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第673話
「ミキ~、ちょっと、売店見て行こうよ」
「そうだね。伊織さん、売店見ます?」
「いや、祐一とあそこのソファで待ってる。どうせ、帰りのSAで土産買うんだろ?ここは見るだけにしておけよ」
「は~い♪ マコ、行こう」
「じゃあ、祐さん。ちょっとだけ見てくるね」
そう言って、俺達から離れ直ぐそこの売店を見に行った。
ミキ達の姿が見える近くのソファに祐一と座り、俺達はゆっくりする事にした。
「朝食あんなに食べて、元気だよなぁ~」
「昼飯は折角だから海鮮丼か魚料理食べるから、少し控えろよって言ったが、返事だけは良かったがしっかりデザ-トまで食べてたぞ。朝から良く食べられるよな」
「そりゃ~、昨夜は体力使ったからだろう⁉︎…ん?
だから部屋に呼びに行った時に寝坊したんだろ?
頑張り過ぎか?」
確かに祐一の言う通りだっだし朝食の時間に寝坊したのも本当だが、直ぐに追い着いて一緒に食べたじゃねぇ~か。
「ミキは嘸(さぞ)かし、色っぽかったんだろうな~」
ったく! こいつのニヤニヤした顔が腹が立つ‼︎
俺を揶揄う為にわざと言ってやがる。
そっちがそう言うつもりなら……。
「あっ! そうだ! お前な~、離れの宿予約したのは良いが隣との距離を確認したのか?露天風呂での声が丸聞こえだったぞ」
何の声が聞こえたとは敢えて言わなかった。
今度は俺がニヤニヤ…した。
俺のこの顔で悟って貰うようにした。
仕返しだっつ-の!
祐一はニヤニヤ顔からギョッと驚いた顔に変わり
「お前ぇ~! あの時……露天風呂に居たって事か?マコのあの声聞いたのか⁉︎ ああ⁉︎ どうなんだ~‼︎」
「さぁ~て、どうだったかなぁ~」
「はあ‼︎ 何、惚(とぼけ)てんだよ‼︎ あん! どうなんだ?」
「あの真琴君からは想像できなかったが……まあ、聞きたくなくとも聞こえた」
「はあ‼︎ 何、聞いてんだよ! 忘れろ! 直ぐに忘れろ‼︎」
「それはこっちの台詞だっつ-の‼︎ ミキの色っぽい姿を想像した癖に‼︎ このむっつりが‼︎」
「はあ⁉︎ あれは言葉の綾だろーが‼︎ ちょっと、お前を揶揄っただけだ!」
「想像するのもダメだ‼︎ まあ、こっちは勝手に聞こえたのは俺の所為ではない‼︎ 宿予約する時に確認しなかったのは、お前だろ。結局、お前の所為! 身から出た錆?」
「何だと~このヤロ-‼︎ ドスケべ!」
「それはこっちの台詞だ‼︎ このむっつり!」
言い合いから取っ組み合いになりそうになった時に、声が掛かった。
いつの間にか目の前に、真琴君が立って居た。
「何で喧嘩してるの?祐さん」
「……喧嘩じゃない。ちょっと意見の相違があっただけだ」
真琴君の喘ぎ声を聞かれたとは、言いたくないらしい
誤魔化してやんの!
真琴君の背後から、ちょこんと顔を出して笑顔を見せミキが話す。
「マコ~、伊織さんも祐さんも言い合いしても結局仲が良いんだからね~」
「そうなの?」
「ああ、俺達は言いたい事を言っても仲が悪くなる事はない。心配するな、マコ」
心配そうな顔をする真琴君の頭を撫でて話す。
「ね?言った通りでしょ!」
祐一との険悪な雰囲気が和らいだ。
天然なミキのお陰だな。
「売店は見終わったのか?なら、部屋で出発までゆっくりしてぇ~」
「そうですね。じゃあ、部屋に戻りましょう」
ミキと真琴君が前を歩き、その背後から俺と祐一とで着いて行った。
「……揶揄って……悪かった」
珍しい~! 祐一から謝ってくるなんて。
「いや、俺も悪かった……真琴君の…声は聞こえたが直ぐに部屋に入った。だから、聞いてないのと一緒だからな。嘘じゃねぇ~から」
「そうか。それ聞いてちょっと安心した」
「ま、これからは宿を取る時には確認するんだな。隣がまだ俺達だったから良かったが、気を付けろよ」
「ああ、今回で勉強になった」
「2人で旅行も行くだろ?」
「俺とマコとの休みがあまり合わないからな。年に1回行ければ良いって感じだな。離れとかは無かったな今回で離れの宿が良いって解ったから、これからは離れの宿にする。露天風呂があるのが良い」
「そうか。忙しいとは思うが、今回みたいに近場に1泊だけでも良いから、連れて行ってやれよ」
「そうする」
祐一達にとって良い旅行になったようだ。
俺にとっては散々な旅行だったが……いや、刺激的な体験もしたか?
それも思い出の1つになったな。
最後にもう1度部屋の露天風呂に浸かり温泉を堪能しそれからチェックアウトする時間まで昨日出来なかったイチャイチャしながらゆっくり過ごした。
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