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第683話
俺達がビュッフェのデザートを物色してた間に、伊織さん達がそんな事になってるとは知らずに、マコや優希さんと美味しそうで可愛いらしいスイーツを目の前に呑気に喜んでた。
「うわぁ~、可愛い~♪」
「食べるの勿体ないね♪」
「プチサイズだから、たくさんの種類持って行けるね♪」
俺とマコは甘い物が好きだけど、優希さんも案外イケるみたいでスイーツを見る顔が嬉しそうだ。
「どれにしようかな~♪」
「これ、可愛い~ね♪」
「これも美味しそうだよ♪」
女の子が多い中で、スーツを着た男が3人スイーツを前にワイワイ…はしゃいで居る姿は、場違いな感じで見られてたのは、当の本人達はスイーツに夢中で全然気付かずに居た。
自分1人だけだと気後れしてたと思うけど、3人で居ると気持ちが大きくなり周りの事は気にもしなかった。
俺もマコも優希さんも皿にプチスイーツをたくさん乗せて、お互いの皿を見せ合って笑う。
「たくさん取ったね」
「うん。伊織さんも少しなら食べるかな?って」
「ミキも?僕も…普段は食べないけど、このサイズなら少しは祐さんも食べると思って」
「2人共、恋人想いだね」
そう言ってる優希さんの皿にもたくさんのスイーツが乗って、とても1人で食べる量だとは思えなかった。
優希さんも……恋人想いは同じだね。
そう思うと顔が自然と綻(ほころ)んでた。
「そろそろ、戻る?」
「うん! あっ! 待って~、最後にこれも」
「マコ~、お皿に乗る?」
もう1つ皿に乗せると言うマコと一緒に、スイーツを見てるとトントン…と背中を軽く叩かれた。
「何ですか?」
振り向くと、側に居た優希さんが俺の背中を叩いたようだった。
「美樹君、マコちゃん。あれ見て!」
優希さんが顔を向けてる方をマコと一緒に不思議に思いながら見た。
そこには……俺達が居たテーブルに、女の子達と輪になって談笑してる伊織さん達の姿が遠目で見えた。
俺は体が動かずに居たが、マコが「何で?」と言って歩き出そうとした所を優希さんが制した。
「マコちゃん、放っておこう! 彼女達が居なくなるまで……そこのテーブルでデザート食べてよ」
「でも……」
渋るマコに、優希さんは「雰囲気悪くなるのは…ね?今は、結婚式の2次会だよ」
事を荒立てるのは……と言う優希さんの配慮だった。
俺は黙って2人を見てると、ドンッ!っと背中が誰かとぶつかった。
「えっ!」
ぶつかった拍子に、前に少しつんのめった所を優希さんが支えてくれた。
「大丈夫?」
心配してくれた優希さんの声に重なるように、背後からも声が聞こえた。
「す.すみません! 大丈夫でしたか?」
「大丈夫です」
振り向くと、3人のスーツを着た男の人が俺を見てた。
「だから、良く周りを見ろって言ったんだよ~」
「すみません。こいつ、おっちょこちょいで」
「いいえ。本当に、大丈夫ですから」
ぶつかって来た人は、俺の持ってる皿をジッと見てた。
「やっぱ、美味しそう‼︎」
「えっ⁉︎ 何が」
その人が俺の皿から目を離さずに居ると、他の2人が話し出した。
「いや~、実は……俺達、凄く甘い物が好きでして……で、料理取りに来た時に、デザート見てめちゃくちゃ美味しそうで」
「でも、女の子が群がってたんで諦めてたら、遠目からスーツ着た人が何人かデザートコーナーに居るのが見えたんで ‘俺達も’って近くに来たんですが……やっぱり、あの中になかなか入れずに居た所だったんです」
デザートコーナーを見て話してると、新しいスイーツが来たのか?また、女の子達が群がってる光景が見えた。
「あの~、良ければ一緒に食べます?まだ手をつけてないしたくさん取ったので。丁度、あそこのテーブルで食べようって話してたんです」
話を聞いてた優希さんが突拍子も無い事を言い出した。
「えっ⁉︎」
「優希さん……」
俺とマコは驚き、それだけ言葉を発した。
言われた男の人達もいきなりの事で驚いてたが、直ぐに嬉しそうな顔に変わった。
「良いんですか?」
「マジ⁉︎ 嬉しい‼︎」
「俺、フォークとお礼に飲み物持って来るよ」
話しがトントン…と進み、何故か?近くのテーブルに移動し、6人でスイーツを食べる事になった
俺はチラッと伊織さん達の方を見たけど……まだ6人で談笑してた。
早く、彼女達どこかに行かないかな~。
「ねえ、あそこ僕達が居たテーブルだよね」
移動しながらマコが話し掛けて来た。
「うん」
「と言う事は……女の子達から祐さん達に近づいて来たって事だよね?」
「確かに……」
そうか、そう言う事か。
伊織さん達から声を掛けたわけじゃない事に、少しホッとしたけど……。
「そうだとしても……やだね~、鼻の下伸ばしちゃって。あっちはあっちで楽しんでるんだから、気にしないで行こう」
優希さんが怪訝な顔をして話してきた。
「う…ん」
俺とマコは、まだ伊織さんと祐さんが女の子に興味がないのを知ってるから救われるけど……それでも、やはり仲良く話してる光景には妬き持ち焼くんだから……真性のゲイではなく以前は女の子も相手をしてた龍臣さんのあの光景を見た優希さんの心中は穏やかでは居られないだろうと思った
俺達でさえ、心がザワザワするんだから……優希さんはもっと……はあ~、合コンとかとは違うけど…結婚式の2次会も彼氏.彼女が居ない人にとってみれば出会いの場の1つなんだと改めて思いながら目当てのテーブルに向かった。
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