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第707話
「あん、くすぐったい~~」
抱きしめてたミキが突然言い出した。
「どうした?」
「何か、太腿って言うか.足の辺りが……」
少しミキの体を離し、2人で海の中を見た。
透明感のある海の中で……俺とミキの周りに小魚が集まっていた。
「魚が……」
色とりどりの鮮やかな南国の小魚達が足に触れたんだろう。
ん?でも……なぜ小魚が集まる⁉︎
少し考え、俺はある結論に達した。
「なる程…な」
「可愛い小魚! 色も綺麗! でも、何で集まり始めたのかな?さっきまでは見えなかったけど…」
上から海中を覗いて色鮮やかな小魚に感激してるミキに言おうかどうか迷う。
たぶん、俺の予想は当たってると思う。
「……たぶん、俺達の出した精液が原因だろうな」
「えぇ~~‼︎ 何で?どうして?」
海の中を上から覗いてたが、俺の話しに不思議そうな顔で聞いてきた。
「ん?餌って言うか.食べに来てるんだろう。ま、タンパク質だし別に小魚には何の影響も無い」
「やだ~~、恥ずかしい‼︎」
「もしかして来年には、俺とミキの顔をした人面魚がうじゃうじゃ泳いでるかもな?」
くっくっくっくっ……
下らないが……想像すると笑える。
「そんな訳無いでしょ‼︎ やだ~~、あっち行って~~、そんなの食べないで~~」
海の中に手を入れ掻き回し小魚を散らす。
小魚にミキの精液が食われるのは……悔しいが、海の中に出した俺達の方が悪いしな~。
今回は許すとしよう。
「まぁまぁ~、ここを離れてシュノーケリングしよう」
バシャバシャ…してるミキの腕を取り対面し、首にぶら下がってるシュノーケリングマスクを被せ俺もマスクを被り、手を取りその場を離れ海の中に連れ出した。
海の中で手を繋ぎ泳ぎ、綺麗な珊瑚と色鮮やかな小魚達を見て回る。
こちらがジッと観察してると小魚達も逃げずに珊瑚の周りや俺達の目の前を泳ぐ。
まるで海の中は天然の水族館にでも居るようだ。
可愛い色鮮やかな小魚達を目の前にし、ミキも嬉しそうに見て居る。
俺はもう少し深い所まで行こうと合図を出し、2人で泳いで行く。
さっきの浅瀬に比べると少し大きな魚が泳ぐ姿が見えた。
やはり大きめな魚でも南国の魚は色鮮やかだ。
ちょこまかと泳ぐ小魚と違い悠々と泳ぐ魚達を見るのもまた違う意味で見応えもあった。
時間も忘れて海の中をシュノーケリングしながら探索し楽しんだ。
一休みしようと合図を出し2人で砂浜に上がった
「あの木陰で休もう」
「はい」
木陰で腰を下ろし海を眺めた。
「ふう~、やはり陸に上がると疲れが出るな」
「そうですね。海の中を泳いでる分には解らないですけどね。でも、凄く楽しかった~~♪」
水分補給するように、俺が飲んでたペットボトルの水を渡す。
ゴクゴクゴク……。
やはり喉が乾いてたのか?
喉を鳴らし飲むその喉元が色っぽい。
「はあ~~、美味しい♪」
「気を付けないと水分不足になるからな。海に入ってると気が付かないもんだ」
「本当ですね。こんなに体が水分を欲しがってたとは?思いませんでした」
「水分もだが腹も空かないか?」
「ん~~、そう言われると空いてるような」
時間は解らないが、日の傾きからいって昼は過ぎてるはずだ。
「水分補給のペットボトルしか持って来てないからな。少し待ってろ。ヴィラに行って、何か食べる物を持って来る。レストランに行っても良いがまた泳ぎたいだろ?昼は軽めに何かあるもんで食って、早めに夕飯を食べにレストランに行こう」
「良いんですか?最後だからもう少し海を堪能したいなぁ~って思ってたんで嬉しいです♪お言葉に甘えちゃおうかな?」
「甘えろ.甘えろ。俺が戻るまで少し休んでろ」
ミキの濡れた頭をポンポンし、俺は立ち上がった
「行って来るな。横になって休めよ。バスタオル掛けておけ」
「は~い」
ミキの可愛い返事を聞いて、俺はヴィラに向かう
途中で振り返ると、ミキは俺に言われた通りに素直にうつ伏せになり背中にバスタオルを掛け横になってた。
あ~いう素直な所が、本当に可愛いらしいし愛しくなる。
俺が見てると気が付いて手を軽く振る姿が可愛い
俺も手を振り返し、安心してまた足早にヴィラに向かった。
ヴィラに着き、冷蔵庫を漁る。
冷やしてあったマンゴーとスナック菓子と……卵が残ってたから卵焼きを適当に作りベーコンを焼きトーストした食パンに挟み適当にサンドウィッチを作り、ペットボトルを持ちミキの元に向かった。
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