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第650話 番外編

バスロ-ブを羽織り浴室での行為に疲れたんだろう、佐藤はラグに横たわり目の前の電気暖炉をジッと見てた。 キッチンから風呂に入る前に用意してたワインとグラス2つ.クリ-ムチ-ズ.生ハム.サラミの3種盛り合わせのカナッペとチョコをお盆に乗せ、俺もバスロ-ブ姿で佐藤の側に行く。 「翔、少し飲まないか?」 声を掛けると、体を起こし嬉しそうな顔を見せた。 「どうしたの?それ~。マジ! 美味しそう」 「折角のクリスマスだからな。少しはロマンチックに過ごそうと思って、風呂入る前に用意してた」 「え~~マジで~! 嬉しいっす‼︎」 「ワインも冷えてるし、喉乾いただろ?」 「……確かに…喉…乾いたけど」 そう言って照れて、俺から視線を外した。  何~~照れてるんだよう。 こっちまで照れるだろうが。 ラグにお盆事置きグラスに白ワインを入れ、1つを佐藤に手渡した。 グラスを合わせ乾杯した。 カチンッ! 「遅くなったけど、2人の初めてのクリスマスに!」 「……メリ-クリスマス」 目を合わせずに乾杯する佐藤。 コクコク……ん~美味い! 「美味いな。ほら、カナッペやチョコもあるぞ」 「……はい」 クリ-ムチズ-ズのカナッペを口に頬張りワインを飲む。 美味い! ワインを片手に暖炉を見つめる佐藤の心の内は解ってるが……折角のクリスマスだ、この雰囲気は打破しないと……。 少し飛ばし過ぎた…か。 あそこまではスルつもりはなく ‘後で、ベットで’ と思ってたが……成り行きって言うか.雰囲気って言うか……俺が我慢が効かなかったのが原因だな。 「佐藤、悪かった! 一緒に風呂に入るのが目的だったが……済まない! やり過ぎた!」 俺が頭を下げて謝ると、やっと佐藤が俺を見てくれた 頭を左右に振り、少し伏し目がちに話す。 「ううん、湊が悪いわけじゃない。俺…恥ずかしくって……どんな顔で湊を見たら良いのか……俺 …あんな声出して……後ろ舐められて感じて……ヤバい……話してたら恥ずかしくなってきた」 顔を手で覆い恥じらう。 佐藤の頭を撫でて、恥じらう佐藤も可愛いらしいと思った。 「解ってる。翔が恥ずかしくなるような事をしたのは俺だ! でもな、俺は翔と一緒に風呂に入りたかったしさっきはしてしまったが…今日はベットで後孔も全て俺の舌と手で触れて感じさせたかった。そうずっと思ってた。だから、クリスマスの今日が良い機会だと……でも、急ぎ過ぎた。堪え性が無い俺が悪かったんだ。今日を境にこれからも一緒に風呂に入れれば……とか色々あるが……翔がどうしても嫌なら……諦める! だから、今日は許してくれ」 佐藤は俺の胸に抱き着き顔を埋めたまま話す。 たぶん、恥ずかしいからなんだろう。 「俺…俺も一緒に風呂にも入りたかったけど……恥ずかしくって言えなかった……それと……後ろ舐められのも……始めは恥ずかしくって嫌だったけど……途中から気持ち良くって…あんな声出して……淫乱だと思われたらとか.男の癖に挿れられて感じてるだけでもちょっと恥ずかしいのに……湊がそんな俺の事嫌じゃ無ければ……俺は気持ち良かったし……」 こいつ楽しい事や気持ち良い事には貪欲だからなぁ~。 恥ずかしいだけなら、何度もしてるうちに慣れるだろ 良し! 大丈夫そうだな。 だが……男として挿れられる事には、まだ少し蟠(わだかま)りがありそうだな。 ま、今までは挿れる方だったからな、その気持ちは俺にも解るが……これも慣れて貰わないとな。 でも、充分に素質はあるし感じてもいる。 あとは気持ちの問題か。 「淫乱だとは思って無い! 俺がする愛撫に感じてくれるのは俺も嬉しいし興奮する。翔が俺を受け入れてくれる事が嬉しい! 翔の俺への愛を感じるし、そう言う面では拘らない人間的に大きさを感じる」 そう言って頭を撫でると、俺の胸から顔を上げ嬉しそうな顔を見せた。 「俺って人間的に大きい?寛大だって事?」 「ああ、俺には幾ら好きでも到底出来ない事だ。ダメだな俺は…男としてとかそう言う体面とか面子とかに拘って…寛大さが足りない」 えへへ…… 「そんな事ないよ。湊は優しいし誠実だし良い所いっぱいあるよ。ちょっと俺様な所があるのは予想外だったけど……そう言う強引な所も好きだし……。そうか~俺、寛大なんだ~~。人間的に大きいんだ~~」 本当~に、お手軽って言うかちょっと褒めると喜ぶ所がバカで可愛い~~。 バカな子程可愛い~~って言うが本当だな。 佐藤の事は手の平で転がして上手に躾していこう! 本当~に可愛い~。 「そうだ。翔のそう言う所が好きなんだ」 えへへ…… 「俺も、湊の事大好きだ!」 ギュッと抱き着いてきて可愛い~! 仔犬が褒められて尻尾張って ‘可愛いがって~.可愛いがって~’って、懐に飛び込んできた感じだな。 「湊~、浴室ってあんなに声響くんだね~。以前は、声を出させてる方だったから、何だか自分の声があんなに響くって初めて知った~。やっぱ女の子の声は可愛いらしいのに~」 頭をパコ~ンと叩いてやった。 本当に、直ぐに調子乗る! 俺の前で言う事か? ちょっとは、考えて物事を話せよなぁ~。 正直者って言うか何も考えて無いって言うか…… バカだな。 「お前ねぇ~それって俺の前で言う事?そうか、女とは一緒に風呂には何度も入ったって言いたいのか?ん?それで、今後は俺とは?もちろん女とは金輪際入れないからな?解ってるよな?」 上目遣いで反省してますって顔を見せた。 「……すみませんでした。女の子とは金輪際風呂には一緒に入りません。湊だけです」 「ん、解ればよろしい。これからは、この軽い頭に叩き込んでおけよ」 「……はい」 さっきまで尻尾をブンブン振ってたのに、今度はシュンと耳が下がり尻尾も下がってる姿に見えた。 この姿には弱いんだよなぁ~~。 「さてと…翔、何カナッペ食べる?」 雰囲気を変えようと全然違う事を言った。 空気を読める佐藤が「んっと、俺、生ハムが良い~」と言うから、手に取り口に入れてやった。 「美味しい.美味しい♪」と喜び「次は~クリ-ムチ-ズ♪」と催促する口にまたもや入れてやり、仔犬におやつを与えてる気分だ。 でも、楽しい♪ 甘えてくる佐藤に俺も頬が緩みっぱなしだ! 俺の胸に抱かれながら、佐藤も俺にカナッペを食べさせる。 恋人気分が高まる♪ それからはカナッペやチョコをつまみにワインが無くなるまで飲み食べた。

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