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第676話

4月中旬に、沙織から招集があった。 いつもの如くおやじの店に集まる事になり、ミキは定時に上がり先に行ってる。 ミキと真琴君と沙織は2週間に1度の割合で会ってる。 たまに、優希さんも時間が合えば合流するらしい ミキと会ってるんだから、わざわざ俺に会う必要無いと思うが……沙織にはなぜか?逆らえない。 俺も時間をずらして会社を出て店に向かった。 ガラガラガラ…… 「よっ! おやじ、元気か?」 「お陰さんでな。久し振りだな」 「俺が来なくても、ミキが良く来てるだろ?」 「ヨシ君達が来ると店も賑やかになる。常連さんも喜んどる」 「そうか、良かったな」 おやじとの挨拶も済ませ、店の一角でミキと真琴君と沙織が既に飲んで居た所へビール片手に挨拶する。 「真琴君、久し振り。で、何だよ。用件は?」 「お久し振りです、成宮さん」 「もう! 何で、私にはそんな言い方なの?マコちゃんと全然態度違うじゃないの」 「俺に対する相手の態度で変える主義だからなぁ~~」 「ふん‼︎」 「伊織さん! 女性には優しくですよ⁉︎」 「あ~ん、ヨシ君って本当に良い子ね~。伊織には勿体ないわ。もっと良い人居るわよ、今からでも遅く無いわ」 このヤロ~~‼︎ 「沙織さん、俺の方こそ伊織さんは勿体ない人です。それに俺には伊織さんが1番ですから、他の人は考えられません」 さら~~っとそう言う褒め言葉を無自覚で言うんだよなぁ~~。 本人は素直な気持ちを言ってるだけだと思ってるんだろうけど、聞いてる周りの方が恥ずかしいが俺には嬉しい‼︎ ここが部屋なら抱きしめてる所だ。 ミキの隣に座り照れもあり、ビール片手にグビグビ…飲む。 「もう、ヨシ君ってば、一途で本当に良い子ね~~」 沙織には頭を撫でられ、ミキも照れてグビグビ…ビールを飲む。 「おい! 気安く触るなっつーの!」 「あら~~、これ位良いじゃないの。ね、ヨシ君」 ナデナデ… 「ヨシ君の髪ってふわふわで触ってて気持ち良いわ」 「だから、触んなっつーの!」 沙織からミキを奪還し、俺がミキの頭を撫でるとミキはふんわりと笑う。 「やだぁ~~、ヨシ君の笑顔って最高だわー。それに比べて、伊織って同棲しても独占欲は相変わらずね」 「見るな! 触るな!俺のミキを俺がどうしようと構わないだろ」 「…伊織さん」 「ヤダわ。見つ目合っちゃって~~。ここは外よ! 部屋でやって欲しいもんだわ。ねえ、マコちゃん、そう思わない?」 「いつもの事ですから、僕は慣れっこです」 ガヤガヤ…騒がしくしてる所に、矢島君と龍臣と優希さんが店に入って来た。 「すみません。遅くなりました」 律儀な矢島君らしい爽やかな挨拶だ。 「俺も今さっき来た所だから気にしなくって良いよ。龍臣と優希さんも呼んだのか?」 「そうよ」 何だろうな? 何の集まりか?知ってるのかと思いミキを見ると頭を横に振り知らされてないようだ。 おやじに挨拶がてら談笑してる龍臣と優希さんに声を掛けた。 「龍臣、お前らも呼ばれたのか?」 「ああ、優希と時間合わせて会社出て来た。そこでばったり矢島君と会って一緒に来たんだ」 おやじから3人共ビールを受け取り、俺達のテーブルに着いた。 「これで、皆んな揃ったわね。あ~、桐生さんは仕事だから仕方ないわね」 「うん。ごめんねー」 「ううん、良いのよ。私達の都合で今日にしたんだから」 「で、何の集まり?」 なかなか本題の主旨を言わない、俺は皆んなを代表して聞いた。 「そうね。今日、集まって貰ったのは……やっぱ大ちゃんから話して~~」 キモ~~! 矢島君に甘えるように話す沙織が普段の沙織と違って気色悪い。 そんな沙織に矢島君もデレデレしながら席を立つと沙織も一緒に席を立ち、矢島君が緊張した面持ちで話し始めたって言うか叫んだ。 「俺と沙織さんは結婚します‼︎」 矢島君の叫ぶような言葉に沙織は照れてる。 シ~~ンと一瞬静寂になり、それから一斉に 『おめでとう』『とうとう決まったか』『おめでとうございます』 祝福の言葉が飛び交い祝福ムードになった。 おやじもカウンター側から「さおちゃん、矢島君、おめでとう」と声を掛けた。 「ありがとう」「ありがとうございます」 2人は嬉しそうに蔓延の笑みで応えた。 大学時代からの付き合いと聞いてただけに、やっと専務からの許しが出たらしい。 ずっと沙織一筋の矢島君と若いが会社を起業し社長として頑張ってる矢島君を支えてた沙織。 そう言う2人を見てただけに、俺達の方も喜びがひとしおだった。 今日は結婚の報告をする為の招集だったようだ。 普段は憎まれ口をききいつも上から目線で話すが、俺にとっても妹みたいな存在だっただけに、皆んなに祝福され嬉しそうな2人に ‘本当に、良かったな' と心でそう思った。

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