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第655話
「あとな、落ち着いたらって言うか.再来週に3連休あるだろ?」
「はい」
「その3連休の日.月で箱根に1泊する。祐一と真琴君と4人で近場だが、旅行する事に決まった」
俺が背後からミキに話すと、腕を振り解きクルッと体勢を変え、俺の太腿を跨ぐように向かい合い破顔した
「本当~~に♪ マコ達と旅行? 伊織さん! ありがとう♪ 本当に、嬉しい~~♪」
俺の首に手を回し喜ぶ。
まあ、こんなに喜ぶなら1泊位は良いか。
この話は祐一からの交換条件だった。
俺が祐一にミキの住所の件を頼むと快く了承してくれるもんだと思ったが、そこはやはり只じゃあ起きない祐一だ、交換条件を出してきた。
‘住所の件は了解したが、こっちの頼みも聞いて貰う。前々からマコに言われてた4人での旅行をする事が交換条件だ。マコに何度も言われてるが、お前は行きたがらないからな。言われる度に宥めて誤魔化してたが流石にこれ以上は無理だし’
こっちの弱味につけこんで~~とも思ったが……確かにこれ以上引き延ばしても、あの真琴君が諦めるとは思えないし、逆にここまで何とか誤魔化してきた祐一を褒めるべきか。
俺は祐一の気持ちを考え、こっちも頼み事をしてる事もあり了承した。
宿の手配と車を出す事も祐一が全てすると言うので、その件に関しては任せた。
そう言う事で4人での初めての旅行が決まった。
この4人でどこかに行くとロクな事がないのが不安要素だが……こんなに喜ぶミキを見ると、もっと早く旅行に行けば良かった…かな?とも今更ながら思った。
「宿の手配やら車は祐一がするらしいから、俺達は特に何もする事がない。まあ、1泊だが楽しもうな」
「うん.うん♪ ずっとマコと旅行行きたいねって話してたんだ~~♪ 嬉しい~~な♪ 凄~~く楽しみ~~♪」
そう言ってギュッ.ギュッと強く抱き着くから堪ったもんじゃねぇ~~。
「ミキ、嬉しいのは解ったが、そんなに抱き着くな! 可愛い過ぎて抑えられなくなる!」
「えっ!」
「同棲初日なんだからだ。今日は大切な初夜にとっておく、だから済し崩しで今はシナイ‼︎」
「ごめんなさい。嬉しくって~、そんなつもりなかったけど……あと…初夜って?」
「大切な夜だからな。今日からミキを一人占め出来ると思うと…今日は俺も張り切り過ぎるかもな」
頬を染め
「程々に…そちらの方も今後共宜しくお願いします」
可愛い~~♪
今日ぐらいは俺の好きにさせて貰うと決めてた。
夜が楽しみだ♪
本当の事を言うと、今直ぐにでもシタイのは山々だが……我慢に我慢を重ねてスルのも燃える‼︎
「少し休んでからス-パーに散歩がてら買い物に行こう」
「はい♪」
それからミキは既に箱根旅行が楽しみで仕方ないようで、箱根の観光場所やらをスマホ検索し楽しそうに話す。
これが2人っきりの旅行ならなぁ~と思いながら、俺もミキに釣られ箱根観光を一緒に見たりしてたが、その内に眠くなり知らずに寝てしまった。
起きた時には部屋も薄暗かった。
いつの間にか寝てたのか?
ラグに横になり寝てた体を起こすと、毛布が掛けられて居た。
毛布を手に取り「ミキだな」と、ミキの優しさを感じた。
こんな時に一緒に居るんだなと実感した。
当の本人がリビングに見当たらない。
「おい! ミキ~~」
「は~い。起きました?」
ミキ専用にした客間から顔を出した。
「そんな所に居たのか?何してる?」
体を起こして客間に行く。
「少し整理してました。結構処分しましたから荷物無いと思ってたけど……やっぱり今日だけじゃあ無理ですね」
「無理しないで、少しずつ整理すれば良い」
「はい」
「ん、ここに置いたのか?」
ミッキ-とミニ-がベットの上で仲良く座ってた。
「はい。マットレスの上で可哀想だけど、仲良く2人で居ればそれだけで良いかなって。あとでクッションとブランケット置いときます」
ミキらしい!
「片付けて必要な物が出てきたら買いに行こうな」
「ん~たぶん大丈夫だと思いますけど…その時は、一緒に買い物に付き合って下さい」
「ん、解った。これから一緒に住むからな。遠慮はするな!」
「はい」
「程々にして、ス-パーに買い物行こう」
「はい」
それから俺達はいつものス-パーに散歩がてら行き、蕎麦以外にも日用品やら食料品を少し買溜めし部屋に戻った。
ミキは買ってきた品を仕舞い夕飯の用意を始めた。
キッチンで俺がプレゼントしたエプロンを付け料理をする姿はいつも見てるが、今日はまた格別な思いで見ていた。
今までは週末位しか見られない光景だったが、これからはいつでも見れるんだ‼︎
テキパキと動くミキを見て、これからの毎日を思うと嬉しさが込み上げてくる。
「伊織さ~ん、出来たからお箸持ってって~」
「ん、早かったな」
「お蕎麦茹でて汁を作るだけですよ~」
2人分の天ぷら蕎麦を盆に乗せテ-ブルに置く。
箸を持ちテ-ブルに着くと、良い匂いがした。
「ん~~良い匂いだ♪」
「市販の麺つゆですよ~」
「いや、ミキの愛情が入ってるからだな」
クスクスクス……
「それはありますね。隠し味です」
「そうだと思った~~」
クスクスクス……
はははは……
こうして明るく楽しい食卓が始まった。
これからも、ずっとこんな感じなんだろうな♪
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