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第665話

本館の大広場までの廊下を祐一と並んで歩く。  「なあ、仲直りしたのか?」 「……微妙だな。祐一の方は?」 「まあな。マコの悪戯で、こうなったからしっかり説教した。で、後でお仕置きだな」 ニヤニヤしながら話す祐一の顔を見て、何だよ~しっかり仲直りしたんじゃねぇ~かよぉ~、それに ‘お仕置き’ って何だよ~。 ったく、ヤラシイ顔してんじゃねぇ~よ! 仲直りした祐一達が羨ましくもあり僻(ひが)んでしまう。 あ~あ、俺も早く仲直りしてぇ~な。 前を歩くミキ達を見てそう思っていた。 大広場に着きカ-ドを渡し席に着く。 和洋中のバイキング形式で、ビ-ルとジュ-スもセルフで飲み放題だった。 目移りする料理が所狭しと並び、そして目の前ではロ-ストビーフや天ぷらや海老チリを料理してくれ、列になっていた。 デザートもプチケ-キが何種類もあり果物やアイスまであった。 それぞれ自分の好きな物を取り席に着いた。 「取り敢えず、乾杯しようぜ。乾杯♪」 祐一が音頭をとりビールで乾杯した。 「「「乾杯」」」 ゴクゴク……飲み、色々あって喉が渇いていたようだ 最初は何だかぎこちなかった雰囲気も多少はあったが真琴君が一生懸命に場を盛り上げ話し、ミキにも話を振り、徐々に場の雰囲気も良くなってきた。 何度か好きな物をお代わりし、ほろ酔い加減でビ-ルも飲み、ミキ達はデザートを取りに行った。 祐一とビ-ル片手に飲み語り合う。 「良かったな。少しは、ミキも機嫌が治ったようだな」 「ああ、真琴君のお陰だな……でもよぉ~、俺は部屋でミキに謝っても微妙だったのに、何で、真琴君には簡単に許すんだ?」 「そりゃ~マコの方がミキとは付き合いが長いし、マコは絶対にミキを裏切らないからな。ミキもそれは充分に解ってる」 「付き合いの長さは負けるが、恋人は俺だぞ‼︎」 「まあ、妬きもち焼くなって。俺だって、あの2人の仲には割り込めない。ミキにとっては、マコだけはずっと離れずに居たし、信頼できる親友だからな。今までの経験上で、恋人はいつか別れて裏切ってしまうかも…って思ってる節はある。まあ、それはミキに限らず誰にでも少なからず思ってると思うがな。それは伊織がどうとかじゃあなく……経験上ってだけだ。これからは、伊織がそう思わせないようにしていくんだよな?」 「ああ、俺はミキと出会ってから誠心誠意ミキの事だけ考えてたし、ミキからも信頼されてると言う自負はある。まだ、1人だと言う不安やらがあるなら、これからは同棲して本当の家族のようにして、その不安を解消してやる!」 付き合って2年近く経つが、信頼と愛されてる自信もあるが、まだミキの根底にある不安は解消されてないのかも知れないが……俺の愛情で解消してやる。 「まあ、焦らずにゆっくりと、お前達のペ-スで積み重ねていけば良いさ。ミキだって、お前の気持ちは解ってる。ま、親友と恋人の違いって事だ」 「俺はそう言う所でも真琴君に負けてるような気がして、嫉妬してしまう」 「それは俺も一緒だ。比べても仕方ないさ」 そう言って俺の肩をポンっと軽く叩いた。 祐一の言ってる事はご尤もな意見だった。 たぶん、祐一も少なからず俺と同じ想いをしてきたんだろうな。 「そうだな。俺は俺でミキを愛しずっと側にいて離れない。俺らしく、この先もやっていく」 「その意気だ! 俺も自分らしくマコと向き合うようにしてる。俺はどうも伊織みたいに情熱的でもないし愛情表現がヘタだからな。それでもマコには通じてるって思ってる」 「惚れた方が負けだな」 「そうだな。でも、それだけ惚れ込める相手に出会えたって事だ。嬉しいじゃねぇ~か」 「そうだな」 ミキと真琴君がデザ-トを皿いっぱいに取ってきた。 「大丈夫か?そんなに食べて?」 ニコニコ嬉しそうな顔で俺の隣に座り 「どれも美味しそうで迷っちゃった。でも、プチサイズだから大丈夫ですよ~。伊織さん、何か食べます?」 皿の中身を見て1番甘く無さそうなコ-ヒ-ゼリーにした。 「ん~、コーヒーゼリーかな」 プチコーヒーゼリーをスプ-ンに一口分取り 「は~い」 俺の口元に持ってくるのもいつもの事だ。 俺も照れずにパクッと口に入れた。 「ほろ苦く旨い!」 「本当⁉︎ じゃあ、俺も~」 ‘美味しい.美味しい’ と言って、他のデザートも食べ始めた。 目の前では、祐一達も顔を近づけ何やら笑いながら話してる。 祐一が俺や龍臣以外に心を許してる証拠だな。 夕食で何となく普段通りに戻った俺達は部屋に戻る前に、少し旅館のゲ-ムコ-ナ-に行き、レトロなゲ-ムやクレ-ンゲ-ムをしたりした。 俺達はあまり普段もゲ-ムはしない。 唯一、真琴君は少しするようだが、それは携帯ゲ-ムや家庭ゲ-ム機らしいが、レトロなゲ-ムなんかは逆に新鮮な感じで皆んなで盛り上がった。 野次が飛んだり笑ったりへこんだりと楽しかった。 それから俺達は部屋に戻る事にした。 これからはそれぞれカップルでの時間だ。 真琴君は最後まで「ミキと、もっと遊ぶ~」と言ってたが、祐一に説得され名残惜しそうに部屋の前で分かれた。 旅館に着いてから色んな事があって、ミキとイチャイチャもできてない。 これからは2人っきりだ‼︎ 折角の旅行だ、夕飯前の雰囲気を一新しラブラブに過ごそう! と息巻いた。

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