて居たソフトクリームを俺の前に差し出す。 それをペロッと舐めると「えへへ……」なぜか?佐藤の方が照れてる。 これがしたかったのか? 恋人同士がするような事をしてみたかったんだなぁ~。 イチャイチャが大好きな佐藤らしい。 それからソフトクリームを何度か差し出され、俺も甘んじて舐めるとその度に嬉しそうな顔をする。

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