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第674話
12時にチェックアウトし、旅館を出て観光してから帰る事にした。
『箱根神社』『箱根元宮』『九頭龍神社』の箱根三社参りする事に決まった。
車を駐車場におき、箱根神社を目指し歩く。
箱根湯元から芦ノ湖エリアは観光客が多く賑やかな観光地だが、箱根神社付近は静かで神聖な気が満ち溢れていた。
参道には樹齢約800年を超えると言うどっしりとした杉並木が連なり、重厚な雰囲気を醸し出している。
「すげぇ~な」
「関東総鎮守らしく格式の高い神社らしいですよ。大きな願い事にも応えてくれるパワーがあるそうです」
「へえ~、そりゃ凄い」
「あの源頼朝や徳川家康も参拝してたらしいですよ」
「やけに詳しいな」
ふふふ…
「実は……車乗ってる時に検索しました」
「そうか。俺はまた神社マニアなのかと思った」
「まさか。でも、神社巡るの好きかも。今までは何とも思って無かったけど……伊織さんと京都に行った時に凄いな~って思って、それからかな。でも、マニアではありませんよ。ただ、建物が綺麗だとか.何のご利益があるのか?って思う程度ですよ」
俺との旅行がミキの中で1つ1つ思い出になってると解って密かに喜んだ。
結構、長い石段が続く。
背後では真琴君が祐一に「祐さん、疲れた~」と甘えてた。
祐一が真琴君の手を取り繋ぎ一緒に歩く。
真琴君は思わぬ祐一の行動に嬉しそうな顔をして、また元気に歩き出した。
結局イチャついてんだよな~。
「マコ、頑張って~。この参道の石段89段あるんだけど、ここもパワースポットなんだよ。厄(89)を落として清らかな体で本殿に向かうって事なんだって~。厄が落ちるから頑張ろ!」
「そうなの~。解った、頑張る~」
「マコ、偉いぞ!」
真琴君を励ますミキと甘やかす祐一とで、真琴君は大好きな2人に構って貰えて嬉しそうだ。
祐一も真琴君に甘いな。
やっと、本殿に入りお参りする。
祐一達は少し休憩すると言い近くで座り、俺とミキは神社の周りを見て歩く事にした。
「伊織さん、多種多様なご利益があるみたい」
看板に書いてあるのを読んで話す。
「へえ~、どれどれ。立身出世.交通安全.開運厄除け.心願成就.武芸上達…か。すげぇ~な、何でも有りだな。中でも、縁結び.子宝.安産のご利益があるらしいぞ」
「凄いですね。女性のお参りも多いんですね」
「だな」
一休みしてた祐一達が俺達の側に歩いて来た。
「もう休憩は終わりか?じゃあ、次に行こうぜ」
「おう!」
本殿の隣にある『九頭龍神社』に行く。
特に縁結びのご利益が強いらしく、箱根神社と両方でお参りすれば効果が上がるとある。
他にも、開運隆盛.金運.商売繁盛のご利益もあるらしい。
俺達は4人で揃ってお参りし、九頭龍神社新宮側の階段を降りると九頭の龍が姿を現した。
この龍の口から流れる水は『龍神水』と呼ばれ、口に含むと不浄を清らかにし、幸運を引き寄せ恋愛運をアップさせるとあった。
「マコ~、飲もう.飲もう」
「うん♪ 恋愛運動アップ~♪」
「何で、恋愛運アップが必要なんだよ」
祐一は妬きもち焼いてるようだ。
「え~、もちろん。祐さんとの恋愛アップだよ~。ずっと仲良く居られるように」
「そうか。そう言う事なら俺も飲む」
他の奴のイチャイチャは見ててアホらしいが、俺も黙って口に含む。
ミキとずっとこれからも一緒に過ごせるように!
心の中で祈った。
「伊織さん、これからもずっと一緒に…ね」
同じ事を考えてたミキに俺は微笑み、頭をポンポンした。
「当たり前だ‼︎ 絶対に、ミキを離さないからな」
「はい♪」
「お~い。イチャつくのは、家に帰ってからにしろよ!」
祐一に揶揄われたが無視だ。
お前こそイチャイチャしてた癖に~と、心の中で毒づいた。
それからロープウェイに乗り、高くなる景色を見ながら登り『箱根元宮』に行った。
先程の神社より小さな神社だった。
山の標高が高い所にあり『雲上のパワースポット』と呼ばれてるらしい。
確かに、山の上と言う事もあり見晴らしが良く空気も澄んでた。
滝のマイナスイオンとは違うが、体の中に綺麗な空気が入ってくるようだ、これがパワースポットと言われるのかもしれない。
「山々と芦ノ湖が綺麗ですね」
「見晴らしが良いな」
「ん~空気も美味しい気がする」
「気持ち良いが、やはり少し寒いな。マコ、寒くないか?」
「うん、大丈夫!」
俺達はお参りした後に、並んで山からの景色を眺めてた。
それから芦ノ湖に寄って行こうと言う事になり、芦ノ湖の遊覧船に乗り楽しんだ。
箱根を出る前に、中途半端な時間だったが約束してた海鮮丼を食べた。
新鮮な海鮮丼はやはり旨かった。
そして俺達は箱根を後にした。
帰りにSAに寄り休憩を兼ねてフードコートで軽く食べ、今度は俺達も館内を一緒に見て回った。
ミキと真琴君は沙織達と悠希さん達にお土産を買うと言って、あっちこっち見て歩く。
2人で「あれは?」「これは?」と言って楽しそうだ
お土産を買い、車中でも2人のお喋りは尽きない。
「楽しかったね」
「うん♪ たくさん写真も撮ったし観光もしたしね♪」
後部座席で楽しそうに話す2人だが……ハプニングはあったが、終わり良ければ全て良し…だな。
「ねえ、今度は皆んなで旅行行きたいね」
「良いね♪ 行こう.行こう」
真琴君がまたとんでもない事を言い出した。
ゲッ‼︎ 何で、沙織達や龍臣達とも旅行行かなきゃなんねぇ~んだ⁉︎
俺はミキと2人が良い‼︎
「龍臣達はどうか解んねぇ~けど……ま、龍臣も忙しいしな。あと、沙織達は沙織はともかく矢島君が女1人だし旅行はだめって言ってたぞ」
沙織も一応は女だ、確かに、ミキや真琴君や悠希さんと居ると4人姉妹みたいで忘れてるがな。
沙織以外は実際は男だ。
「そうだった。矢島さんそう言ってたね」
「じゃあ、沙織さんには悪いけど……今度は優希さん達も入れて3組で旅行行こう。忙しいなら直ぐじゃなくても、皆んなでスケジュール合わせてね」
「良いね♪」
「それでね、今度は旅館じゃなく皆んなでコテージで布団並べて、皆んなで遅くまでワイワイやりたいね」
「修学旅行みたいで楽しそう♪」
真琴君の提案に、ミキも乗り気でどんどん話しが進む
ヤバい‼︎
このままだと現実になる!
「なあ、祐一。優希さんと旅行だと、本当に修学旅行みたいで嫌じゃねぇ~?」
「まあな」
まあな…じゃねぇ~よ。
もっと嫌がれよ。
「優希さんが先生で皆んな生徒に戻って、修学旅行気分で過ごすなんて考えただけで楽しそう♪ 皆んなで枕投げしたりトランプしたりするの~」
「伊織さんや祐さんや龍臣さん達と、学生気分になれる~♪」
「あっ、本当だね♪」
この歳で学生気分? もう学生時代から何年も経ってるし、今更キモい‼︎
ここは何としても阻止しないと……。
「なら、ミキ達はセーラー服着てくれよ。沙織に頼めば喜んでやってくれるぞ‼︎ 女子高生になるなら旅行行くぞ~」
「「え~~やだぁ~~‼︎」」
くっくっくっくっ……
ははははは……
「伊織さん! 笑い事じゃないよ」
「祐さんも!」
俺達が揶揄うように笑うと、プリプリ怒る姿が可愛いかった。
こうして俺達4人の旅行は終わった。
色々あったが……楽しかった⁉︎…かな⁉︎
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