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第745話
「本来は、今日で最終決定する予定でしたが、永瀬さん、申し訳無いが、もう1度見本が届きましたらご連絡しますので、ご足労ですが再度来社願いますか?」
俺が丁寧に話すと永瀬も襟を正し
「もちろんです。ここまで早く進められたのは、本当に御社のお陰です。ありがとうございます」
「こちらこそ、勉強になりました」
「良い商品作れて光栄です」
「ありがとうござました」
永瀬に対して田口が話すと、ミキと佐藤も挨拶した。
雰囲気としては会議終了だな。
思ったより時間が掛かったが、時間的にも就業時間残り僅かだ。
丁度良い!
そして俺が会議終了の挨拶をした。
「そう言う事で、本日の打合せはここまで。後は先程も話したが、最終決定は次回と言う事で。お疲れ様」
『お疲れ様でした』
「ありがとうござました」
そしてミキ達は机の上を片付け始めた。
永瀬は自分が決めた見本を写メして居たが、それが終わるとミキを見てた。
俺は永瀬の行動を注視してた。
永瀬がミキに向かい口を開き掛けた時に、透かさず俺から声を掛けた。
「永瀬さん、この後のご予定は?」
突然の俺の問いに戸惑ってるようだったが、直ぐに笑顔で答えた。
「今日は、この後は特にありませんが?」
「それなら、この後親睦と取り敢えずは商品の目処もつきましたし、打上げを兼ねて皆んなで飲みに行きませんか?」
「えっ! わざわざすみません。是非、参加させて下さい」
「もう少しで渡米なさるから、こう言う機会でも無いと永瀬さんと飲む事も出来ませんからね。是非、参加して下さい。佐藤、たぬ吉に席取ってくれ。5人でな」
「はい」
佐藤には前もって話してた事もあって行動が早い
直ぐに、課に戻り店に確認の電話を入れに行った
この時間からの外回りはないだろうと、この後の仕事は今の打合せの資料や事務処理だろうと踏んで、田口とミキには言って無かったが、突然だったが2人共特に異論は無さそうだ。
5分程で戻って来た佐藤。
「大丈夫です。個室確保してくれるそうです」
俺が転勤する前から何かある度に使ってた店だけあって多少の融通は効く。
ま、今日は平日のまだ比較的早い時間と言う事もあるんだろうが、取り敢えず良かった。
「そうか。もう就業時間終了になる。今日は残業無しで皆んなで行くぞ。永瀬さん、少しだけ待ってて貰えますか。すみません」
「私は大丈夫です。ここで待ってれば良いですか?」
「申し訳無い。急ぎの電話やメールなど確認し終わらせて来ます。じゃあ、皆んなそのつもりで」
『はい』
そして永瀬を会議室に残し、俺達は課に戻る事にした。
田口.ミキ.佐藤は書類やパソコンを持ち、さっきまでの打合せの話をしながら前を歩いて居る。
その姿を背後から見て考えてた。
取り敢えず、ミキを誘おうとした永瀬を阻止した
親睦会とか打上げとか理由をつけ、ゴリ押し気味に宴会の場を設けた。
前回みたいに、永瀬に先を越される前に俺から仕掛けた。
今日も、皆んなの前で永瀬に誘われたら断れないミキの性格を解ってたからだ。
俺は断れないような口実を作り、先に誘う事を思いついた。
俺が思うように事が運んだ。
祐一や真琴君から俺と永瀬が似てると言う言葉は多少なりとも俺にショックを与えたが……。
それならそれで俺に似てるなら永瀬の行動や考えも解りやすいと思った。
俺がやりそうな事とミキの性格を把握すれば容易い事だ。
まんまと上手く事が運んだが、さて宴会はどうなるやら。
そこは田口や佐藤も居る事だし…成り行きに任せるしか無い。
俺の目の前で永瀬の態度や言動、そしてミキの動向を見て俺の考え過ぎかどうかの1つの判断材料にもなるはずだ。
取り敢えず、早いとこ…仕事を終わらせないとな
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