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第697話

先に上がった俺はミキに手を貸し船に上げた。 ツアー客が全員居る事を確認し、ボートは動き出した。 「凄く、近くで見れました~♪」 「餌を食べる時に大きな口を開けた時凄かった~ 吸い込まれそうで怖かった~~」 「このツアー参加して良かった~~♪凄く、良い思い出と滅多に出来ない体験できたし~~」 船上してからミキは余程楽しかったらしく、ずっと喋りっ放しだ~。 大体は俺と同じ感想だった。 俺が口を挟む隙も無い程、ジンベイザメと泳げた事に興奮してるのが解る。 周りでも似たような状況だった。 興奮状態のツアー客を乗せ、ボートは直ぐに出発地点に着いた。 軽くシャワーを浴び着替え、車のバンに乗り込み次のツアー場所であるモアルボアルに向け出発した。 車内でも口々にジンベイザメとの遊泳の話しが、あっちこっちから聞こえた。 まだ興奮冷めやらず俺にしきりに話し掛けてくるミキに俺も水中カメラの映像を見せ、2人で見ながら話しに花が咲く。 それは俺達だけじゃ無かった。 車内の他のツアー客も同じでガヤガヤ…ペチャペチャ…と賑やかだ。 車を走らせ1時間程でモアルボアル島の港に到着し、壁には海と珊瑚そして大きな海ガメの壁画の前で写真を撮ったり水着に着替えたりし、また船に乗りペスカドール島のシュノーケリングスポットへ出発した。 30分程でペスカドール島に着き、そこからイワシの大群に遭遇出来るイワシトルネードポイントへと船は進む。 「次のポイントに向かう時間になりましたら、合図します」 ツアーガイドに言われ、それから海の中に入った 運良く直ぐ側で、イワシの大群に遭遇出来た。 サーディンランと呼ばれるイワシの群れは、数万匹が一体となり泳ぐ姿は圧巻だった。 その光景を水中カメラで撮影し、ミキに群れの中に入るようにジェスチャーで指示する。 イワシの群れの中にミキが飛び込んで行くと、イワシ達ほ距離を保って避けそして先でまた一体になる様子と追い掛けイワシと戯れるミキの泳ぐ姿を撮影した。 面白いな。 俺もイワシの群れを追い掛け自撮りしたり、イワシ達と遊んでると時間がアッと言う間だった。 1時間程で合図が掛かり船に上がり、次のポイントに出発した。 次のポイントは壁画にもあったが、海ガメに会いに行く。 世界有数の海ガメが生息する事でも有名らしく、他の海より海ガメに遭遇する確率は高いらしい。 ポイントを探し到着し、また合図が掛かるまで海の中へ入り海ガメを探す。 直ぐそこに海ガメが居るのか?と思ったが、そんなに甘くは無い。 少し泳ぎ探してると、海藻を食べてる海ガメに運良く遭遇した。 1匹遭遇すると何匹か泳いで居る姿が見えた。 環境保護の為に海ガメに触る事と珊瑚を傷つける事は注意されていた事もあり、俺達は海藻を食べてる海ガメに近づき、少しだけ離れた所から見て海ガメと俺達の姿を水中カメラで撮影した。 一生懸命に海藻を食べてる姿は、とても愛らしい 海藻から離れ泳ぎ出した海ガメと一緒に、俺達も距離を少し取り泳ぎ珊瑚を見たりした。 陸では遅い亀もやはり海の中だと悠々と泳ぐ。 独特の泳ぎ方がまた可愛い。 他の海ガメとも並んで泳ぎ、水中カメラで撮影した。 ここでも1時間程で合図が掛かり、船はビーチへ到着。 「13時30分に着替えてビーチ沿いの、あのレストランに集合して下さい。昼食となります。それまでは自由行動となります」 船から降り着替えに行く者やビーチでまったりと過ごす者や海の中へ入って行く者と思い思いに過ごす。 「疲れたか?どうする休むか?」 「ん~……折角、ここまで来たから、もう少しシュノーケリングしませんか?」 「そうだな。帰りは、また車内で寝られるしな」 俺達はそのままシュノーケリングをする為に海へ向かった。 エメラルドグリーンの海は透明度があり深い海の底まで澄んでおり、本当に海の中なのか?と疑ってしまう程だった。 これまでの海の中でも1番綺麗な海だった。 透き通る水の中には、色とりどりの珊瑚や大量の種類の魚達がのびのびと泳いでいた。 ペスカトールの海は格別で別世界のようだった。 南の島にいる色とりどりの小魚達が餌を食べてる所を間近で見て水中カメラで撮影し、綺麗な珊瑚と一緒に写し俺達は綺麗な海の中を満喫した。 俺はミキに「あっちに行こう!」とジェスチャーで合図し、ミキと手を繋ぎ人が居ない岩場まで泳ぐ 周りに誰も居ない事を確認し、俺は海の中で自分のマスクとミキのマスクを外し、そのままキスした。 その瞬間を水中カメラで撮影し、直ぐにマスクを装着しokサインを出した。 ミキは俺の素早い行動に呆気に取られ、そして腕を叩かれた。 照れてるのが解る。 そしてまた海の中を手を繋ぎ泳ぐ。 「そろそろ上がろう!」とジェスチャーすると、ミキも頭を縦に振りそのままビーチに向かった。 ビーチで腰を下ろし2人並んで海を眺めた。 「綺麗な海でしたね。あんなに海の底まで見えて凄い良かった~~」 「今までで一番綺麗な海だな。珊瑚も色とりどりの魚も南の島ならではだった」 「このビーチも凄く凄く綺麗です。真っ白できめ細かな白砂浜から青く透き通る海を見るのも絶景ですね」 白砂浜を手に救い取りサラサラ…と落とす。 「本当だな。やはり南の島は良いな。ゆっくりと時間が過ぎる感じがする。この海と青空を見てると大らかな気持ちになるな」 「本当に! 何とかなるさって言う気持ちになります」 「歳を取ったら2人で南の島に移住するか?」 「良いですね~~♪」 冗談っぽく言ってるが、俺はそれも良いなと半分本気だった。 この南の島の景色が開放的な気分と思考にさせる まあ~、この先時間はたっぷりある。 まだまだ先の事だし、ゆっくり考えるとするか。 白砂浜のビーチに並んで座り、指先だけは触れて綺麗な海を眺めてた。 それからシャワー浴び着替え指定されたレストランへ行く。 フィリピン料理は安く美味かった。 ゆっくり話しながら食べて帰る前に、少しビーチを散歩した。 ミキは白砂浜を少しだけビニール袋に入れ持ち帰るようだ。 「何にするんだ?」 「ん~~、まだ考え中だけど……可愛い小瓶を買って、それに入れて飾ろうかな?って。思い出に」 「そうか」 「それを見る度に、この楽しい旅行を思い出すでしょ?」 「そうだな。1日中殆ど海の中だったが、ジンベイザメ.イワシの群れ.海ガメ.珊瑚や小魚、そしてこの砂浜と綺麗な海と青空、有意義ツアーだったな」 「はい。ツアー申し込んで正解でした。のんびりとヴィラ前のプライベートビーチで過ごすのも良いですけど、なかなか体験できない貴重な体験が出来ました」 「明日で最後だし……明日は、のんびりプライベートビーチで過ごすぞ」 「はい。それも楽しみです♪」 それから俺達はツアーの車に乗り込み3~4時間掛けてホテルまで戻った。 車内では車の揺れやシュノーケリングの疲れもあり爆睡してた。

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