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第709話
カプッ‼︎
「………⁉︎」
何だ‼︎
鼻を齧られた‼︎
俺は驚き目を丸くし開けたが、そこに居るはずのミキの姿は無かった。
キョロキョロ…辺りを見渡す。
目の前に居るはずのミキはシュノーケリングマスクを手に持ち海に向かい走ってる後ろ姿が見えた
やれた~~‼︎
キスする振りをして……まさか、鼻を齧られるとは⁉︎
偶に、こんな子供みたいな悪戯をするんだよなぁ~~。
でも、キスするより鼻を齧られた事の方が何故か⁉︎興奮した。
齧られた鼻に手を当て、俺もシュノーケリングマスクを持ち立ち上がりミキを追いかけた。
「こら~~! 待て~~‼︎」
砂浜を走るミキは振り返り、追いかけて来る俺を笑いながら見て
「待ちませんよ~~‼︎ やらしい顔して」
シュノーケリングマスクを被り海の中に入ろうとするミキに何とか追いついて、そのままダイブし
2人共、海の中にドボンッ!と勢い余って倒れた。
浅瀬の海の中で尻もちを着きシュノーケリングマスクを取り、首にぶら下げ俺に抗議してきた。
「酷い! ダイブする事無いと思います!」
本気で怒っては居ないが、文句を言う顔も可愛いらしい。
「酷いのはミキだろ?キスするかと思いきや……鼻を齧りやがって~~」
「だって~~、伊織さんのキス待ち顔が…めちゃくちゃイヤラしいから~~」
「誰の顔がイヤラしいって?それは色気があるって言うんだよ! たくっ‼︎ 良く男前だとか大人の色気があるって言われる俺を捕まえて、そんな事を言うのはミキだけだぞ」
「ふ~~ん!……最近では、どなたに言われたんですか?」
ヤバッ‼︎
余計な事言った!
「……最近はって言うか.ミキと出会ってからはそう言う事は言われた事無いなぁ~って言うか、そう言うシチュエーションにもなって無い‼︎ 俺はミキ一筋‼︎ そんな事よりキスさせろ‼︎ キスする気満々だったんだからな! キスしなきゃ気持ちが治まらない」
俺がキスするまで譲らないと言うと観念したらしい。
「解りました。どうぞ⁉︎」
浅瀬に尻もちを着き目を瞑り、俺からのキスを待つミキの頬に手を当て顔を近づけた。
綺麗な顔だ!
イヤラしさは感じられない。
閉じられた目には長いまつ毛が…そして1つ1つのパーツが完璧で人形のようだ。
そう思いながら顔を近づけ唇に触れる寸前で
カプッ!
整ったミキの鼻を齧った。
今度は、ミキが目を見開き驚く。
「あ~~やられた~~‼︎ 仕返ししようとしてたんですね?」
「いや、キスしようとしてたが寸前で気が変わった。やられたらやらかすのが俺の性分だからな」
「そんな性分要らないです………ちゃんと…キスして」
上目遣いで言われ……あ~~、この目に弱い‼︎
俺はメロメロ…になり、だらし無い顔をしてただろうな。
今度こそ、ミキの唇にチュッ!っとキスした。
濃厚なキスは…抑えられなくなると止めた。
ミキは目を静かに開け目の前の俺を見て、ふわりと笑った。
この笑顔だけで幸せな気分になれる‼︎
「大好きです‼︎」
この上、そんな言葉も言われ、海の中じゃなきゃ押し倒してた所だ。
この天然小悪魔にも困ったもんだ。
俺の心を弄ぶ。
「俺も好きだ‼︎ このままここに居ても仕方ないからシュノーケリングするか?時間的に2時間位か?そして早めの夕飯にしよう」
このままだとヴィラにミキの手を引いて戻って行きたくなる衝動に駆られると思いシュノーケリングをしようと持ち掛けた。
俺の葛藤してる気持ちには気付かずに嬉しそうな顔を見せた。
「これで最後ですもんね。思う存分楽しまなきゃ」
シュノーケリングマスクを装着し、海の中に入って行く。
早く来いとばかりに手招きする。
ま、今日で旅行最終日だしな。
お楽しみは夜に取っておくか。
南国の雰囲気と旅行と言うシチュエーションの中で、解放的なミキとどんな事しようか。
今のミキなら何でもしてくれそうだ。
スケベ心が溢れてくる。
夜が楽しみだ‼︎
その前に、最後のシュノーケリングも楽しまなきゃな‼︎
俺は待ってるミキの元にシュノーケリングマスクを装着し向かった。
それから2時間程海の中で楽しみ、俺はそろそろ上がろうと合図し砂浜に上がった。
少し休憩を取り2人で砂浜に座り海を眺めた。
「充分、楽しんだか?」
「はい。色鮮やか小魚や珊瑚とか大きめな魚も見れました。底の方には貝やまた違った魚も泳いでるのが上からも見れて。海水が綺麗な証拠ですねあ~~、明日には帰っちゃうんですね」
残念そうな顔をし海を眺めるミキの頭を隣から腕を伸ばしポンポンした。
「楽しかったな。また、来年も来れば良いさ」
「そうですね。楽しみができました」
今度はふわりと可愛い笑顔を見せた。
この笑顔を見れるなら、また、来年もどこかの南国に旅行しようと心に決めた。
暫く、名残り惜しそうに2人で海を眺め、そろそろ日が落ち代わりに夕日が出そうな感じだった。
「夕日を見ながら食事しよう」
「良いですね♪」
そう決まり荷物を持ちヴィラに手を繋ぎ向かった
そのまま水着のままジャグジーに入り体を温めた
自分では気が付かないが、やはり体はそれなりに冷えていたらしく、ジャグジーの湯の温かさが冷えた体に心地良い。
暫くジャグジーで体を温め「一緒に、シャワーを浴びるか?」と誘うが「もう少し温まりますから。伊織さん、お先にどうぞ」と言われた。
一緒にシャワーを浴びたら……スルだろうな。
それは夜の楽しみにする事にし、俺は無理強いをせずに、先にシャワーを浴びる事にした。
ザッと浴び、ベタベタしてた髪もさっぱりしシャワー室を出て、ジャグジーに居るミキに声を掛け俺はリビングのソファに座り、温まりさっぱりした体からドッと疲れが出た。
心地良い風が部屋の中に入り、波の音が遠くから聞こえ静かに目を閉じた。
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