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第684話
かれこれ20分か?いや、30分近くは話してるか?
女達の話しは終わらない。
はあ~、疲れる!
沙織の友達だと思うから、無下にも出来ずに愛想良くしてるが……。
限界だと思ってた所に、背後から声を掛けられた
「何、やってんの?」
ここに居る女達とは違う女の声に……また1人現れたのか?と、げんなりしながらも声がした方に顔を向けると、綺麗に着飾った沙織が腰に手を当て立ってた。
「あっ! 沙織~」
沙織の友達が笑顔で応えた。
ゲッ! 何で、ここに?
俺は祐一と龍臣の顔を見ると同じような顔をしてた。
「良いのか?矢島君は?」
俺が声を掛けても無視し、女達に向かって話す。
「んもう、ここに居たのね?探したわよ」
「だって~、知合い居ないから~」
「この人達、矢島さんの知合いなんだって~。沙織も知合い?」
チラッと俺達を見て、また女達に向き合う。
「この人達、彼女持ちよ。恋人が居るわよ。あっちに紹介したい人達が居るから、探してたのよ」
彼女持ち.恋人が居ると聞いて、あからさまにがっかりした顔をしたが、紹介したい人が居ると聞いて直ぐに笑顔を見せた。
女って、怖え~!
手の平返したような態度に女の表裏が解った。
「行きましょう」
『行く、行く~』
3人を伴い去ろうとする前に、俺の側に来て小さな声で囁く。
「良いのかしら、ここでこんな事してて?」
何を言われてるのか?解らず、沙織の顔を見た。
「見てごらんなさいよ。あっちのテーブルも楽しそうよ。大ちゃんが教えてくれたから、伊織達は何してるのか?と見に来たら……バカね」
沙織が顔を向けた方を見ると、デザートを取りに行った筈のミキ達が奥のテーブルで知らない男達と談笑してるのが遠目で見えた。
はあ~‼︎
何で⁉︎
沙織の顔を見ると、バカね~と言う顔で蔑んでた
「さてと、行きましょう」
「じゃあ、楽しかったです」
「またね」
「楽しんで下さいね」
恋人が居る俺達には用無しとでも言うように、もう目に入らないようで、さっきとは全然違う態度でサバサバ…とし、沙織に連れられ去って行った
それを黙って見てた祐一と龍臣は、まだミキ達の事を知らない。
「なあ、あの手の平返した態度って、何なんだ~」
「ったく! 沙織さんの友達だから愛想良くしてやったのにさ。じゃなかったら無視.無視!」
女達の態度に腹を立てる祐一と龍臣に、もっと腹が立つ事を言わないといけない……いや、俺も腹が立ってる。
何だ~、あの男達⁉︎
2次会でナンパか⁉︎
優希さんが居ながら……その頼みの綱の優希さんも談笑してる!
龍臣……相当、怒るよな~。
「なあ、沙織さん、何をこそこそ伊織に話してたんだ?」
「俺も気にななってた」
「ああ、取り敢えず落ち着いて聞けよ。良いな?」
「気になる言い方すんなよ」
「何?」
「あっち見てみろよ」
俺が顎で示すと2人は釣られてミキ達が居る方を見た……そして龍臣の形相は変わり祐一の目が冷ややかになった。
2人それぞれの性格が表情に現れてた。
龍臣は直ぐに熱くなるって言うか.怒ってる?
祐一は逆にこういう時には冷静になるって言うか冷たくなるんだよな~。
「何?あれ?」
冷たく言い放す祐一に対して
「誰だよ! 優希の奴‼︎」
口調が怒ってる龍臣。
その気持ちは俺には凄く解るが、龍臣が居なかったら俺も怒ってたはず。
龍臣の形相と口調で、逆に俺が冷静になれた。
「俺が行って来るから。祐一、龍臣を頼む」
今直ぐにでも、ミキ達の所に飛んで行きそうな雰囲気の龍臣を制し、俺が行く事にした。
カッとしてる龍臣が行ったら、ただじゃ済まないかも知れない.事が大きくなるかも知れないと解ってる祐一もうなづき龍臣の腕を掴んだ。
それを見て、俺はミキ達の所に歩いて向かった。
‘冷静になれ、冷静に。浮気じゃない、ただ話してるだけだ’ と心で何度も言い聞かせたが、徐々に近づいて見ると6人で楽しそうに笑ってた。
周りから見たら仲が良い友達同士に見えるだろうが……俺にはミキにちょっかいを掛ける男達にしか見えなくなってた。
‘冷静になれ’と言い聞かせてた事が嘘のように、ミキ達に掛ける声は低く如何にも機嫌が悪いと解る声が出た。
「おい! 何してんだ⁉︎ デザート取りに行って、なかなか戻らないから心配したぞ」
背を向けてたミキ達3人は俺の声に驚き、そしてミキと真琴君は顔を見合わせ ‘マズい’ って顔を一瞬したのを見逃さなかった俺は尚更カッときた。
「別に、何も…」
「そうだよ。スイーツ食べて話してただけです」
ミキは小さな声で言い、真琴君はムッとした口調で納得いかない顔で話してきた。
優希さんは我関せずと、まだ1人の男と話してる
「何でも良いが、祐一や龍臣も待ってる。行くぞ」
ミキの腕を引っ張り歩き出すと「マコ」と小さく助けを呼び「あ~、このスイーツ残り全部食べて良いから」と言って、俺とミキの後を追いかけて来る真琴君の姿は見えた。
ん?真琴君だけ…か?
「優希さん!」とまだ話してる優希さんを呼ぶが「もう少し話してるから」と言って手を振られた
知らねーからな!
龍臣、怒(いか)るだろうな。
無理強いするのも……と思い、取り敢えずミキと真琴君だけそこから連れ出し祐一達の元に無言で向かった。
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