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第654話
「今日から、宜しくお願いします。何か、気に触る事や嫌な事があったら遠慮なく言って下さい」
部屋に入るなり、ミキが改めて話す。
「俺がミキに対してそんな事思う訳は無いが、俺の方が心配だ。愛想尽かさず末永く宜しく頼む‼︎」
「こちらこそ、末永く宜しくお願いします」
「もう挨拶は良いから、こっちに来いよ」
「はい」
ラグに座るミキを背後から抱きしめ、いつもの体勢になる。
落ち着く~~‼︎
クリスマスの日に同棲する事を決め、正月休みの半分をミキの部屋の片付けをし、半分はドライブに出掛けたり俺の部屋でゆっくり過ごして終わった。
片付けは俺も手伝い、やはり喧嘩の原因にもなった時計以外にもバックやら靴.服.アクセサリーと、色々ミキの趣味じゃない物が出てきた。
如何にも高そうなブランド品やらで、ミキが買った物とは到底思えず贈り物だと直ぐに解ったが、時計の件もあり苦々しく思ったが、何も言わずに「この際だから、売れる物は売って捨てる物は捨てた方が良い」と、言う事で押し留めた。
「そうですね。どうせ使わないで仕舞ってる物は他の人に使って貰った方が良いですし、良い機会だから荷物少なくします。あとは……電化製品は学生の時からだからもう古いし、伊織さんの所は新しいのが揃ってますからね」
今まで大切な思い出と思ってたミキも、この機会に処分する事を決めたようだった。
学生の時から居る部屋は、やはりそれなりに荷物はある。
古いアルバムを見させて貰うと、家族との写真がたくさんあった。
思い出話をするミキと2人で見て過ごし、作業が捗らなかったり大学時代の写真も出てきて「懐かしい~~♪」と言い大学生活の話も聞いた。
幼さが残る真琴君との写真が多いが、サ-クルの人達との写真も多かった。
ミキが「先輩です」と言ってた男前の先輩と真琴君と3人で写ってる写真が割とあった。
「マコに誘われて、サ-クルに入った時のリ-ダ-の先輩です。俺が人見知りな所があるから良くマコと2人で、皆んなの輪に入れるようにと気を使ってくれました。そのお陰で、サ-クルの人達と仲良くなれました」
懐かしそうに話す。
「真琴君もそうだが良い人達と出会ったな。大切な思い出だな」
家族.大学と懐かしむミキとミキの事を少しでも多く知りたいと思う俺で、なかなか作業は捗らずに居た事もあった。
それからミキも平日に少しずつ片付けをし、俺も土曜日にはミキの部屋の手伝いをし、荷物を少しずつ車で運んだりし、そのまま泊まり日曜日に帰って行くと言う日々を過ごしてた。
そして2月頭の週末の今日やっとミキが俺の所に完全に引越して来た。
「伊織さん、夜は引越し蕎麦にします?」
「引越し蕎麦で良いのか?もっと豪勢に、どこか食べに行くか?」
「ううん、今日はゆっくり過ごしたい」
「解った。出前とるか?」
「後で、2人でス-パーに散歩がてら行来ましょう」
「ミキが疲れてないなら、俺はミキの手料理が食べたいから良いが」
「俺は大丈夫ですから」
「じゃあ、決まり‼︎ それまではイチャイチャしよう」
「これから嫌って程ずっとイチャイチャ出来ますよ?」
「……ミキは嫌なのか?」
「んもう、そんな訳ないじゃないですか~。嬉しいです」
「そうか、俺も」
すっかりイチャイチャモ-ドだ♪
「嬉しいって言えば、この間久々に皆んなと会った時に同棲するって話したら、皆んなも凄~く喜んでくれて、俺達より喜んでくれたのが凄く嬉しかったなぁ~」
1月末に、沙織達.龍臣達.祐一達と8人でおやじの店に久々に集まった時の事を話してた。
俺が ‘ミキと同棲する事になった’ と、一応報告すると皆んな口々に ‘良かったな’ ‘やっと~?’ ‘おめでとう’ と、俺達以上に喜んでくれた。
おやじにも報告すると ‘伊織、泣かせるなよ! 仲良くな’ と、おやじも嬉しそうに言ってくれた。
「そうだな、何だか俺達以上に皆んな嬉しそうだったな。俺達が同棲するのを待ってたのかもな」
「そうかも知れませんね」
背後からミキの腹に回してた手や腕を愛おしそうに撫で話す。
「そうだ、言っておく事がある」
「えっ! 何ですか?」
「俺が運んだ服とかは適当にクロ-ゼットに入れて置いた。あとは、あの客間はミキが好きなように使って良いが、波瑠が泊まりに来た時は悪いが、波瑠に貸してくれ」
「解りました」
「あとは…アクセサリー製作の必要な物はリビングに置いておけ。なるべくリビングで作業すれば良い。寝る時は、俺のベットで必ず寝る事‼︎」
「はい。伊織さん、寂しいんですね」
クスクスクス……可愛く笑う。
ベットは必要ないと言ったが、ミキが置いといてお客様が来た時に使えば良いからっと言って客間にある。
俺のベットに一緒に寝るのは俺の中では決定事項だったし、余り客間を居心地良くすると、ミキが篭ってしまうのも警戒してる。
それと……前回の事もあり、喧嘩した時に部屋に篭るんじゃないかな?と思ってる。
真琴君の所にも逃避するかも知れないが、もう最後には帰る場所はここだけだ。
ミキの帰る場所がここだと思うだけで安心できる。
「笑うなって。同棲しても、俺の目が届く所に居てくれるだけで、俺は安心できるんだ」
正直に心の内を話した。
ウザい……と思うか?
クスクスクス……
「俺もです。あのベットにはミッキ-とミニ-を置きましょう。やっと一緒に居られるんだからね」
その言葉が、俺とやっと一緒に居られると聞こえた。
可愛い~事を話すミキをギュッと抱きしめた。
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