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第735話
先輩達と会うその当日の夕方に、マコからLINEがあった。
仕事中に…珍しい~。
何かあったのかな?
外回りをし、会社に戻る電車の中でLINEを開いた
♪*仕事でトラブル発生! 時間掛かるから、今日は行けない。ごめん🙏♪*
え~~!
マコが行けないなら……断るしかないかな。
どうしよう。
♪*解った。仕事なら仕方ないよ。マコが行けないなら、俺も断るから♪*
暫く経って、またマコからLINE。
♪*僕の事は気にしないで、ミキは行って来なよこの機会を逃すと、先輩達となかなか会う機会が無いよ?それに永瀬先輩と2人っきりじゃないし大丈夫だよ♪*
ん~~確かに。
先輩を通して会う事になった他の先輩達とは、もうこの機会を逃したら連絡する事も会う事も無いだろう。
どうしようか。
先輩も俺とマコが来る事は他の先輩達に話してあるだろうし……。
一応、先輩にマコが行けない事をLINEしてみようかな。
俺は先輩にマコが仕事のトラブルで行けない事をLINEすると直ぐに返信がきた。
♪*そうか、仕事なら仕方無いよな。ミキだけでも来いよ。あいつらも2人に会うの楽しみにしてるし♪*
やはり、そうだよね。
マコからのLINEでも先輩と2人っきりじゃないんだからって言われたし……この間の打合せの終わりに夕飯を突然誘われて2人で行ったのは、マコには言って無いけど……別に、マコに話す程の事は無かったし、本当に懐かしい大学時代の話を終始して和やかにご飯食べただけだったし……。
マコが心配するような事は無かった。
今回はマコが話すように他の先輩達も居るし。
行くと言っておきながら、俺もマコも2人共行けないのは……。
♪*解りました。じゃあ、俺だけ行きます♪*
そう先輩にはLINEした。
♪*良かった~。ミキもマコも来れなくなったと知ったら、俺はあいつらに文句言われる所だったありがとな。じゃあ、あとでな♪*
♪*宜しくお願いします♪*
先輩とのLINEを終わらせ、マコにLINEした。
♪*じゃあ、俺だけ行って来るね。もし、早くトラブル解決して来れそうなら来てよ。仕事、頑張って♪*
忙しいのか?少し経ってからマコから返事がきた
♪*うん。ごめんね。先輩達に宜しくね♪*
マコ、遅れても良いから来れないかな?
先輩達もマコに会いたいだろうし。
伊織さんにはマコも行くって言ってあったけど…
急なトラブルなら仕方ないよね。
一応、この事は伊織さんに言った方が良いかな?
でも、いちいち言うのも……。
突然の事だし、マコが言うように他の先輩達も居るし…と安易な気持ちで、結局はマコが行けなくなった事は伊織さんには言わなかった。
これが後々、伊織さんに疑心暗鬼に思われる一因になろうとは思わなかった。
会社に戻り、事務処理やパソコンに向かい仕事をし、先輩達との会う時間に間に合うように会社を出た。
電車に乗り指定された店に向かう。
最寄り駅に着いた途端、先輩からLINEが入った。
♪*店に着いてる♪*
もうお店に入ってるんだ。
まだ待合せ時間には少しあり遅れては居ないけど焦る!
♪*今、駅に着きました。直ぐに行きます♪*
♪*ゆっくりで良いからな♪*
先輩とのLINEを止めグーグルで検索しながら向かった。
比較的、駅から近く迷う事無く店の前に着いた。
そして階段を降り店に入って行く。
うわぁ~ドキドキ…する~。
先輩達と会うの本当に何年振りだし、心強いマコも居ないし。
店内をキョロキョロ…見てると、店員に声を掛けられ予約を取ってた先輩の名前を言うと直ぐに案内された。
ドキドキ…する。
洋風居酒屋で半個室の4人掛け席に先輩達は座ってた。
店員に案内されて来た俺を見て、永瀬先輩が声を掛けてきた。
「おっ! 来たか」
他の先輩達も振り向き笑顔を見せた。
「おう~、香坂。久し振り~!って言うか.卒業して何年振りだ?」
「香坂、元気だったか?お前、変わんないな」
親しみのある挨拶や懐かしい声と顔に少し緊張してた気持ちもどこかにいき、俺も自然に挨拶してた。
「お久し振りです。鈴木先輩も立花先輩も元気そうで。本当に懐かしい~。マコが仕事の都合で来れなくなって残念がってました。先輩達に会いたがってましたけど ‘宜しく’って言ってました」
「そうだってな、永瀬に聞いた。残念だが、また今度会えば良いよ」
「園田も相変わらず元気なのか?」
「はい」
「ミキ、立って無いで座れよ」
空いてる席が永瀬先輩の横しか空いて無かったから、そこに座った。
俺が座ると既に注文してた料理とビールが運ばれテーブルはいっぱいになった。
「最初はビールで良いだろ?ミキから連絡あってそろそろ着くと思って適当に注文した。2時間の飲み放題.食べ放題だから遠慮せずに注文しろよ」
「はい」
「んじゃ、ミキも揃ったしマコは残念だったけどな。久し振りの再会を祝して、乾杯!」
『乾杯~~!』
永瀬先輩の音頭でジョッキを合わせ飲み始めた。
「それにしても香坂、その格好どうした?」
「変ですか?」
仕事帰りでスーツを着てるけど……。
自分のスーツのどこが変かキョロキョロ…見てると。
「違う.違う。スーツじゃなく前髪とか眼鏡とか。
お前、目が悪かったっけ?全体的には変わらないけど、そこだけ何かモサっとして、一瞬、香坂だと解らなかったぞ」
さっきのは社交辞令だったんだ。
「仕事の帰りなので。仕事の時はいつもこうですよ。俺、少し目の色違うし髪も色素が薄くってハーフに間違われるから。それに仕事柄、職人気質の人や年齢いってる人が多いから、身構えちゃうと思って。なるべく仕事の時は地味にしてるんです」
本当はクォーターなんだけど…。
やはり目の色や髪、そして純粋な日本人より多少掘りが深いからな。
素の自分だと派手な感じが否めない。
「なる程。確かに、職人気質な人とかはそうかもな。じゃあ、仕事用って事か?」
「俺も偶然仕事先でミキに会った時は一瞬解らなかったよ。‘香坂’って呼ばれてたのとミキの声で解った。でも、よく見るとやはり学生の時と変わって無かったけどな」
「なあ.なあ。眼鏡取って前髪上げてみろよ」
立花先輩に言われて、その通りにした。
「あ~~、やっぱそうすると学生の時のまんまじゃん。仕事とは言え隠すの勿体ね~」
「俺達のアイドルが帰ってきた~~」
戯けて話す鈴木先輩と立花先輩。
俺は前髪を下ろし眼鏡を掛けた。
「先輩達、もう酔ってるんですか?乾杯したばかりで早いですよ! それに、そのアイドルって何なんですか?昔っから俺を揶揄って~」
先輩達は学生の時から俺を ‘サークルのアイドル’とか言って揶揄ってた。
でも、意地悪や嫌味とかじゃなく俺を可愛がり親しみを込めての事だとは俺にも解ってたから、俺もわざと拗ねた感じで先輩達に文句言うのも懐かしい。
「アイドルはアイドルだろ。香坂見ると癒されるんだよなぁ~」
「うん.うん! 見てるだけで良いって感じ」
「何ですか?それ! 良く解んないなぁ~」
「香坂は解らなくって良いの」
「そ、俺達のいやサークルの癒しアイドルなんだから」
妙に話しが合う2人と笑ってる永瀬先輩。
「もう、俺の事は良いですから。先輩達の話しを聞かせて下さい」
何だか恥ずかしくって、話題を変える事にした。
会うまでドキドキ…緊張してた気持ちだったけど俺を学生の時から可愛がりそして揶揄う懐かしい先輩達が変わらない事に、緊張してた気持ちも解れ和やかに宴が始まった。
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