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第663話

「はあ~、気持ち良かったな~」 「ああ、疲れが取れた。そろそろ、マコも起きてるかも知んねぇ~から、ちょっと急ごうぜ」 何やかんや言いながら真琴君の事を気にしてたのか。 あまり表に出さない所が祐一らしい。 温泉だけのつもりが、卓球で熱くなり大浴場でゆっくりしたからな。 結構な時間になっちまった。 ミキも ‘まだか?まだか?' と部屋で1人寂しく待ってるかもな。 そう思うと祐一じゃないが、逸る気持ちになり着替えも手早くなる。 大浴場を出て、ミキが待ってる部屋に向かう。 「じゃあ、後で、夕飯の時に迎えに行くからな」 「ああ、待ってる」 そう言って俺の部屋の前で分かれ、祐一は隣の部屋に歩いて行った。 ドアを開けて玄関に入り襖を開けると、部屋の中は真っ暗だった。 ミキ?居ないのか? そう思ってた所に死角から「バア~」と抱きつかれた。 ミキの奴、隠れてたのか~~♪ 可愛い~事をする♪ 俺もその悪戯に乗っかり、抱き着いた体を抱きしめそのまま床に押し倒した。 「こら~ミキ。悪戯したな~」 バタバタ…動く体を体重を掛け動けないようにしながら押さえつけ、キスをしようとすると顔を左右に振り手で顔を押さえられ抵抗された。 大浴場行ったから拗ねてるのか? 「や…おも…」 俺が重いのか?抵抗するのに必死で声が余り出てない それでも気にせずに抵抗する両手を床に押し付け、キスしようと顔を近づけた時だった。 「マコ~、何で電気点けてないの?居ないの?」 襖が開き、背後から声が聞こえた。 ん?ミキ?じゃあ俺の下に居るのは……。 パチッ! 電気が点き部屋が明るくなった。 俺の下で抵抗してたのは……真琴君だった。 俺は驚き、ハッとし背後を見た。 「なっ‼︎」 …バサッバサッ…手に持ってた物を落とし、ミキも驚いた顔をし絶句してた所に、のんびりとした祐一の声が玄関から聞こえた。 「なあ、マコ来てないか?」 そう言って部屋に入って来た祐一は、ミキの背後から俺と真琴君の状況を見て驚いた顔をし、直ぐに冷めた目で俺達を見下ろした。 「ミキ、祐一‼︎ これは…」 何て言って良いのか?説明するのに言葉が詰まった。 「へえ~、そう言う事か?ふ~ん、じゃあパ-トナ-交換しようぜ。俺はミキでも全然ありだし。行こうぜ、ミキ」 ボー然としてたミキの肩を抱いて祐一は部屋を出て行った。 俺は動けず、祐一達を黙って見送った。 玄関の方を暫く見つめ、この状況に頭がついていけずに居た。 な.何がどうなってこうなってるんだ‼︎ なぜ真琴君が……解んねぇ~頭の中はパニックになってた。 俺の下に居た真琴君が「……祐さん」と、泣きそうな顔で小さな声を出したのにハッと気が付き体を退けた 「ご.ごめん‼︎ てっきりミキだと思ってた!」 真琴君も体を起こし頭を横に振り 「ううん、僕もごめんなさい。ミキが祐さん達が帰って来たらビ-ルでも飲むかもって、つまみ買いに売店に行ったから、てっきりミキが帰って来たと思って驚かそうとしたら……」 真琴君の泣きそうな顔で説明され、やっと状況が読めた。 真琴君の小さな悪戯をしようとした所に、運悪くミキより先に俺が帰って来て、この状況らしい。 「今思えば…やけに抵抗すると思った。その時におかしいと思えば良かったんだ。俺が悪かった」 「ううん。僕の悪戯が……こんな事になって……どうしよう…祐さん、怒ってるよね?」 「祐一?」 ヤバい‼︎ こんな所で悠長に話してられない‼︎ ミキに説明と詫びを入れないと! 「真琴君、こんな事してられない。祐一達の後を追うぞ」 「あっ、うん」 俺はスクッと立ち上がり真琴君に手を貸し立ち上がらせ、お互い乱れた浴衣を直し、真琴君と共に祐一達が居る隣の部屋に向かった。 部屋には鍵は掛かっておらず、まだ何から話すかも決めておらず、躊躇いがちに玄関に入った。 「あっ…祐さん……ぁあ……いっ」 「ここだろ?」 「あっ、うん…そこ…ぁ……いい……もっとして」 「解った! 他に、ご要望は?ここは?」 「ん……ぁ……そこも…いい」 部屋の中からそんな声が聞こえ、俺は頭から血の気が引く、俺の背後に居た真琴君が俺の浴衣の裾を思わず握ったのが解り背後を見ると、真琴君は顔面蒼白で泣き出しそうだった。 「大丈夫だよ。何でも無いよ。祐一達を信じよう」 「……うん」 俺は自分に言い聞かせるように真琴君に話した。 意を決して襖を開けると、畳にミキがうつ伏せになり祐一が上に乗って跨ってる姿が見えた。 嘘だろ‼︎ 目の前の光景が信じられなかった‼︎

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