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第660話

箱根には13時近くに着き、折角だからと観光をしてから旅館に行く事にした。 箱根彫刻の森美術館を見に行く事にした。 ミキと旅行のたびに、その土地の美術館を見るが、殆どが絵画や写真.陶器などが多い。 ここは室内での展示品もあるが、やはり緑豊かな敷地に近.現代を代表する彫刻家達の名作展が展示されている。 芝生に彫刻を配置した『彫刻庭園』形式を取っており開放感と迫力があり、見て歩くだけでも楽しいア-ト空間だ。 子供達も芝生の上で遊び回り、家族連れにも最適のようだ。 俺達も散歩がてら王道の彫刻.独特の彫刻.面白ろ彫刻……色々あって見てるだけでも面白かった。 彫刻ア-トの前で写真をたくさん撮った。 ミキと真琴君は楽しそうにはしゃぎ、まるで子供みたいだった。 たくさんの大小様々な彫刻ア-トの中でも印象的だったのは、エントランストンネルを抜けて野外に出て、箱根の山々が見える絶景スポットと黒い男性像と赤い女性像が各72体で合計144体の群像が四肢を伸ばし、お互いが手足を繋ぎ合わせてるア-トは、俺的には人間のしがらみや1人では生きられないと考えさせられる作品だと思った。 子供達に人気だったのは『しゃぼん玉のお城』と言う作品で、遊びの中に光と自然を上手く取り合わせ自然透明なカプセルをしゃぼん玉に見立て、ユニットをたくさん組立て、中は迷路になり子供達も楽しめる作品だった。 池に浮かぶ彫刻や有名なヘンリー.ム-ア彫刻作品が11体もあり、どこかで見た事がある像が多数あった。 それから1番印象に残ったのは、森の中にある『彫刻の森美術館』の中でも一際目立つ大きな塔だ。 高さ18m.内径8mの塔は、ガラスを槌で手割りした破片で作られたスタンドガラスが全面に嵌め込められた内観は外からの光を受けて幻想的で美しく創造していた。 塔の中心にあるラセン階段を上がると箱根の山々が見られた。 「綺麗~♪」「ロマンチック~♪」と感激し、うっとりと感想を漏らすミキと真琴君。 広い庭園を見て歩き、足湯を楽しんでる観光客を見て俺達も行く事にした。 美術館の敷地から湧き出る温泉で無料で楽しめ、歩き疲れた足に束の間の休息を与える。 ミキと真琴君の両端に俺と祐一が座り足湯を楽しむ。 「気持ち良い~♪」 「疲れたから、休憩がてら良いね♪」 「旅館の温泉も楽しみだね♪」 「うん。大きなお風呂で気持ち良いよね~、楽しみ~♪」 大浴場に入れると思ってるのか? ミキと真琴君の話を聞いて、後でがっかりするより今のうちに言っておこう。 「ミキ、大浴場はダメだ。部屋の内風呂も温泉だし、露天風呂もついてるよな?祐一」 「ああ、離れで露天風呂付きだ。マコも大浴場はダメだな。部屋の露天風呂で我慢な」 「「え~~‼︎ そんな~」」 「「だめって言ったらダメ!」」 「「……は~い」」 渋々、返事が返ってきたが、俺達が大切な恋人の裸を他の奴に見せる訳ねぇ~だろーが。 何度も、旅行に行ってるのに学習しね~な。 今回は真琴君も一緒だから大丈夫だと思ったのか? まあ、大浴場には入れないように予防線は張ってるけどな。 それでも足湯をチャプチャプ楽しみ、お喋りにも花が咲いてた。 それから『ピカソ館』に向かった。 有名な画家だけあって観光客も多く居た。 陶芸.絵画.版画.彫刻.金のオブジェと、多くの作品が展示されていた。 絵画が有名だっただけに、他の作品は新鮮に感じた。 初期から晩年になるにつれて、作風が変わっていくのも見てて面白った。 美術館に入る前には、もう1ヶ所ぐらい観光に行こうと思ってた俺達は、美術館での鑑賞時間が足りないと思わせた。 今度はゆっくり来ようと思いながら、美術館を後にした。 車に乗って『大涌谷』に行く事にした。 箱根火山の最後の爆発でできた神山爆裂火口の跡が大涌谷だ。 今でも岩肌から白煙が立ち込めていて、大自然の迫力がある。 自然研究路を歩きながら大自然を感じ、噴煙地を登って行くと『たまご茶屋』があり、そこで名物の黒玉子を1個ずつ食べた。 「本当に、真っ黒だ~」 「でも、見て~。中身は黒く無いよ~」 「美味しい♪」 「ちょっと、薫製っぽいかもね~」 まあ、中身は普通の茹で玉子と一緒だが、ミキが言う通りちょっと薫製っぽいか。 少しだけ休憩し、上からの景色を見て大昔に噴火しても今でも噴煙があっちこっちから出て、荒々しさが残る景色は自然の壮大さを感じた。 それから俺達は来た道を戻り、今度は箱根ロ-プウェイで箱根の山々と景色を堪能し、旅館に向かう事にした。 美術館.大涌谷.箱根ロ-プウェイと観光しながら「記念だから~♪」と言って、たくさんの写真を撮った。 朝からテンション高いミキと真琴君は旅館に行くまでの車中でも楽しそうに話してる。 余程、2人とも今回の旅行が嬉しいんだな。 4人で旅行に来て良かったと、その時は思って居た。 ここまでは何事も無く順調だった。

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