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第685話
スイーツ好きの3人と、なぜか?テーブルを囲む事になってしまった。
「どうぞ、食べて下さい」
「遠慮しないで」
「まだ、欲しいスイーツや足りなかったら持って来ますよ」
テーブルにスイーツが乗った皿を並べて薦めると3人共顔が綻び本当に嬉しそうにした。
「いただきます」
「遠慮なく」
「美味そう♪」
フォークを持ち、どれにしょうか迷ってる感じが本当に甘い物が好きなんだと解った。
甘い物が好きな人に悪い人は居ないと思ってる俺は、最初は得体の知れない人達に警戒もしてたけど……何だか、美味しそうに食べる姿を見て警戒心も無くなっていった。
俺は人見知りな所があると自分でも解っていて社会人になってからはそうも言ってられなくだいぶ改善されたけど、マコは初対面の人でも直ぐに仲良くなれるのは俺には羨ましかった。
学生の時もそのマコの社交的な性格で俺は随分助けられた。
今もこうして話せるのはマコのお陰だ。
俺達もスイーツを食べながら話しをしていくと、3人は沙織さんと矢島さんの同じ大学でサークルが一緒だったらしい。
俺達は共通の友人を介して、最近仲良くして貰ってると話した。
それから3人は学生の時から甘い物に目が無く、他の人には内緒でスイーツの美味しい店に行ったり買ったりとしてる仲だと話してくれた。
「スイーツの店って、何で女の子が多いのかな?」
「カップルで食べに行くのはまだ良いけど……男3人で行くと目立っちゃって…食べたら直ぐに店を出るって感じだった」
「今も取りに行きたかったけど、あの中には……かと言って知合いの女の子に頼むのも…って思って、ずっと見てたら3人のスーツの人達が見えてチャンスだ!便乗しちゃおう!と、意気揚々と近くに来たのは良かったけど……やはり、いざって言うと意気消沈してしまって」
美味しそうに食べながらそんな話しを聞いて、本当にスイーツ目当ての良い人達なんだと思った。
それから2次会で大学のサークルの人達が多くて久し振りに会って懐かしかったとか、こんな機会に呼んでくれた矢島さんに感謝してるとか、どこの店のスイーツが美味しいとか、あんこ派かクリーム派とかスイーツ関連の話しで、徐々に俺達も打ち解け話しが弾んで居た。
3人の内の1人は弁護士で、後の2人は会社員だと話し、彼女とスイーツの店に良く行き最近はパンケーキの店を色々回ってると話してくれた。
そして優希さんは弁護士の人とスイーツ以外の話題でも話し込み……たぶん、同じ弁護士と言う事もありその類いの話しだと思う。
俺達には良く解らなかった。
スイーツ好きの6人が集まれば、結構な速さで皿は空になり「あのショートケーキ最高だった」「チョコの方も美味かった」とか、まだ足りなさそうな感じだったから「何か、取りに行きますよ?」と、声を掛けると「じゃあ、一緒に」と優希さんともう1人を残して一緒にお代わりしに行く程打ち解けた。
テーブルに戻って「あの中に行くのを躊躇してたけど……実際行ってみると、どうって事無かったな」
「俺達ちょっと過剰に反応してたのかもな」と、最初にスイーツを取りに行く事に気後れしてた自分達を恥ずかしいと言って笑った。
俺もマコもすっかり仲良くなり笑って話せるまでになってた時に、背後から声を掛けられた。
それまで人の気配すら感じて無かったから、伊織さんの姿を見て驚いた。
そして低い声で話し掛けられた事で機嫌が悪いと悟り、マコと顔を見合わせてしまった。
機嫌の悪い伊織さんに逆らう事も出来ずに、前を歩く伊織さんの後をマコと2人でトボトボ…着いて行く。
伊織さんに聞こえないように、マコと小さな声で話した。
「あれ、絶対に怒ってるよね?」
「だね。でもさ、祐さん達だって女の子達と楽しそうに話してたじゃん。何で、僕達だけ?」
「だよね~」
「それに僕達の方は男同士だよ?別に、話してても変じゃないけど……祐さん達の方が女の子と話しててさ~。スイーツの話ししてただけなのに…何だか、納得いかない」
「そうだけど……」
「別に、疾(やま)しい事はしてないんだから……堂々としてよ」
「う…ん」
こそこそ背後で内容は解らないが、話してるのは何となく気配で解った。
ちゃんと着いて来てる事を確認しながら、祐一達の待ってるテーブルに着いた。
「連れて来たぞ」
「マコ……どう言う事かな?説明できる?」
直ぐに真琴君に冷ややかな顔と口調で話し掛ける祐一に真琴君は萎縮してた。
可哀想に……と思ってた所に
「おい‼︎ 優希は?」
俺は頭を掻きながら龍臣に詫びた。
「悪い。優希さんはもう少し話してるって言って……強引には連れて来れなかった」
待ってる間もイライラ…してだんだろう龍臣の形相が更に怒りに震えた顔をし拳を握ってた。
マズい‼︎
「おい、落ちつけ‼︎」
「ここは結婚式の2次会だって忘れるな!」
俺と祐一とで龍臣を宥めると、龍臣も深呼吸し落ち着きを見せた。
「俺が行って来る!」
「大丈夫か?話し終わったら戻って来るって言ってたぞ」
「いや、待ってらんねー」
「事を荒立てるなよ」
「解ってる!」
そう言って優希さんの元に向かった。
暫く龍臣達の様子を遠目で伺うと、優希さんの元に行き一言.二言話し優希さんの腕を取り会場から出て行った。
取り敢えず、外で話すらしいと解り胸を撫で下ろした。
龍臣の形相と口調から、4人で見守ってたが大丈夫だと解り、今度はミキ達に説明して貰う番だと俺と祐一とで2人の顔を無言で威圧的に見た。
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