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第680話

「皆様、本日は矢島大輔君.神崎沙織さんの結婚式の2次会にお越し頂き誠にありがとうございます本日、司会を務めさせて頂きます、新郎.大輔君の大学時代の友人で坂口と三上と申します。本日は宜しくお願い致します」 パチパチ…パチパチパチ…… 司会者の挨拶が終わり会場から拍手が湧き起こる 「本日は大輔君.沙織さん、ご結婚おめでとうございます。それでは、ただ今より新郎大輔君と新婦沙織さんのウエディングパーティーを始めさせていただきます。まず始めに新郎新婦から皆様へご挨拶がございます。大輔君、宜しくお願いします」 矢島君と沙織がその場に立ち上がり、矢島君が会場の人達を見回して深呼吸をし緊張した面持ちで結婚の報告と挨拶をした。 隣では、沙織がしおらしく寄り添い矢島君の挨拶をうっとりと聞いてた。 矢島君の挨拶が終わり、2人がお辞儀をすると会場からはまた祝福の拍手が湧き起こる。 2人が座り、司会者は乾杯.ビデオレターと滞りなく進行していくのを、俺達は奥のテーブルを6人で囲みながら眺めて居た。 矢島君は正装し沙織はカクテルドレスで着飾り、見つめあったり笑いあったりと幸せそうなのがこちらからも見えた。 友人達が何人か代表で祝福の挨拶をしグループで歌を歌ったりと2人を祝福する。 和気藹々とした雰囲気の中で進行していき、 「それでは、この箱には皆様からお2人に質問が書かれた紙が入ってます。私が代表で引いていきますから、どんな質問にもお2人は正直に答えて下さいね。では、参ります。質問コーナー!」 盛り上げる司会者に湧き起こる拍手。 「では、1枚目の質問! 2人の馴れ初めは?」 照れ臭そうに矢島君がマイクを手にし話す。 「同じ大学の先輩後輩で同じサークルで知合いになりました」 「運命だったわけですねー。では、2枚目の質問! 子供は何人欲しいですか?男の子と女の子どっちが欲しいですか?」 「えーと、子供は2~3人かな。健康なら男でも女でも良いです」 「私は一人っ子だったから、できれば2人以上は欲しい。女の子は絶対欲しいわ」 沙織の奴、自分の娘も着せ替え人形にしようと思ってるな。 「じゃあ、子供は2人以上ですねー。次の質問は……お互いの第一印象と好きになった所は?良いですねー。核心についてきましたねー」 「第一印象は凄く綺麗な人だと思いました。憧れの人でした。好きになった所は竹を割ったような性格でさっぱりしてはっきり物事を言う所ですねでも、凄く可愛い~所も魅力です」 ヒューヒューと囃し立てられ、矢島君は照れて居た。 沙織は頬を染め、皆んなの前で言われてやはり照れてた。 「私は大ちゃんの優しい所と頑張り屋な所が好きです、あとは誠実な所も」 またもや周りから囃し立てられ、照れる2人だ。 見てるこっちが恥ずかしい~。 俺は龍臣と祐一を見ると2人も俺と同じ顔をして目が合うと苦笑いしてた。 ミキと真琴君と優希さんはにこにこと談笑し嬉しそうな顔で2人を見て居た。 その後も質問は続き「浮気されたらどうしますか?」「カカア天下?亭主関白?どっち?」「初キスの場所は?」「プロポーズの言葉は?」etc…そんな質問に真摯に答える2人と囃し立てる周りの人達で場は盛り上がる。 マジで知りたいのか?って言う質問もあったが、2人は嬉しそうだったし幸せそうだった。 たまに「秘密です」と言って、答えない場面もあった。 大切な思い出は2人だけの胸に仕舞っておこうと言う事らしい。 それにも、ひやかされ囃し立てられてた。 充分に盛り上がった所で、周りから『キス.キス』とキスコールが湧き起こる。 ゲッ! マジ~~‼︎ 定番のような古臭い感じもするが……2人のキス見たって面白くもないが⁉︎ そう思ってるのは、俺だけじゃなかったらしい。 祐一と龍臣も俺と同じ顔をしてた。 ミキ達は本人達より照れて、そしてワクワク…してるように見える。 『キス‼︎ キス‼︎ キス‼︎……』 「皆さんこう言ってます。…ここまで場が盛りがってますからねー。やはり、ここはキスしないと収まりません。どうでしょう?」 矢島君と沙織は顔を見合わせ……キスコールの中………矢島君が顔を近づけ沙織の頬にキスした 「これで勘弁して下さい‼︎」 矢島君が照れて話すと、囃し立てる声と野次とが飛び交う。 「まあ.まあ。公衆の面前でのキスはやはり照れるでしょうから、これで皆様勘弁しましょう」 司会者は上手く執りなしてくれた。 「では、場も盛り上がってきましたので、ここで暫くご歓談とお食事をお楽しみ下さい。新郎新婦との写真を撮りたい方は、このタイミングでぜひどうぞ。本日は、立食パーティーとなっており、ビッフェスタイルとフリードリンクです。どうぞご自由にお取り下さい」 司会者に拍手が起こり、食事や飲み物を取りに行く者や早速写真を撮りに行く者と四方八方に散らばった。 男女合わせて50人前後だろう会場では、沙織と矢島君が同じ大学と言う事もあり、大学時代の友人が多いらしく、あっちこっちで「久し振り~」「元気だったか?」「今、何やってんの?」と会話が飛び交って居た。 他には、矢島君の会社の同僚や沙織の前の職場の友人と其々の高校時代の友人.そして俺達らしい。 立食パーティーで立ち話や会場の回りに椅子が用意されそこで座りながら話してる人も居る。 「結構な人数ですね?」 「ああ、共通の友人が多いみたいだな。矢島君はともかく沙織にも友達が居たとはな」 「また、そんな事ばっかり言って~。沙織さんは性格がさっぱりしてるから友人も多いと思いますよ」 「さっぱりって言うが男勝りって言うか……確かに、女の割には俺からしても付き合いやすいがな」 ミキと2人で会場を見回しながら話してると真琴君が割り込んできた。 「ねえ、ミキ。食べ物取って来ようよ」 「そうだね。伊織さん達の分も取って来きますね優希さんも一緒に行きませんか?」 「そうだね。飲み物も欲しいし、料理もたくさん取って来ようか。じゃあ行こう」 「伊織さん、適当に料理持って来ますね。行ってきまーす」 手を振って3人でブッフェの場所まで話しながら歩いて行く後ろ姿を見て居た。 「そんなに見つめて。毎日、見てるだろ?」 「熱い視線だな」 揶揄う祐一と龍臣には目もくれず、その事に関しては無視だ。 毎日見ても冷めない気持ち、いや寧ろ同棲してからの方が愛しさが募る。 「あの3人すっかり仲良くなったな」 「ミキとマコは元々学生の時からだが、優希さんとも気が合って良かったな」 「優希も沙織さんも含めて4人で会うのが楽しみみたいだ。良い息抜きになってる」 「良かったな。それにしてもさっきの質問コーナーは、聞いててこっちが恥ずかしかったな」 「解る.解る。俺達にとっては、どうでも良い事だけどな」 「最後のキスコールが……俺だったら死ぬ」 「解る.解る」 「でも……幸せそうだな」 「そうだな」 「矢島君は尻に敷かれるな」 龍臣の一言で納得し笑い、そして写真撮影に勤しんでる2人を眺めてた。 良かったな、沙織。 幸せになれよ‼︎ 口では憎まれ口を叩くが、心の中で祝福し幸せを願った。

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